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 陽斗と風香が二階の廊下を歩いていると、通路の中央になにかが転がっていた。

葛城 陽斗

「あれは」

 陽斗はそのなにかを見つけて走り出した。

北原 風香

「ちょっとまって、危ないわよ!」

葛城 陽斗

「おい! しっかりしろ! 太田!」

 陽斗は太田に駆け寄り肩を揺すった。  目立った外傷はないが、頭から血を流している。  太田は「ううん」と唸って目を覚ました。

太田

「あれぇ、陽斗さん?」

葛城 陽斗

「よかった、生きてたのか!」

太田

「うん。突然暗くなって、転んで頭を打ったけどね」

 太田は起き上がり頭を抑えた。  意識もはっきりしているし、ひとまずは無事のようだ。

北原 風香

「ねえ、この人は?」

 風香が怪訝な顔で太田を見下ろしていた。

葛城 陽斗

「こいつはこの研究所のシステムエンジニアだ。いつもは三階の資料室でパソコンをいじってる。そんなお前がなんだってこんなところにいるんだ?」

太田

「いつまでたっても非常装置が解除されないから所長の部屋に行こうとしたんだよ。このシステムは所長室のパソコンじゃないと解除できないからさ」

葛城 陽斗

「解除ってお前、そんなことしたらあの物体が逃げ出しちまうだろ!」

太田

「あの物体って?」

 太田はきょとんとしていた。

葛城 陽斗

「お前、なにも知らないのか? もしかしてその傷も襲われたわけじゃなくて……」

太田

「だから転んで頭を打ったっていったじゃないか」

 陽斗は呆れて深いため息をついた。

 それでも、太田が無事だったのは心から嬉しかった。

 この広い研究所の中で、太田だけが陽斗に気を許してくれた友達だったから。研究員はみんなプライドが高いからか、陽斗のような油まみれの作業員には興味すら抱かない。

 まるで視界に入っていないかのように振舞うのだ。

 太田の存在は、ここで働く上でとても助かっていた。

葛城 陽斗

「とりあえずお前はここで大人しくしてろ。いいな? 絶対に動くんじゃないぞ」

太田

「わかったけど、なにか問題が起きたの? まぁなにがあっても僕にはこの脂肪があるから大丈夫だけど」

 太田はぽん、と腹を叩いた。 その脂肪に対する厚い信頼はなんなのだろうと思いながら、陽斗は口を開いた。

葛城 陽斗

「ああ、大問題発生だ。でも大丈夫。俺が解決してやる」

 陽斗は胸をとん、と叩いて、陽斗と太田は互いに微笑み合った。

葛城 陽斗

「さあ、行くぞ北原」

北原 風香

「はいはい」

 陽斗と風香は太田を残して、特別研究室に向かった。

ハイパー・オカルト・サイエンスー三流ゴシップ誌の女記者と無精ひげのプー男が挑む超常科学事件簿ー

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