涙が止まらなかった
そのウザ男二人はあたしに突っかから無くなった
三黒はというと、 実はこの幼稚園には
監視カメラが一室ずつ無数に付いていて、それを見た専門の方々は三黒の言動に感動し、テレビで話題になった
ナナレ
ナナレ
あたしは宮城県北部に生まれた
パパとママと、2つ年上の姉貴と まだ小さい1歳の妹がいた
パパはあたしら三姉妹にとても甘々で頭が上がらない ママはあたしら三姉妹を大事に育てて立派に育てようと勉強なども色々教えてくれた
姉貴もパパみたいにあたしや妹に甘々で家に帰ると毎回ハグしてくれる
とても温かくてこの幸せが壊れないように3歳ながらもあたしはこの家族を大切にして何があっても 守ろうと思った
現実はそういかなかった
2011年3月11日 午後14時46分 東日本大震災最大震度7 が起きた
あたしはその時、幼稚園にいた
川が氾濫したため、屋上に避難した
もちろん、姉貴も一緒に
ナナレ(3歳)
アンナ(5歳)
アンナはナナレを抱きしめた
ナナレ(3歳)
アンナ(5歳)
ナナレ(3歳)
アンナ(5歳)
アンナ(5歳)
姉貴の手は震えていた
ナナレ(3歳)
姉貴はあたしを安心させるために笑顔で楽しい話しとかしてくれた
姉貴もきっと、怖かったんだよな 分かってるんだ
現実を
ナナレはアンナの手を握った
アンナ(5歳)
幼稚園の先生
ナナレ(3歳)
そして急に地面が揺れて
ナナレ(3歳)
アンナ(5歳)
ナナレは屋上から落ちそう になっている
アンナ(5歳)
ナナレ(3歳)
なんとかナナレは屋上に戻れた
だけどまた地面が揺れて
アンナが屋上から落ちて津波に飲み込まれて 行ってしまった
ナナレ(3歳)
幼稚園の先生
ナナレ(3歳)
ナナレ(3歳)
幼稚園の先生
自分の無力さに怒りと情けなさを 抱いた
なんてあたしは遅いのだろう
もっと早く姉貴の手を掴んでいれば こんなことにはならなかった
あたしが殺したほうなもんだ
しばらくすると救助隊が駆けつけてヘリに乗って東京の学校の体育館に 避難した
ひとりぼっちで隅っこに体を傾かせた自分は感情を殺したかのように 心を閉ざした
不思議ながらも涙を流さなかった そこで涙を流したらなんか、周りに笑われそうだったから
弱いんだ、弱過ぎる、 強くならないと…って心から 念じていた
そしてあたしはこの日、初めて 〝死〟ということを理解した
ナナレ(3歳)
ナナレ(3歳)
どうしているんだろう…)
警察1
ナナレ(3歳)
警察1
パパは会社の建物と一緒に潰されて亡くなった
ママとレナは津波の影響で溺れて亡くなった
そして姉貴は
行方不明らしい
2022年になった今でも 行方不明状態である
ナナレ(3歳)
ごくろーさまです
警察1
そして警察の人が養女として里親になってくれる人が見つかったと言って あたしをこの家に連れてきた
瑞希(ミズキ)姉ちゃん(6歳)
香澄(カスミ) (2歳)
お義母さん
お義父さん
ガキなんか…
あたしは義父母には歓迎されていないのだと確信した
しばらくここに住んで、数ヶ月
瑞希(ミズキ)姉ちゃん(6歳)
ナナレ(3歳)
瑞希(ミズキ)姉ちゃん(6歳)
瑞希(ミズキ)姉ちゃん(6歳)
ナナレ(3歳)
瑞希(ミズキ)姉ちゃん(6歳)
瑞希(ミズキ)姉ちゃん(6歳)
瑞希(ミズキ)姉ちゃん(6歳)
ナナレ(3歳)
瑞希(ミズキ)姉ちゃん(6歳)
瑞希(ミズキ)姉ちゃん(6歳)
ナナレ(3歳)
瑞希(ミズキ)姉ちゃん(6歳)
なんでもない…
そして9歳の頃に 家事を押し付けられ、11歳の頃に バイトさせられた
あの異なる両親に
それも夜勤バイトだ
クロ
そして捨て猫だった黒猫、 友人である夏妃(ナツヒ)と奏太(カナタ)、 3人でこの黒猫を助けて
隣町の森林の川の近くで育てている
バイト先への通り道とかよく、 ここに来てクロにエサをあげている
息抜きに遊んだりしたりね
人は命を失ったら生まれ変わる
パパとママは何に 生まれ変わったんだろう
そして妹のレナも何に 生まれ変わるんだろう
姉貴は…一体どこにいるんだろう
あたしは家族の命日で毎年 家族写真を持ち歩く