イタリア
イタリア
ドイツ
イタリア
ドイツが表情を歪める。
無理もないだろうなぁ。
今やってて思ったけど、流石に怖いし。
…っま、もっと怖がらせてあげたいからいいけどね。
イタリア
イタリア
彼の手首を、さらにきつく締め上げる。
ドイツ
さっきよりも、危機感に溢れた表情。
本気で『逃げなきゃ』って思ってる顔。
イタリア
あぁ、たまらない。
愛しい。
この日の、この瞬間のためだけに、
ここまで頑張ってきて良かった。
一番良かったのは、監禁生活中にドイツの仕草が見れたこと。
彼が部屋に入った時から、
足運びの癖、息の深さ、肩の落ち方まで全部見れた。
だからこそ、ここまでできた。
照明の角度も、カーテンのひだも、
“ドイツが落ち着くように”見せかけて
“逆に油断させるように”整えられた。
あの頃ちょっと怖かったのは本当だけど、
それ以上に君が見れてよかった。
だって、今日に限っての失敗なんて、絶対したくなかったから。
それに、前は君が僕を崩した。
本当は襲われるつもりなんて毛頭なかったんだけど。
でも、だったら今日は、今度は僕が崩す番。
それにこの好意は、裏切りを"美しい形"で返せる。
__愛が、"作品"になる。
顎を持って、手首を掴んだときは気が付かなかった。
でも手首を強く握り締めた瞬間、ようやくわかった。
たまらない。
愛しい。
まるで僕の最高傑作。
今まで僕が描いてきた絵なんて、敵わないくらい。
もっと、もっと落としたい。壊したい。
壊したい。
でも、まだ。まだだ。
まだ"整って"ない。
イタリア
彼は、口をぱくぱくさせた後、静かに頷いた。
…"頷かされた"のほうが正しいのかな。
でも、頷いたことには変わらない。
イタリア
________どれだけ怖くっても、逃げないでくれて。
イタリア
さっきより、より近く。
密接に、
そんな距離が、怖かった。
イタリア
イタリア
イタリア
…襲ったことだろうか。
ぼんやり、どこか他人事のように。
冷めてしまったかのように考えていると、彼が口をひらいた。
イタリア
…部屋の温度が、一気に下がった感覚だった。
イタリア
イタリア
『作品』。
そう俺に言い放った彼の声は、驚くくらい優しかった。
でも...作品としての俺"だけ"が、称賛されているような気がして。
聞きたかったけど、喉奥が震えて、叶わなかった。
イタリア
イタリア
イタリア
イタリア
イタリア
…神聖ローマ崩壊時。
まさか、そんな昔から?
もしかして、その時から"作品"として...?
イタリア
やめろ。
そんなもの、超えたくもない。
…なのに、逃げられない。
手首の拘束だけなら、なんとかなる。
本気で暴れればなんとかなるはずなのに。
…なのに、心臓を、脳を、彼の言葉で、彼の指で、瞳で、
全て、掴まれているかのような気がして。
どんなに逃れたくても、彼の瞳に全身を縛られて、何も出来なかった。
イタリア
思考が、ブレる。
その声が、恍惚とした顔が、
まるで、あの日の俺のようで。
…怖くっ、て。
ドイツ
イタリア
イタリア
手を、指を、口を、ほんの少し動かすだけでも精一杯だった。
イタリア
イタリア
_______君とは、違ってね。
そんな声が聞こえてくるや否や。
彼は、俺が以前そうしたかのように、
行動を、始めた。
コメント
2件
え?まさかのイタリアがめちゃくちゃイカれていたパターンでしたか……こういうイタリアも良きですな…!