放課後。 夕日が落ちかけた屋上には、柔らかな風が吹いていた。
◯◯
…来てくれるかな
〇〇は、ドキドキしながら柵のそばに立っていた。 ペア決めの"返事”をするために、自分で決めたこの場所。 でも、その重さに心がぐらぐらと揺れる。 そこへ、静かな足音。
◯◯
……来たんだ
目黒
お前が呼んだんだろ?
振り返ると、そこには目黒蓮。 制服のネクタイを少し緩めて、いつもよりラフな雰囲気。 それだけで、胸がきゅっとなる。
目黒
…1番に来たかったけど、皆に止められてさ
◯◯
ふふ、らしいね。みんな、すごく真剣だったもん
目黒
うん。……でも俺は最初から、勝てる自信があったよ
◯◯
……え?
目黒
だって俺、誰よりもちゃんと"待てる"から
そう言って、目黒は〇〇の隣に立ち、同じ空を見上げた。
目黒
誰よりも声をかけなかったし、無理に誘わなかったし、騒がなかった。
でもさ、〇〇ちゃんが困ったとき、疲れたとき、一番近くにいたのは俺だと思ってる
でもさ、〇〇ちゃんが困ったとき、疲れたとき、一番近くにいたのは俺だと思ってる
それは、本当だった。 初日に隣に座ってくれたこと、 廊下ですれ違ったとき、何も言わず飲み物を差し出してくれたこと、笑ってなくても、安心できる距離感でいてくれたこと。
◯◯
......目黒くんって、特別なこと言わないけど、特別なことしてくれてるよ
目黒
そう?気づいてくれたなら、よかった
◯◯
……うん。わたし気づいてた
言葉が自然とこぼれ落ちた。
◯◯
だから、ペア…一緒にやってほしい
しっかりと目を見てそう言うと、目黒は 一瞬、驚いたように目を見開き
目黒
……よかった
ほんの少し、安堵のように笑った。
◯◯
泣きそうになってたんだけど、我慢してた。
◯◯
ありがとう。めっちゃ嬉しい
目黒
こっちこそ、ありがとう
ふたりの間に、沈黙が落ちた。けれど、それはとても心地よかった。 やがて、目黒が照れたように言う。
目黒
なぁ、これ渡してもいい?
差し出されたのは、手のひらサイズの小さなキーホルダー。
目黒
これ、2つあってさ。片方、〇〇ちゃんに持ってて欲しい
目黒
もし俺と組むって言ってくれたら、渡そうと思ってた
それは、制服のネクタイと同じ色の、ペア仕様のキーホルダー。
◯◯
かわいい。ありがとう、大切にする
夕日の中、言葉の温度だけがふわりと熱を帯びていた。 そんな中、屋上のドアがバン!と開いた
渡辺
うわ、やっぱめめが来てた!
佐久間
ちょ、お前ずるくね?
ラウール
結果発表早すぎる!!聞いてない!!
わらわらと現れる男子たち。
◯◯
ま、まぁ、まだ正式発表じゃないし……ね?
〇〇が気まずそうに笑うと、目黒はすっと立ち上がって、みんなに言った
目黒
〇〇ちゃんが俺と組むって言ってくれた。
目黒
だから、譲れない
その真っ直ぐな目に、誰も言い返せなかった。 そして始まる、学園祭。 "目黒蓮x〇〇ちゃん”ペアの活躍は、校内中の噂になることに一
主
めめ入所15周年








