放課後。 校門を出てすぐのスタバには、制服姿の学生たちがちらほら。
立花零
〇〇
隣で声をかけてきたのは、クラスメイトで親友の 零。 今日のこと、ぜんぶ話したくて、自然と足がスタバに向かってた。
テーブルには抹茶フラペチーノと、 ホイップ多めのキャラメルマキアート。
立花零
零は目をキラッキラさせながら聞いてくる。
〇〇
私はカップを両手で包みながら、そっと答えた。
立花零
立花零
〇〇
〇〇
立花零
〇〇
2人で顔見合わせて笑った。 カフェのあたたかい空気と、フラペの甘さが、緊張をやわらげていく。
立花零
〇〇
立花零
〇〇
自分では気づいてなかった視線に、心臓がバクバクし出す。
〇〇
立花零
零のその一言が、私の心をぽっとあたためた。 カップのフチを指でなぞりながら、ふと思う。 …ほんとに、私あの2人と…関わっていくのかな? なんだか、まだ信じられないような、不思議な感覚。
そんなことを考えていると――
カラン… とドアのベルが鳴って、スタバの空気がふわりと揺れた。
凪誠士郎
振り返ると、スタバの入り口にいたのは、凪誠士郎と御影玲王。
玲王はこっちに気づいてニッて笑って、迷わず近づいてきた。
御影玲王
〇〇
あたしと零はパッと顔を見合わせながら、 4人掛けのテーブルに移動。 スタバの店内にはほんのり音楽が流れてて、 放課後のまったりした空気。
玲王が注文してきたアイスラテを机に置くと、ニコッと笑って口を開いた。
御影玲王
御影玲王
〇〇
御影玲王
横で、ずっとレモンティーをちゅーって飲んでた凪が、 ストローを口から外して、ゆっくりと顔を上げた。 ちょっとだけ目を細めて、玲王をジッと睨むように見ている。
凪誠士郎
ぽつんと、低くてぼそっとした声。 一瞬、空気がふっと止まった。 玲王が「えっ?」ってキョトンとした顔になる。
御影玲王
玲王は冗談っぽく笑ってたけど、凪の目は冗談じゃなかった。
凪誠士郎
御影玲王
御影玲王
玲王のツッコミにも、凪は答えず、レモンティーをまた一口。 でもそのまま、私の方を向いて、小さく言った。
凪誠士郎
〇〇
一気に心臓がバクバクしてきた。 凪がそんなこと言うなんて、今まで見たことない空気。
玲王はちょっと驚いた顔してたけど、すぐに「へぇ〜」って笑った。
御影玲王
そして彼はわざとらしく席にもたれてドリンクを飲み始めた。
その瞬間から、なんとなく、空気が変わった。 私と玲王と凪、の3人。 だけど、凪の視線がずっと私に向いてて、 玲王も何かを探るように見てくる。 まるで、私をめぐる見えない駆け引きが始まったみたいで…
そしてその空気に気づいたのか、 隣にいた零がそっとスマホを見て、ふっと立ち上がった――。