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――夜明け前、立つ者がいない場所で
夜明け前の森は音が少なかった
虫の声、風のざわめきもどこか遠い
まるで世界そのものが息を潜めているみたいだった
焚き火は完全に落とされ、残った灰が微かに白い
その冷えた円の外側で俺は立っていた
弓を持つ指先に、わずかな緊張が走っている
みこと
視線を巡らせる
木々、影、地面
みこと
声を落として言う
すち
すちは少し離れた場所で座っていた
回復具を並べ、魔力の流れを整えている
みこと
すち
すちも同じ違和感を抱いていた
すち
その言葉の直後
空気が、沈んだ
一瞬で分かる
これは"何か来る"前の静けさだ
弓を引き絞る
木々の間
闇の奥で、影が揺れた
単体___じゃない
みこと
数を数える余裕もない
すち
ぽつりと、すちが言う
それは事実だった
LANも、いるまも、こさめも、暇72も
まだ眠っている
そして、不運なことに
4人が眠る場所は離れていた
起こすべきか
でも、間に合う?
考える前に地面が鳴った
低く、重い音
獣の足音とは違う
鎧を引きずるような鈍さ
影が姿を現す
大きい
硬い
魔力の反応が異様に濃い
みこと
___強敵
本能がそう言ってる
怖くて足がすくんだ
すち
すちの顔も強ばっていた
怖い___
でも、やらないといけない
みこと
矢を放つ
風を切る音
___命中
だが、影は止まらない
みこと
もう1本
もう1本
削れるが倒れない
距離が詰まる
みこと
すちは魔力を集中させる
結界___
影が、踏み込む
一歩、二歩
その圧で、空気が震える
みこと
そう思った瞬間
下がれ!
鋭い声が夜を裂いた
金属音が鳴り響く
剣が影を受け止めた
火花
衝撃
みこと
すち
暇72が前に立っていた
寝起きのままの髪
それでも、目は完全に覚めている
暇72
暇72
みこと
咄嗟に走り出した
暇72の動きに合わせて射線をつくる
みこと
矢が飛ぶ
見事、敵の瞳に命中した
影が体勢を崩す
みこと
すち
すちの魔力が広がる
暇72の剣に強化魔法
明らかに剣が軽くなっている
暇72が斬る
そこに矢を飛ばす
暇72のもう一撃
影が地面に崩れ落ちる
静寂
みこと
安堵で弓を下ろす
すち
暇72
その時、暇72の足が揺れた
みこと
咄嗟に支える
すち
みこと
その時、足音が近づいた
いるま
LAN
こさめ
三人が状況を見て息を呑む
倒れた影
立ち尽くす三人
LANが静かに言った
LAN
いるまは何も言わず暇72の肩を叩く
こさめ
こさめが少し笑った
暇72は何も言わない
ただ、夜明けの空を眺めていた
薄い光が森を染めていく
前線はただの役割じゃなくなっていた
この六人の中で
自然に選ばれた場所になっていた