運命【サダメ】の裏表

ドオオン！！！

ドオオオン！！

ロケランからの盛大な爆発音。敵が消えた所を、武器を抱えて突っ走っる

銀さん達が気を引いてくれているからか、後ろよりも明らかに敵が少ない。有難い事だ

数メートル先に、ふわふわと浮かぶ「コア」。直径一メートル程の小さな球体だ

目に映ると、バナナは全力で走り出す。だが、敵も黙っている訳では無い

いつの間にか、触手…敵に囲まれてしまっていた

すうっ。浅めに深呼吸。そして、ギラリとした目付きで触手を睨みつけ、そのまま銃を両手に構えた

音もなく、その引き金を引いた

ドドドドド！！！

ドオオン！！

怒り混じりにバズーカを放つ。当たるが次から次へと触手がコアから湧くものだから一気に大量の触手を戦闘不能にしないと終わらない

そんな事彼ならとっくに百も承知だろう。だが今はそれが難しいのだ

バナナの動きが、次第に鈍くなる。集中力も同時に落ちる

こんな時に使う技があったじゃないか。忘れていたとは…不覚だ

改めて、バナナは熟す前のバナナの鮮やかな黄緑を、そのまま映したように見えるロケットランチャーを構えた

黒く毒々しい世界を、彼は見つめていた

ドオオオオオオン！！！

『バナナバズーカ』よりも威力の高い、『バナナフィナーレ』。

先程まで手こずっていたのが嘘のように、触手が吹き飛んでいた

こんなにも今立っていた地面は広かったのかと、自分に呆れて笑う

ｼﾞｬｷｯ。

再びロケランを構える。ここで外しては絶対にならない____。

静かに、だが素早く狙いを定める。狙いは───「コア」

ビュッ……

____グサッ

ガッシャァァァン！！！！

いつの間に来ていたのか。気付けなかった。

ずっと狙っていたせいだろうか───。

触手からまた枝分かれするように…「針」が飛び出した。それがバナナの足や手などに刺さり、焦げるような痛みが走る

それに加えて、持っていた武器を手から滑らせてしまい、針の餌食になってしまった

大きな音がなり、周りに部品が飛ぶ

周りが針まみれだ。抜けようにも今手持ちにある銃では不可能に近い

可能なロケランも見事に木っ端微塵だ。それに……

彼は銃を力を込めて握り、引き金に指をかける

僅かに震えるが、その代わりに時間を込める

ポタッ……口から何かがこぼれ落ちる

____サングラスの奥の瞳が、決意を固めた様な明るくも固い光を放つ。 刹那

ダァァァン！！！

弾音が高鳴り、コアの中心を撃ち抜いた

同時刻。

ダァァァン！！！

向こうに見えたのは座り込む人の姿。何回も見たあの姿が。

銀さんは会えた嬉しさと倒せた嬉しさでうずうずしていた。そのまま駆け出す

二人が口々に叫ぶ。理由位分かる。

近付いても座ったままで、大量に出血していた

サァッと、二人の顔がみるみる青くなり、急いでバナナに縋り付いた

赤ちゃんか爆音のチャイムのように叫ぶ。本人は必死だ。

普段なら無言でロケランを構えてぶちかまして来るが、今は「うるさい」なんて言わず小さく笑いをこぼすのみ

ロケランが手元に無いからか、それとも____

銀さんは強く、歯が割れそうなほど強く、噛み締めていた。

銀さんは……そうしていないと……今にも───

いやいや！とお互い言い合う二人。話している事は仲間を思う優しさその物だ

その様子に、バナナは穏やかに微笑む。針に刺さった後がくっきりと残る、その腕で二人を優しく止めた

儚い血【イノチ】が彼の口からしぶきとなって飛んだ

『絶対に流さない。』二人の心は重なっていた 何故かって？それは───

責任やらが重くなる、彼は 『二人がこうなるのも責任だ。』 とかどうとか思ってしまうだろう

今は……決してそんな風に思ってほしくない

長い間、共に居たクラスメイト…いや仲間を、二人は必死にこらえて見つめる。

見た事ないほど優しい瞳で。

『ありがとうな』

その時、ばたんと倒れ、彼の体が横たわった

そして、もう自ら動く事はなかった

次第に、おかしな事に体が薄くなり…

次見た時には、光となって散った

もう、限界だった