魔法使いとして一人前と認められるには、火、水、雷といった多種多様な魔法を使いこなすことが求められる。
だが、
星を創り出す魔法――「星魔法」
先代から伝わる特別な技であり、他の魔法使いには真似できない独自のものだ。
この星魔法こそが、「天体の魔法使い」としての象徴であり、唯一無二の自分だけの魔法である。
夜空に放たれる星々は、ただ光を放つだけではない。
その輝きは、闇を切り裂き、眠る人々の心に安らぎを届ける。
先代が始めたその役割は、今もなお受け継がれ、
夜ごとに星が生まれ、空を飾り続けている。
だが、
誰もその光景を目にすることはない。人々が星空を仰ぎ見ている。
その時、僕ら「天体の魔法使い」は静かにその場を去り、再び人知れず次の夜に備えるのである。
僕たちが望むのは、ただ星が夜空を美しく照らし、人々が安心して眠れること。
それ以上の報酬を求めることは決してないのだから。
これからパレードが始まるらしく、道の真ん中は綺麗に空けられていた。そんな空間を見つけた子供が、突然飛び出していく。
どこかの店主
どこかの店の店主らしき男が、慌てて子供を追いかけた。
この世界ではよくある光景だ。
それは、スリ。
人混みの多さを逆手に取って、犯罪に手を染める子供たちがいるのだ。
今回も例外ではなく、子供はすばしっこく逃げ去り、店主は悔しそうに顔をしかめていた。
その時、
高らかに管楽器の音が響き渡り、待っていましたと言わんばかりに観衆が歓声を上げた。
奇抜な衣装に身を包んだダンサーたちが、柔軟な体をしなやかに動かしながら、
まるで、
自分たちの世界を指先まで表現するかのように踊り始める。
リズムに合わせて打楽器の音が段々と速く、
そして、
時折しなやかに遅くなっていく。
その音の変化に合わせて、ダンサーたちの動きも変化し、観衆の目を釘付けにしていく。
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