オトウト扱いしないでください！

私の方が年上だったから、

敬語は外させてもらう事にした。

浮所くんとの帰り道は意外と楽しくて、

あっという間に家に着いた。

そうそう、

そういえば浮所くん、

雄登に用事があるんだっけ、？

"やっぱり用事忘れちゃいました！"

"帰ります！"

と言い出した。

え、

忘れちゃったの、？

もしかして浮所くん、

案外アホな方…？

前家に遊びに来た

ふわふわ系男子龍我くんの仲間？

いつまでもブンブンと大きく手を振って後退していく浮所くん。

後向きに歩いたら、…

電柱に激突しちゃうよ、

って

言うの遅かったな、

少し可哀想で駆け寄っていくと、

"痛いよう、"

と私より背は高いのに上目遣いで見てきた。

う、…可愛いぞ、浮所くん！

そしてあざとい。

浮所くんは

"お願い"

と手を合わせてこてんと首を傾げる。

しょうがないなぁと浮所くんの頭に手を伸ばした。

屈んでもらって再び手を伸ばした。

髪の毛ふわっふわだ、

わんこみたい。

"お姉ちゃんにもそんな風に思われてるんですね"

なんてクスリと笑う。

"にも"って事は、

浮所くんも思ってるのかな、？

ふわりと手首を掴まれ、

浮所くんの胸に手のひらをあてられる。

おまけに凄い勢いで心臓が鳴っている。

パッと手首を離され、

真面目な表情から一変、

可愛い顔で笑って

今度はちゃんと前を向いて歩き出した。

不思議な子だなぁと、

首を傾げながらドアを開けた。

なんていうか、…

少しだけドキドキしているのは内緒、…ね、

男子高校生、

しかも弟の友達にドキドキしてるなんて、

バレたら生きていけない。

死ぬじゃん、

社会的に。

だからさっき雄登に飛んで行かなかったのか、

なんてね。

~ n e x t ~