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クリスマスの夜に。

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クリスマスの夜に。

1 - クリスマスの夜に。 前編

♥

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2022年01月03日

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男の子は、きっと知らない。

女の子は、好きな人ともしデートできるなら

その前日…いや1週間前から

念入りに、念入りに準備しているってこと。

ガンッ

ノノカ

いった…

フラフラと歩いてきた高校1年の私、ノノカは今日

12月24日、デートします。

始まりは昨日の放課後

ダメ元で好きなセンパイを誘ってみた。

ラン

大丈夫、ノノカならいける

友達のランとの同盟を裏切ってデートに誘うワケなのに

何故かランは私よりも明るく応援してくれる。

その気持ちに応えたくて、無理だって分かってたけど

ずっと大好きだったリョウタセンパイに、言った。

ノノカ

リョウタセンパイ!

ノノカ

もしよかったら…明日12月24日の夜、出かけませんか…っ?

結果は先に言っちゃった気がするけど

リョウタ

リョウタ

…いーよ

って。

そっけない返事だけど本当は優しいって知ってるから━━━。

ノノカ

(やった…!)

私は本当に嬉しかった。

そうしてニヤニヤしながら靴を履いていた私に

メッセが届いた。

ノノカ

(…ん?)

ラン

ノノカ改めて誕生日おめでと

ラン

それで、ちゃんと荷物確認した?

ラン

私の分まで楽しんで来いよ!

うるっと目尻に涙が浮かぶ。

この子、流石に優しすぎやしない?

確かクリスマス前に彼氏と別れてボッチになってしまったらしく

そこで同盟を組んだ私にも裏切られて

なのにこんなに優しくて

…ほんとに、幸せになってほしい。

ノノカ

うん!だいじょぶ!

ノノカ

ほんとにありがとう、ラン!

そして気づいた人もいるだろう。

そう、私はクリスマスイブの今日が、誕生日だ。

誕生日を知ってるわけがないし、祝ってもらう気もない。

だけど、誕生日くらい一緒にいたかった。

ノノカ

さむっ

流石にクリスマスだ、道はすごく混んでいたけど

それとは対比して私の心は期待に溢れていた

…そして

リョウタ

ノノカちゃん

ノノカ

リョウタセンパイ!

センパイと落ち合ってイルミネーションを見に行くことになった。

ノノカ

わぁ〜!!やばいやばい!

ノノカ

めっちゃ綺麗じゃないですか?

リョウタ

うん

口数の少ないセンパイと少し沈黙が続いても

私の心はいっぱいいっぱいで

とっても楽しかった。

ノノカ

あの…

たまにセンパイのぼーっとした顔を見てしまって

少し胸が痛む中、それにも見惚れてしまう自分がいた。

リョウタ

あ、何?

ノノカ

ノノカ

いえ!

時刻はもう8時過ぎ

門限まで、あと少し。

ノノカ

センパ━━━っ

と、そのときだった。

私はいつものドジを発揮し躓いてしまう。

ノノカ

(サイアクッ…!)

だけど私がバランスを崩したその瞬間

リョウタ

わっ

リョウタセンパイは、私を受け止めていた。

ノノカ

…っ!

ノノカ

ごめん、なさい!

咄嗟にセンパイから離れた私は恥ずかしいやなんやらであたふたとしていたけれど

センパイは、優しく微笑んだ

リョウタ

ふっ

そして何故か

リョウタ

んーん、ありがと

私にお礼を言った。

ノノカ

(え…?)

リョウタ

…ねえ、ノノカちゃん

ノノカ

はい…?

リョウタ

もうちょっとだけ、いい?

ノノカ

ノノカ

はい!もちろんです!

門限が頭をよぎって躊躇したけれど

それよりリョウタセンパイで頭がいっぱいで

お母さんに謝罪のメッセをこっそり入れながら、私はリョウタセンパイに続いた

ノノカ

…どこ、行くんですか?

迷いのない足取りに率直な疑問を浮かべて言った私に

リョウタセンパイは私の初めて見る、笑顔を浮かべて言った。

リョウタ

ないしょ!

ノノカ

…っ

ノノカ

(やばい、心臓がもたない…っ)

そのイタズラなかわいい笑顔を、私に向けてくれている。

私だけに向けてくれている。

それだけで私の心は爆発寸前だった。

リョウタ

ノノカちゃん

名前を呼ばれてパッと顔を上げると

そこには私たちの街が、あった。

ノノカ

なに、ここ…っ!

