みんながいなくなった病室は静かで
この前と変わらず、
人工呼吸の音が、かすかに聞こえた。
すち
朝日が差し込む
病室で
俺は暇ちゃんの手の甲をさすった。
角ばった骨の手
もう、『忘れたかった』
不意に、
また『記憶を消したい』と思った
暇ちゃんとの思い出が、
物理的に、消えてしまうのなら。
その思い出も、
記憶も、
暇ちゃんと言う、存在も。
同時に消してしまえば、
すごく楽だと思った。
すち
できるわけなかった。
この人とは、約束したから
『ずっと一緒』だって。
すち
そう言って、左手の薬指に、
一つの指輪を通した。
細い指に、その指輪は
サイズが全くのように合わなかった。
が、その指輪をつけたことで
一緒、になれた気がした。
長いまつ毛。
そういえば、あの日
俺が入院した日
キス、したっけ。、
俺が王子様なら
君はお姫様だ。
俺は椅子から立ち上がって
すち
暇ちゃんの首元にキスをした。
人工呼吸のせいで、口にはできなかったけど
少しでも、目覚めて欲しいという
俺の願いが伝わって欲しかった。
…やっぱり、起きることはなかった。
俺は再び椅子に座り布団に突っ伏した
いつのまにか睡魔に襲われ、
俺は目を瞑った。
暇72
すち
暇72
すち
暇72
すち
暇72
すち
暇72
暇72
暇72
暇72
暇72
すち
すち
ぎゅ、
すち
すち
すち
暇72
暇72
すち
また、一つ記憶が蘇った。
小さい頃、まだ、
俺らが小学生、初めの頃。
小一のときの彼だった。
小さい頃みた暇ちゃんの夢は
正夢
に、なってしまう気がした。
すち
俺は忘れないと。
暇ちゃんに言ったから。
俺はふと、暇ちゃんの顔を見る。
すれば
目を瞑ってまま動かず
暇ちゃんは涙を一筋、
流していた。
コメント
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やっとここまで読みきった!読み始めたの2日前くらい!てか悲しい、涙、本当に出たよ、
うぇぇぇ、、なつくんー!!!泣 泣かないで、、死なないで、、
最高……もう、最高しか言えない。 切ないのに凄くいいお話!! 続き楽しみすぎる!!頑張れ!!