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aqua.
不明ちゃん。
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静寂。 さっきの「……あ」という声が、 まだ耳に残っている。 ころんの呼吸だけが、 やけに大きく響く。
ころん
自分の声も、 うまく出ない。
【存在値:不安定】
端末の文字が、 揺れている。 足元が、 一瞬だけ透ける。
——間違えた?
それとも。
正しかった?
その答えは——
「……ころん」
背後から、 弱い声。 振り向く。 そこにいたのは——
ジェル。
片膝をついて、 肩で息をしている。
ジェル
ジェル
ころんの心臓が、 大きく跳ねる。
ころん
生きてる。 じゃあ、 さっき消えたのは——
「……なるほど」
もう一つの声。 ゆっくりと、 暗闇の中から現れる影。
さとみ。
でも。 その目は、 どこかおかしい。 感情が、 乗っていない。
さとみ(?)
ころんの手が、 震える。 端末が、 赤く点灯する。
【対象:確定】 【人狼判定:進行中】
ジェル
ジェル
その一言で、 空気が変わる。
ころん
さとみ(?)の口が、 ゆっくり歪む。
さとみ(?)
さとみ(?)
一歩、 近づいてくる。
でも。
足音がない。
ジェル
低い声。 確信している。
ジェル
その瞬間。
さとみ(?)の輪郭が、 一瞬だけ崩れた。
ノイズ。 そして—— 黒い影。 ころんの背中に、 冷たいものが走る。
ぷちひな
ぬいぐるみの声が、 どこからか響く。
ぷちひな
ぷちひな
ころん
さとみ(?)が、 ゆっくりと頭を傾ける。
さとみ(?)
その声は、 さっきより人間らしい。
さとみ(?)
ころんの思考が、 止まりかける。 確かに。 見た目も、 声も同じ。
違うと断言できるのは、 “感覚”だけ。
それは——
信じていいのか。
【存在値:低下】
警告音。
ころんの腕が、 さらに透ける。
ジェル
短く呼ぶ。 その声だけは、 はっきりしている。
ジェル
ジェル
ころんの視界が、 揺れる。 でも。 一つだけ、 確かなこと。
さっき、 自分が選んだこと。 それは——
“間違いじゃなかった”
ころん
小さく、 頷く。
さとみ(?)の目が、 細くなる。
次の瞬間。
一気に距離を詰めてきた。
ころん
避ける。 風もないのに、 空気だけが裂ける。 触れたら、 終わる。 直感が叫ぶ。
ジェル
ジェルが、 ころんの腕を引く。 その瞬間。 さとみ(?)の腕が、 床に触れた。
——ズズッ。
床が、 溶けるみたいに歪む。
ころん
ぷちひな
楽しそうな声。
ぷちひな
背筋が凍る。
【人狼判定:保留】
端末の表示が、 揺れる。
ころん
ジェル
ジェルの目が、 鋭くなる。
ジェル
その言葉で。 空気が、 さらに重くなる。 どこかにいる。
本当の“人狼”。 コピーじゃない。
本物。
さとみ(?)が、 ゆっくり笑う。
さとみ(?)
さとみ(?)
その瞬間。 館全体に、 低い音が響く。
【残りプレイヤー数:不明】
【ゲーム進行:最終段階】
ころんの端末に、 新しい文字。
【ヒント解放】
たった一行。
【“最初に消えた者”を思い出せ】
ころんの心臓が、 止まりそうになる。
最初に、 消えた者。 記憶の奥で、 何かが動く。 それを、 思い出した瞬間——
このゲームの“核”に、 触れてしまう気がした。
ジェル
ジェル
ころんは、 ゆっくり息を吸う。 そして——
目を閉じた。
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