菜乃花
ねぇ、鬼ごっこしない?
そう言い出したのは、菜乃花だった。
美月
小学生じゃないんだから。
理央
でも、体動かせるからいいかな?楽しそうだし!
由美華
そうだね
奏
やってみるか
菜乃花
でもね…この鬼ごっこは普通のとちょっと違うの。
理央
どういうこと?
菜乃花
その名も…絶望鬼ごっこ
菜乃花は、包丁と銃を取り出した。心なしか、菜乃花のいつもの甲高い声も今ばかりは低く聞こえる。
美月
ひっ!
奏
銃って…どうやって入手したの…?
理央
私…本物の銃触ったの初めて…
由美華
これで…何をしろっていうの…?
分かっていた。そんなこと。
菜乃花
もちろん…殺すんだよ…!
菜乃花
まずは…美月ね
美月
えっ!
美月の声が裏返った。もちろん、誰も笑う人はいない。
菜乃花
いつも私の意見に文句ばっかり言いやがって
菜乃花
まずは、あんたを殺す
美月
いっ、いやぁっ!
奏
なっ、菜乃花!なんでこんな…
菜乃花
はいはい、皆逃げなよ~!
菜乃花は口元をほころばせながら言った。
菜乃花
楽しいからに決まってんじゃん
~7時間前~
理央
皆~!一緒に帰ろ!
由美華
うん!
奏
クレープ屋寄って行きたーい!
美月
それいいね
菜乃花
ねぇ、今日行きたいとこがあるんだけど
奏
どこどこ?
菜乃花
学校。
理央
あはは!菜乃花冗談やめなよー!今ここにいんじゃん!
菜乃花
時間が違うんだよねー
由美華
もしかして…夜の校舎に行きたいってこと?
菜乃花
さっすが私の親友!
私と菜乃花は仲良しグループの中でも特に仲が良い。
美月
馬鹿じゃないの?夜の校舎なんて入れるはずが…
菜乃花
ふっ、鍵持ってるんだけど
奏
えっ!すごーい!でも、どうやって?
菜乃花
タナアゲだよ
理央
え?
タナアゲとは棚方先生の事。自分は風俗店とか行ってるくせに(実際見た人がいるらしい)生徒がキャバクラでバイトしてるのを知って退学にしたんだって。(キャバクラでバイトするのもどうかと思うけど。)だから自分の事を棚にあげてるのと棚方をかけてタナアゲ。
菜乃花
ちょっと制服のボタンはずしたら、渡してくれた。
由美華
菜乃花…じゃあ、タナアゲに胸見られたの…?
菜乃花
ブラジャーはずされたし、下も…触られた。でも先生に、『先生方が帰った夜にどうですか?』って言ったら、鍵貰えた。
由美華
菜乃花…そこまでして夜の校舎に行きたかったの?
菜乃花
『行きたかった』じゃなくて、『行きたい』だけどね
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