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主
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こちらの作品はirxs様のnmmn作品です BL要素が含まれますので苦手な方はご注意下さい また、コメント欄では 検索避け(例:🤪くん、青くん)の方 よろしくお願いします ※ご本人様には一切関係ありません
主
あれは、 絶対に忘れることのない 桜咲く季節のこと
高校三年生の卒業式前日
俺は恋人のないこと 二人で帰っとった
青
桃
桃
青
確かに卒業したからって 会えなくなるわけやない
それでも今までのように 毎日は会えへん
お互い進路も決まっとるから これから忙しくなる
寂しい、なんて言っても 困らせるだけや
やからこの想いは そっと胸に仕舞う
桃
青
桃
桃
桃
花が咲いたような笑みを 浮かべながら、 そう言い放つないこ
俺の考えとったことは 見透かされとるみたいや
何処にいてもお互いを 愛し合っとることには変わりない
ないこに言われてハッとした
俺は大切なことを 見落としとったみたいや
青
青
桃
二人でほんのり 頬を赤らめながら笑い合う
何十年先やって二人で こんな風に過ごせたらええな
そう心から思った
やけどそんな想いは 一瞬にして崩れ落ちた──
桃
青
キキーッ
ドンッ💥
後輩
通行人
通行人
何が起きたんか、わからんかった
車道を走っとったはずの車が 気がつけば目の前に来とった
ないこの叫ぶ声に驚く間もなく、 体が宙に浮いていた
次の瞬間には全身に 強い痛みが走った
周りの焦る声が どこか遠く聞こえる
そうや、ないこはッ⁉︎
俺を庇ってくれとったはず…
青
目の前のないこは 全身が真っ赤に 染まっとった──
青
桃
桃
青
青
桃
桃
青
事故の様子を見とった人たちが 警察や救急車を呼んでくれとる
直に到着するやろう
桃
青
桃
青
桃
桃
青
俺の頭には 絶望の文字しか浮かばへん
目の前で命が尽きようとしとる 彼氏の姿をただ 見ることしかできへん
そんな自分に嫌気が差す
青
桃
桃
桃
桃
青
桃
青
青
涙で滲んだ視界に見えたんは、 優しい笑みを浮かべて眠る ないこの姿やった──
ピッピッピッ
青
青
規則的に響く機械音
起きたばかりで揺れる 視界の中映ったのは、
見慣れへん 真っ白な天井やった
青
青
ここは、どこや…?
って、そうや!ないこ!!
確かないこと帰っとって 車が突っ込んできて…
ガラガラガラ
医者
医者
青
医者
青
医者
青
青
医者
医者
青
ないこが、死んだ、、、?
あの明るくて、大食いで、 体力バカで俺のこと 大好きなアイツが…?
にわかには信じられんかった
でも、医者の真剣な顔を 見とったらその事実を 受け入れるしかなかった
医者
医者
青
青
医者
医者の説明によると ないこが庇ってくれたおかげで 俺は何とか死なずに 済んだらしい
もしそうやなかったら 二人とも即死やったらしい
青
俺は、最低なことを思った
ないこのいない世界で 生きるぐらいなら 一緒に死んでしまいたかった
一人で生きていることが 耐えられへんかった
やけど、ないこの最期の 言葉を思い出した
「俺の分まで生きろよな」
ないこは命を俺に託した
俺が自殺するってことはつまり もう一度ないこが死ぬ…
いや、俺がないこを殺すってことや
青
俺はないこの一言で、 どんなに辛くても自ら 命を断つことは叶わなくなった
きっとこれが ないこの目的なんやろうな
俺を生かすために…
青
ホンマ、どこまでも狡いヤツ…
その日、俺の脳内は 桃色でいっぱいやった
青
心の整理がつき切らないまま 迎えたないこの葬式
穏やかな顔をして眠る ないこを何とも言えへん 感情で見とった
ないこがもうこの世に おらんって再認識して また泣きそうになった
青
泣くな、俺…
ここで泣いたらないこに 心配かけてまうやんか…
桃の母親
青
青
桃の母親
桃の母親
青
ないこ、俺のこと好きすぎやろ…
あぁ、ホンマに…
青
俺の頬に一筋の涙が伝った
あれから何年もの月日が経った
俺はすっかり大人になって、 会社員として務めとる
有名企業に入社し、 そこそこのポストに 就かせてもらっとる
青
ただひたすらに画面を見ながら 文字を打ち込む
これが社会の歯車か、 なんて悲しいことを考える
体は随分大人になっても 心はずっとあの頃で止まったまま
