みく🐶🐾🎀
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iris 青桃
桃 said
いれいすを結成してから2度目の夏に入ろうとしていた。
帰る道すがら、暑くなってきた夜風を受けていたら、ふと、いふまろの家に忘れ物をしていたことに気付く。
…取りに帰ろうか。いや、 面倒くさい。でも、明日は 休みだしなぁ。
短い試行錯誤の後、踵を返して 元来た道を戻っていった。
もうみんな帰ったのか、リビングは真っ暗だった。俺はふう、と ため息をついた。
忘れ物とは自分の家の鍵。 帰宅時は、ポケットに既に入っているだろうと、確認せずに出てきてしまったのが運の尽き。
ないこ
ぽつり、と独り言を漏らす。 いつもはキーケースにまとめて付けている鍵。でも、今日は何の気なしに付け替えていたところに、兄貴に声を掛けられ、そのまま作業を止めてしまったのだ。そこからすっかり忘れて手付かずのまま、帰路についてしまったのだ。
仕方なく、自分の家に目をやって、明かりがついているのを確認。
いふまろに開けてもらうしかないか…。
恐らく、今日も夜遅くまで作業をする予定なのだろう。申し訳ない気持ちで電話をかける。
ないこ
if
ないこ
if
いつもの気の抜けた笑い声に安堵して、玄関にもたれてしゃがみ、いふまろが来るのを待つ。
街灯の少ない住宅外、夜空にチラチラと星が輝いているのに気付いて、ぼんやり見上げていた。
if
ないこ
if
ないこ
if
慌てふためくいふまろ。俺はそれに対して深くは追求せず、彼の後ろについて部屋に上がった。
ふたりで2階までいき、いつも自分が座っている辺りのテーブルの家を見る。
が、あると思っていた鍵が無い。額にヒヤリ、と冷や汗が滲んだ気がした。
ないこ
if
ないこ
付き合わせる訳にはいかないから、戻るよう促す。
しかし、いふまろはそれに素直に従う筈もなく、一緒に探すと言ってくれた。
ああ、迷惑かけちゃうな…。
思い当たる場所をくまなく探す。玄関や、リビングや色々。でも、この物に溢れる空間で、簡単に見つかるはずもなく、グッタリとソファにふたりして座り込んだ。
ないこ
if
遮るように言われ、顔を上げると、目の前に見覚えのある鍵が揺れていた。
それは、紛れもなく俺の鍵。
目を白黒させていると、いたずらにいふまろが声を上げて笑った。
if
ないこ
if
ないこ
if
力が抜けて苦笑いする俺に、いつもより、ワントーン低めの声で、耳元で囁いた。
if
ないこ
if
気がつくと、両手を一括りにされ、いふまろの大きな手で拘束されていた。
状況がイマイチ掴めない俺は、若干力を込めて手を振りほどこうとするが、ビクともしないことに身の危険を感じた。
と、同時に胸の鼓動が次第に速くなっていくのに戸惑いを隠せずにいた。
危険な予感がするのに、嫌じゃない…。
いふまろの顔が、徐々に近づいてくる。
認めたくなかった感情が、確かなものなんだと気付かされる。
どうしよう、冗談だったら。 どうしよう、笑われたら。
どうしよう、
拒絶されたら。
if
不安そうな声が問いかけてきた。
ああ、彼も怖いんだ。
不安げに揺れる瞳に真っ直ぐ見つめて捕らえられた。
お互いの鼻先が触れる距離に来ると、彼の力強い手の拘束がゆっくりと解かれ、優しく頭に回った。
愛しげに髪を撫でられて、
やっと、やっと。
冗談でないことに気づく。
ないこ
if
ないこ
照れ臭そうに笑いを耐えながら言う彼の耳は、真っ赤に染まっていた。
ああ、なんて愛しいんだろう。
いつの間にこんなに好きになっていたのだろう。
それに、本人に向かって、“きれい”だなんて、そう簡単に口にできるものではない。
ないこ
if
ないこ
顔がみるみる熱くなっていくのを隠すように、なるべくいつものテンションで、笑いながら言ってみる。
すると、髪を撫でていた手が、今度は俺の顔を包み込み、そんな顔しても無駄やで、と笑った。
顔の距離も、後数センチで唇がぶつかりそうなところまで来ると、一言。
if
ないこ
瞬間、
漸く、
突然、
いや、
もう、なんでもいいや。
とにかく俺は、間抜けな声を塞ぐように、いふまろにキスをされた。
優しい口づけだった。
長いような、短いような、はたまた時が止まったような。言い知れぬ感覚に襲われながら、ただひたすら頭の中が白ずんでいくのが分かった。
ないこ
if
ないこ
うわ、俺気持ち悪い…。こんな挙動不審な姿、絶対引かれてるでしょ。
チラリ。
直視したら負けだと思いつつも、今いふまろがどんな顔をしているのか興味が湧いて、下から盗み見るように見上げた。
すると、まん丸に見開いた目がこちらを凝視しているのが分かった。
珍しく、顔中真っ赤にして。
こんな顔の、いふまろ、滅多に見ない。…幸せ。
今にも天に召されそうな気持ちでいると、急にいふまろに勢いよく抱き寄せられた。 もう、これ以上は、やめてほしい。死にそう。
俺は必死に意識を保とうと、おずおずと彼の背中に腕を回す。
if
ないこ
if
ないこ
if
いつもの幼児対抗した声で叫ぶものだから、少し肩の力が抜けて笑ってしまった。
本当に、この人は…。
こんな些細なことで、自分の気持ちに気付かされるなんて。
まさに、鍵の忘れ物が鍵となって、こんな結果を生んだのだろう。
笑っちゃうよね、本当。
ないこ
それは、夏の始まり。
俺の部屋の一角で生まれた、想像し得なかった関係。
その時は、メンバーの皆に、何て言おうかななんて考えてなくて、ただ目の前のあなたに夢中だった。
いや、
これからも、
ずっと夢中にさせてくれるんだろう。
ひとしきり笑い合った後、件の鍵をいふまろの手のひらごと強く握りしめた。
END.
コメント
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初コメ失礼します! なんだろう...言葉選びが好き(?) とりま尊いです☆