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かは
121
翠玲
2,466
なつさんが出て行ってから、どれくらい経っただろう
五分か、十分か猫の体感時間は人間のそれとはまるで違う
一秒がやけに長く引き伸ばされて、退屈が骨の髄まで染みてくる
いるま
俺はブランケットの中で丸くなっていた
数分後
ドアが開いた
なつ
仕事の合間を縫って戻ってきたなつさんは、小さな器を二つ手にしていた
器の中身はキャットフードと温めたミルク
なつ
なつさんは優しく微笑んだ
なつ
いるま
俺の目の前に置かれた物は、人間の尊厳を粉々に砕くような光景だった
いるま
なつ
なつさんは心配そうに首を傾げた
なつさんはミルクを指でちょんと触って温度を確かめて俺の口元へそっと器を差し出してきた
なつ
湯気の立つ白い液体が、ぷっくりとした唇のすぐ手前で揺れてる
甘くて温かくて、見るからに美味しそうで
いるま
ごくり、と喉が鳴った。もう限界だった。人間の意地と猫の食欲が天秤にかけられ、食欲が圧勝した瞬間
もう限界だった。人間の意地と猫の食欲が天秤にかけられ、食欲が圧勝した瞬間
いるま
ぺろ、と一舐め。温かなミルクが舌の上に広がった途端
いるま
もう止まれなかった。ぴちゃぴちゃと音を立てながら夢中でミルクを舐め続けた
なつさんは頬杖をつきながらじっと見つめていた
なつ
その呟きが耳に届いた瞬間、はっと我に返る。自分が何をしていたか気づいた
いるま
なつ
なつさんは優しく俺の頭を撫でてくれた
その手の温もりが心地よくて、つい喉を小さく鳴らした
なつ
そう言ってもう一度頭を撫でると、なつさんは安心させるように微笑んでまたスタッフルームを後にした
なつさんの足音が遠ざかり、ドアの向こうに消えていく。また一人きりになった
いるま
ミルクで満たされた腹がぽかぽかと温かい
ブランケットの中はふかふかで最高に気持ちいい
このまま眠ってしまいたい衝動と必死に戦いながら、改めて自分の体を確認した
いるま
いるま
その時だった
廊下の方からバイト仲間たちの声が聞こえてきた
カフェの店員A
カフェの店員B
ドアノブがガチャリと回った
いるま
コメント
2件
うわあ、いるまくんの葛藤がめっちゃ伝わってきた……!「人間の意地と猫の食欲」の戦い、まさかミルクで敗北するとは思わなかったけど、その描写が可愛すぎて笑っちゃった(笑)なつさんの「可愛すぎるだろ」に思わず共感。猫になっても尊厳を守ろうとする姿と、本能に負けるギャップがたまらないね。続きが気になる〜!