テラーノベル
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「安心させたかっただけ」 そう言った哲汰の声は優しくて、 咲の胸の奥まで、じんわりと染みていった。
繋がれた手から伝わる体温が、 静かに不安を溶かしていく。 画面の中で笑っている哲汰よりも、 今ここで、まっすぐに咲を見てくれている彼が すべてだった。
哲汰は少し照れながら話した。
咲は黙って聞いていた。 哲汰が、自分が思っている以上に繊細に 向き合ってくれていたことが、 何より嬉しかった。
哲汰
咲
哲汰
咲
そう言った咲に、哲汰はふっと笑って頷いた。
哲汰
咲
哲汰
咲
咲がそう言った瞬間、 哲汰は真剣な顔で咲を見つめた。
哲汰
その一言だけで、胸がじんわり熱くなった。 演技でも脚本でもない、本物の気持ち。 咲はそっと哲汰の胸に顔をうずめる。
咲
画面の中のストーリーは進んでいたけど、 ふたりの世界はもう、 それを追いかけてはいなかった。
ドラマの初回放送は、咲にとって、 “恋人が芸能人であること”を あらためて実感した夜だった。
でもそれ以上に、 “どれだけ遠くに見える世界の中でも、 彼の心はちゃんと自分の隣にある”と 知ることができた夜だった。