リョウタ

俺の大好きな場所

大好き

その言葉にまた顔が熱を帯びる。

ノノカ

何で、そんなとこに私を…っ

はやる気持ちを抑えながら言った私に

センパイはさっきと違った笑顔を浮かべる。

ノノカ

(…え?)

ノノカ

(なんでそんな、悲しそうな顔…っ)

ドクン、ドクンと自分の鼓動がやけにうるさく聞こえる。

リョウタ

そろそろ帰んなきゃだね

そして彼の言葉を待つ。

リョウタ

…俺ね、好きな人がいたんだ

一瞬、耳を疑った。

ノノカ

…え?

ノノカ

(…まだ私、告白してない…よねっ?)

さっきまでの幸せが嘘のようで混乱する私に

センパイは頭を下げた。

リョウタ

ごめん

ノノカ

どういう、こと、ですか?

ノノカ

(…なに、これ)

焦点が定まらない私にリョウタセンパイは言った。

リョウタ

俺、誘われたからって口実に…ノノカちゃんと今日、デートしに来た

リョウタ

けど、ほんとは俺振られて辛いのを何かで埋めたかったのかも

ノノカ

(なんで…?私まだ、告白してもない)

涙が浮かぶのも無視してリョウタセンパイを凝視する。

リョウタ

…けど

リョウタ

何度俺がその子のこと考えても

リョウタ

ずっと、明るく話しかけてくれたノノカちゃん見てて

リョウタ

…申し訳ないなって思った

ノノカ

(…なんだ)

ノノカ

(ぼーっとしてなんて、なかった)

ノノカ

(その人のこと…考えてたんだ)

すでに力が抜けて、ぼーっとそう考えていた私は

脳内で復唱されるのを拒むように言った。

ノノカ

なんでそんなこと…私に言うんですか?

リョウタ

ごめんね

そうして近づいてきたリョウタセンパイは私の涙を拭った。

リョウタ

…申し訳ないって思ったのと同時に

リョウタ

挽回したいって思ったんだ

咄嗟に理解できなかったその言葉に

ノノカ

挽回…?

リョウタ

うん

リョウタ

俺ばっかり、楽しませてもらってるでしょ?

リョウタ

だから━━━━

リョウタ

ノノカちゃんに喜んで欲しくて

リョウタセンパイはこんな嬉しいことを言うから

次の瞬間一瞬俯いた私は弾かれたように顔を上げた。

ノノカ

楽しいって…思ってくれてたんですか

リョウタ

…そこ?

ノノカ

そこですよ!

そしてセンパイはくるっと私の後ろに回って

私の首に暖かいものを巻いた

ノノカ

(マフラー…?)

リョウタ

誕生日おめでとう

ノノカ

…っ!

ノノカ

なんで、知って…!

リョウタ

教えてくれた子が、いたんだ

ノノカ

(ズルい…っ)

リョウタ

…さて

リョウタ

帰ろっか?

また涙が溢れてくる自分を抑えて

私は叫んだ。

ノノカ

待ってください!!

クリスマスの夜に。

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コメント

11

ユーザー

やばいめっちゃ遅れたああああごめんーー!!! うわ、これ完全に私の好みだ…切ないし甘酸っぱいし青春!!って感じがして最高だこれ…😭 …っていうか、私の作品読んで作ってくれてるとか嬉しすぎる…ほんとありがとう!!しふぉん大好きだよ🥰 もう冒頭から神だ…登場人物も神だ…ストーリーの展開も神だ…後半全然想像できないや、ドキドキする!!

ユーザー

クリスマスが誕生日って最高じゃね!?((そこかよ 無理だと分かってても自分の誕生日は好きな人と一緒にいたい、お祝いして欲しいって思うよね💭 でも、先輩がデートをOKした理由が予想外すぎて……💦

ユーザー

📢読んでくださった皆さま、ありがとうございました✨✨ お友達の楼月のクリスマス作品を読んで私も作りたいという思いつきで描きました!!🥰🥰読み切りで描こうと思ったのですが結局2話に分けて描くことになりました💧💧 後編も読んでくださったら嬉しいです!!

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