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コメント
3件
やばいですね!!!! 二口が〇〇ちゃんに興味があるみたいな!めっちゃ世界観好きですーー!続きが楽しみです!次回も待ってます!
いくつかのクラスを回るうちに
○○はこの学校の構図を少しずつ覚え始めていた
昨日より廊下を歩く足取りが早い
それでも慣れたとは言えない
2年生の教室での説明を終え
次の予定まで時間が空いた
授業中の校舎は静かで
人の気配が薄い
時計を確認し○○は1度立ち止まった
...30分か
無理に職員室に戻るほどでもない
かと言って行き場がある訳でもない
自然と足が向いたのは食堂だった
あそこなら誰もいない
そんな判断
〇〇
そこには誰もいなかった
誰もいない食堂は広く
昼とは違って落ち着かない
給湯ポットの前に立ち
紙コップを手に取る
沈黙
〇〇
ボタンが多い
表示も分かりにくい
〇〇
小さく呟きながら
とりあえずそれらしきボタンを押す
ピッ
反応なし
もうひとつ
ピッ
違う
少し眉を寄せたその時
横から手が伸びてきた
短い声
指先が○○の指よりさきに
ひとつのボタンを押す
すぐに機械音
お湯が流れ出す
〇〇
反射的にお礼を言って
顔をあげる
二口堅治だった
一瞬視線がぶつかる
○○は何も言わずすぐに顔を戻した
紙コップにお湯が溜まっていく
音だけがやけに大きい
満ちたところで
○○はコップを持ちそのまま立ち去ろうとした
二口
背中に、声
二口
沈黙
歩みを止めない
二口
少し近づく気配
二口
軽い調子
でもどこか探るような声
二口
二口
茶化すように笑う
○○は足を止めた
一瞬だけ黙る
否定しない
その僅かな間に二口の顔が変わった
二口
二口
声が低くなる
その変化を見て
○○はようやく口を開いた
〇〇
キッパリと
〇〇
〇〇
振り返らずに続ける
〇〇
一息
〇〇
〇〇
〇〇
淡々とした声
〇〇
少し間を置く
〇〇
〇〇
説明でも
いい訳でもない
事実を並べただけの言葉
二口は何も言えなかった
冗談の顔はもうない
○○はそのまま歩き出す
湯気の立つコップを持った背中は
昨日よりも近くて遠い
体育の時間だった
中井
中井
加護
中井
加護
加護
二口の姿がなかった
まぁ...たしかにいつもそうなんだけど
ふらついてて、だるそうだし
でも、そんな所が私は好き
中井
加護
加護
加護
中井
加護
彼は自由だ
人とは違う
中井柚葉はつられるように食堂へ向かった
食堂に入る手前
自販機の前に中井柚葉はいた
二口を追いかけてきたはずの足は
止まっていた
給湯ポットの前
制服じゃない女の人と
二口
2人の距離は近い
話している声は聞こえない
でも空気でわかる
冗談じゃない
二口の顔が
いつもの軽い表情じゃない
笑ってない
誰かに向けるあの余裕もない
柚葉は無意識に息を止めていた
女の人が何かを言う
背中を向けたまま
二口は言葉を失ったように動かない
次の瞬間その人はコップを持って食堂を出る
迷いがない
すれ違う時二口は
は追いかけない
いや...追いかけられていなかった
ただ立っている
柚葉はその背中を初めて見る気がした
二口は頭を軽く掻き
女の人に続くように食堂を出た
中井
制服でもない
教師でもない
それなのに学校に、彼に溶け込んでる
中井
そう思ったはずなのに
柚葉はペットボトルを握る力が強くなった
何も知らないふりをして
気づかせないフリをしないと
そう思って食堂を出た
二口との会話を終え
○○は廊下を歩いていた
少し先で影が止まる
氷室
振り返ったのは氷室だった
氷室
氷室
○○は一瞬だけ言葉を選ぶ
〇〇
〇〇
氷室はきょとんとしてから
○○の意味を汲み取った
そして笑った
氷室
氷室
〇〇
ほんの少しだけ肩の力が抜ける
氷室はそれを見逃さず
わざと軽い調子で言った
氷室
○○は何も言い返さなかったけど
否定もしなかった
廊下の窓から差し込む光が
一瞬だけ穏やかだった
その日の夜
学校は静かだけど、夜の街は騒がしい
○○は歩道の見回りで
いつもの地区を歩いていた
ーーまさか
そう思った時にはもう遅い
コンビニの前
街灯の下
二口堅治がそこにはいた
○○は小さくため息をつく
〇〇
何も言わずに近づいた
その時
後ろからだるそうな声
振り返ると
十は年上の上司が立っていた
舌打ち混じりに二口を見る
○○に向けられる視線は
露骨に苛立っていた
空気がピンと張る
二口の表情が一気に変わる
二口
言い返そうとする前に
○○が静かに手を挙げた
止めるように
二口
二口は歯を噛み締めた
〇〇
〇〇
視線を逸らさずに続ける
〇〇
上司は鼻で笑い
「はいはい」と言って手を振りながら去った
残ったのは夜と、2人
しばらく沈黙
二口
二口の声は低かった
○○は一瞬だけ顔をあげる
二口を真っ直ぐ見つめる
それから視線を戻し
ペンを走らせながら言った
〇〇
一拍
〇〇
言い訳でも愚痴でもない
ただの事実
紙の上でペンが止まらない
二口は何も言えなかった
夜風が二人の間を通り抜ける
さっきまで軽かった距離が
今は酷く重かった