主人公
と言っても、ここはもう
深さ200m以上なんで、
深海領域ではありますよね
深さ200m以上なんで、
深海領域ではありますよね
僕らは、太陽光が ほとんど届かない深さにいた。 牢獄に閉じ込められているようだった。 まるで、この海そのものが巨大な監獄だ。
海軍長さま
水圧はまだ耐えられるな?
ネイ
はい、まだ数千メートルは行けますよ
深海は未知の領域だ。 水圧が人類の問題の壁として、 立ち塞がっている。 だから、人は深海に立ち入れないんだ。
海軍長さま
だが、陽の光はこの程度の深さなら届いている事になってるがな
主人公
でも、やっぱここも暗い
ですよ。夜と例えても
おかしくないくらい
ですよ。夜と例えても
おかしくないくらい
窓の向こうは、 水の色が見えなくなっていた。 潜水艦の先端についている明かりでさえも、色を判別出来ないくらいだ。
主人公
ここはまだ深海じゃないって事ですか?
僕は、改めて尋ねてみた。
海軍長さま
深海って言っても、レベルがあるからな。
海軍長さま
皆が思うような地下世界はもうちょい先の話だ
主人公
(こんなに深い海の底に、何しをしに行くのだろう)
ネイ
いやー、しかし久しぶりに深海なんて行きますね
ネイは、僕と同い年ではあるが、 船に乗ったのは僕よりも数年先だった。
主人公
(そういえば、僕はなぜこの船に乗ったんだっけ)
主人公
(少し考えて思い出せないのは、本来の目的も忘れているからだろう)
主人公
どうして、深海に行く必要があるの?
ネイ
うーん?
ネイは、眠気覚ましに伸びをしているようだった。
主人公
だって、こんな海の底に何をしに行くの。
主人公
出来る事なんて限られているのに
ネイ
宝探しに行くんだよ
目の前の青年が、 僕の疑問を一瞬にして打ち消した。
ネイ
何しに行くのか聞いたって、ここでは誰も教えてはくれないぞ?
主人公
どうして?
ネイは、口をつぐんだ。 言葉を続けようとしたのに、 無理やり飲み込んだみたいだ。 なぜそんな辛い表情をしたのか、 僕には分からなかった。
??
深海には…宝が眠ってるのさ。だって、未知の領域だからね
??
掘り出しものが沢山あるんだ
彼の声色はあまりにも落ち着いていた。 そのせいか、今の彼は、 僕の知っているネイじゃなくなっていた。
あぁ、ネクトだ。
また、僕の中で思い浮かぶ名前。 ネイに対して、ネクトさんだって。 僕に流れる言葉は、 現実とは異なっているのに。
ネイ
今日の任務は、宝石を探すんだ。
ネイ
宝石だって、地下世界にしかないだろ…
ネイの言葉は、まるで自分に言い聞かせるような言い方だった。
深さ400mに達する頃、 潜水艦の船内は沈黙した。