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♡100いくなんて思ってませんでした
本当にありがとうございます!

結局あの後ミーティング早退しちゃったな

やっぱ運命って変えられないのかな

同じように繰り返してる世界に嫌気が差す

大森元貴

はぁ…

視界に入ってしまった、これも運命というのだろうか

大森元貴

カッター…

スッ(取)

正直したことがなかったから怖かった

でも、何も考えなくていい、悩みから解放されるような気がしてとても嬉しかった

グサッ(刺)

前回とてつもない痛みを体験しているからか何も感じなかった

床が赤く染まるだけだった

グサッ(刺)

だからもう一回刺した

ズズズ(引)

引いてみたりもした

やっと痛みを感じた、嬉しかった

自分から流れる赤い液体を見て生きてることを実感した

止まらない液体を見てワクワクした

自分が正常かなんか分からなかった

ただ好奇心に任せて刃を動かした

どんどん流れ出る液体、赤く染まる床、増える傷、体中に流れる痛み、すべてに夢中になっていた

それがいけなかった

気づいたら腕は血だらけでまぶたが重かった

疲れた僕はその重さに従って意識を手放した

それもいけなかった

結局元貴はミーティングに帰ってこなかった

明らかに俺等のせいだ

話が進まないから今日は解散した

どうすればいいのかわからなかった

答えを知りたかった

若井滉斗

…涼ちゃん

若井滉斗

俺等のせいだよね?

藤澤涼架

…たぶん

若井滉斗

どうしたらいいんだろう…

藤澤涼架

…元貴の家に行ってさ

藤澤涼架

謝ろうよ

藤澤涼架

元貴の口から宝石がでてきてる時点であれは本物なんだよ

藤澤涼架

スラッと余命約半年って書いてあったし

藤澤涼架

このまま離れたくない

涼ちゃんは頭がいいな、答えがわかってる

若井滉斗

…行こっか

コンコン(扉)

若井滉斗

元貴ー?

若井滉斗

返事ないから合鍵で入ったんだけど

若井滉斗

ここに居る?

若井滉斗

開けるよ?

ガチャッ(開)

若井滉斗

え…?

ストッ(尻もち)

藤澤涼架

ちょっと、どうしたの?

藤澤涼架

よく見えないんだけど

キー(開)

ブワッと生ぬるい風が吹いた

藤澤涼架

え……血?

藤澤涼架

この量…ただじゃ済まないよ?

藤澤涼架

元貴は?

信じたくなかった、見たくもなかった

ベッドには左腕が真っ赤に染まった元貴がいた

左腕にはまだカッターが刺さったままだった

ベッドも床も赤く染まっていた

見ているだけでも、痛々しく吐き気がする

僕達が放った何気ない言葉が刃物に変わり、元貴を刺した

僕達がやったんだ

そう思うとまともに立っていられなくなった

ストッ(座)

なんですぐ信じてあげられなかったんだろう

そんな後悔は血を止めるわけでもなく、包帯になるわけでもなく、元貴の意識を戻してくれるわけでもなくただ霞に消えていった

何をしなければいけない、そんなのはわかっているのに手の神経が反応しない

そんな時だった、若井が電話をし始めた

震える声で話していた、僕は黙っていることしかできなかった

電話をし終わった若井は僕を部屋の前から離してくれた

顔は涙でグチャグチャだった、でも奥歯を噛み締めて声を押し殺していた

僕と同じだった

ただ立ち尽くして救急車が来るのを待っていた

やがて救急車が来て元貴を連れてった

二人で部屋の掃除をした

赤い液体を拭くたびに吐き気が押し寄せた

でも我慢した、元貴の辛さはこんなものじゃないから

若井滉斗

…準備終わった?

藤澤涼架

…うん

若井滉斗

…じゃ行こっか

ガチャッ(開)

若井滉斗

すいません…大森さんって

スタッフ

あぁ318号室です

若井滉斗

ありがとうございます!

藤澤涼架

元貴!

左腕にはぐるぐる巻の包帯

輸血とか薬とか何やらがたくさん刺さっていた

大森元貴

涼ちゃん、若井…

藤澤涼架

ごめんね、すぐ信じてあげられなくて

藤澤涼架

無責任なこと言っちゃって

良かった言えた

大森元貴

大丈夫…全部原因は僕だから

大森元貴

僕が自分でやったから

藤澤涼架

違う…僕らのせいだ

藤澤涼架

全部…

大森元貴

違うって言ってんじゃん、もういいよ

あぁ呆れられたかな、でもどうしても謝りたかった、自分の言葉の無責任さを呪いたかった

もっと進んでたらもう元貴は戻ってこなかったかもしれなかったのだから

若井滉斗

あれ、本物だよね

若井滉斗

本当に宝石病ってやつなの?

大森元貴

…そうだよ

大森元貴

余命半年なんだって、本当かな?

本当は知っているのに知らないフリをする、この世界だったら変わるかもしれないから

大森元貴

不治の病らしいしもう無理だよね

諦めてみる、だって治んないんだから

大森元貴

僕、後、残りを頑張って生きてみようと思うんだ

大森元貴

だからあまり心配しないでね

わざと笑ってみる、この先の地獄を知ってもなお、二人に迷惑をかけたくないと思ってしまう

こんなのじゃ運命は変わらないのにね

若井滉斗

わざとらしいよ…

若井滉斗

嘘ついてるでしょ…

若井滉斗

何か隠してるでしょ

若井滉斗

気づかれないとでも思ってる?

若井滉斗

なめないでよ、これでも仲間だよ?

若井滉斗

教えてよ、本当のこと

なんでバレたんだろ、さすがだな

どうしようかな、これも信じてくれるかな

大森元貴

…すごいね

大森元貴

…でも信じられないと思うから

大森元貴

…言わない

大森元貴

言えない

藤澤涼架

信じるよ、僕らは

藤澤涼架

元貴が言ってるんだから

藤澤涼架

何を言おうと信じる

藤澤涼架

だから僕らのこと信じてよ

信じれるかな

大森元貴

…っ僕ね

大森元貴

2回目なんだ

若井滉斗

2回目?なにが?

大森元貴

前回も僕は宝石病になった

大森元貴

それを狙われて、監禁された

オーバードーズのことは言えなかった

大森元貴

そこを二人に助けてもらった、でも僕のせいで二人が死んだ

大森元貴

僕も余命半年だから二人のところに逝こうと思ったんだ

大森元貴

だけど目覚めたら過去に戻ってた

大森元貴

まだ2人が生きてた

大森元貴

だから運命を変えようと二人に話した

大森元貴

そして今こうなってる

大森元貴

信じてもらえるかな?

藤澤涼架

言ったでしょ?僕らは信じる、元貴のこと

いや、昔の僕らだったら信じなかっただろうな

若井滉斗

ごめんね、悲しい思いさせて

ギュッ(抱)

大森元貴

うん…ヒグッグスッ泣

一度目はびっくりしたけどもう驚かない

若井滉斗

いいんだよ、もっと泣いて

大森元貴

…ありがと

大森元貴

もう大丈夫

スッ(離)

藤澤涼架

早っ

大森元貴

朝たくさん泣いたからね

藤澤涼架

確かに…

藤澤涼架

でもごめんね…辛かったでしょ?

大森元貴

ううん、2人が今生きてくれてるだけで嬉しいよ

藤澤涼架

…僕も

若井滉斗

俺も

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