あれから恋人が できたことはなかった
正確にはもう他の誰かを 心から好きになれると 思えないんや
俺にとってないこを 超える人はおらんのや
一緒に卒業できへんかった アイツが死んでもなお 俺の心を支配する
俺の中のないこの存在は めちゃくちゃ大きいものや
記憶からどんどん 薄れていく思い出たち
毎日のようにメールして、 二人で帰り道で大笑いした あの日常は2度と帰ってこない
そんな非情な現実は 俺に重くのしかかる
青
後輩
後輩
青
直接的に言うんも 気が引けて濁して答える
後輩
青
後輩
青
後輩
青
後輩
青
後輩
後輩と談笑する時間も楽しいが、 やっぱり物足りへん
俺は新しい恋に進もうと 思えへん
仕事の同僚は知らんやろうが、 俺は同性愛者やから
恋人を作るんは 簡単なことやない
まぁ女性と付き合うんが 完全に無理というわけでもない
やけどどんな相手やったとしても 魅力的に思えへんのや
青
今日のノルマ分を終えたため、 パソコンを閉じた
青
後輩
青
後輩に手を振り、 会社を後にした
青
一人暮らしのお世辞にも 綺麗とは言えへん 家に帰って来た
物が散乱し、汚部屋と 言われても仕方ないほどや
溜まった食器に 机に積まれた空き缶
青
ジャケットを脱ぎ、 ネクタイを緩めた状態で片付ける
多少なりとはマシになった
ないこはこんな俺の様子を見て なんて言うんやろうか
あの落ち着く声で 叱るんやろうな
きっとその後呆れながらも 片付けを手伝って くれるんやろうな…
青
青
お前が恋しくて恋しくて 仕方ないんや
もう会えへんってわかっとるのに 好きで好きでたまらないんや…
隣にないこがおらんことが 悲しくて仕方がない
当たり前に一緒におったのに、 失ってから俺の中でないこが どれだけ大切なんかを思い知った
透き通った桃色の髪に 綺麗な同じ色の瞳
優しい低音の声に 俺とほぼ変わらへん身長
寿司と香水とピアスが好きで…
気づいたら面影を探しとる
でも全く同じ人なんて おるわけもない
そんなの、わかっとる
代わりなんて存在せぇへん
ないこはもう、この世に存在しない
そんな非情な現実が 俺の心に深く突き刺さる
あれから10年近くが経過した
周りはもう10年経ったん やから立ち直れ、と言う
何度も割り切ろうとしたが 無理やった
青
冷蔵庫を開け、 いつもの缶チューハイを手に取る
すっかりストックも 減ってしまった
青
青
喉を通っていく炭酸
鼻から抜けるアルコールの香り
ないこは酒を飲めるようになる 前にこの世を去ってしまった
大人になることが叶わんかった
俺だけがあの頃に囚われたまま
今でもあの頃の夢を見る
二人で馬鹿騒ぎした日々、
デートに行ったこと、
そして、あの交通事故の日
車のブレーキ音
体が宙に浮く感覚
真っ赤に染まったないこの姿
昨日のことのように鮮明に蘇る記憶
青
青
青
俺の嗚咽は静かな部屋に反響した──
ピッピッピッピッ
あれから何十年の月日が 経ったんやろうか
心電図の音だけが鳴り響く 病室で死期が来るのを 待っているだけの生活や
結局俺はあれから恋を することはなかった
生涯独身の天涯孤独や
歩くこともままならない ほどになってしまった
青
意識が朦朧としてきた
最期の気力を振り絞って ナースコールを押す
青
息がどんどんし辛くなってくる
医者
医者
担当医の先生が走ってやってきた
青
医者
医者
青
あぁ、もう俺も 死んでまうんやな
これでやっとないこの ところに逝ける…
青
俺はそっと目を閉じた──
青
目を開けると一面空が広がっとった
足元は雲のようや
桃
青
何で、ないこが目の前に…
そっか、俺天界に来たんやな…
桃
桃
桃
青
青
桃
桃
青
桃
青
桃
目の前に、ないこがおる
その事実だけで涙が止まらへん
好きという気持ちが 溢れて止まらへん
青
桃
青
桃
桃
青
青
青
これからは、 一緒に居れるんや…
ホンマに嬉しい…
桃
桃
青
桃
青
桃
桃
ホンマこいつは狡いヤツや…
俺が欲しい言葉、全部くれる
ないこの言葉が呪いで、 それでいて俺の特効薬や
青
桃
青
桃
桃
桃
桃
青
俺は、幸せもんや
ないこを好きになって、良かった
俺が今まで生きて来れたんは ないこのおかげや
ないこの分まで生きようって、 そう思えたんや
青
桃
桃
ℯ𝓃𝒹.
あとがき
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主