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放課後の校舎は、昼間とは少し違う
廊下には夕方の光が差し込んで、 どこか静かで、 少し特別な時間みたいだった
白石奏
私は音楽室のドアを開けた
吹奏楽部の練習が終わったあと どうしても上手く吹けなかった フレーズが気になって、 一人で練習しに来たのだ。
トランペットを構える。
白石奏
スーッと息を吸って、音を出す
♪———
少しだけ音が響く
でも
白石奏
その時だった
——ポーン
突然ピアノの音が聞こえた
白石奏
びっくりして振り向く
音楽室の奥にあるピアノに 誰かが座っていた。
藤原律
振り返ったのは同じクラスの 男の子だった
白石奏
思わず名前が出る
藤原律
そう言って軽く鍵盤を鳴らした
藤原律
白石奏
少し恥ずかしくなる
誰かに聞かれてると思うと 急に緊張してしまう。
すると。
藤原律
藤原くんが言った
白石奏
藤原律
びっくりしたけど言われた通り もう一度構える
息を吸って
♪———
すると。
後ろからピアノの音が重なった。
トランペットとピアノの音が、 音楽室の中で混ざっていく
さっきよりずっと綺麗に聞こえた
吹き終わって振り向くと
藤原くんが笑っていた
藤原律
白石奏
藤原律
少し間を置いて、彼が言った
藤原律
白石奏
藤原律
心臓がドキッとした
藤原律
彼は少し照れながら続ける
藤原律
顔が熱くなる
白石奏
慌てて言うと、彼は笑った
藤原律
そしてピアノの鍵盤を軽く叩く
ポーンと優しい音が響く
藤原律
私は少しだけ考えて
でもすぐに答えた。
白石奏
窓の外は、オレンジ色の空
放課後の音楽室に、また ピアノとトランペットの音が重なった
もしかして
この時間が、
ふたりの秘密の放課後に なるのかもしれない。