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ずっと何かを失っている気がするんだ。
でも、何かは分からない。
どうしてなのかな?
魔法
僕のじいちゃんが、一昨日亡くなった。
急に容体が悪化して、亡くなったらしい。
じいちゃんとの思い出を思い出してみた。
じいちゃん
仁
じいちゃん
仁
じいちゃん
仁
仁
僕が渋々そう言ってやると、じいちゃんはニカリと笑った。
じいちゃん
この時、僕は思った。
あぁ、この人多分凄く長生きするだろうなって。
だから、死んだって聞いた時は心底驚いた。
じいちゃんはまだ60代だったのに。
親戚の叔母さん
そんな事を涙ながらに言われても、僕には戯言にしか聞こえない。
大体、あの人が僕の名前を呼んだのは、白い息の話をした時位しか覚えが無い。
仁
親戚の叔母さん
仁
誰が気を落とすって言うんだ。
と、思っていたけれど、骨になったじいちゃんを見て皆泣き出したので。
僕も一筋だけ涙を流してしまった。
親戚の叔母さん
仁
僕は何も見ない事にした。
そうしているとあっという間にじいちゃんの終わりの儀式は終焉を迎えていた。
もう泣かないで済む、とほくそ笑んでいると。
父さん
と、父さんが言うので、僕はじいちゃんの事を少しの間は忘れられないらしい。
仁
父さん
父さん
仁
父さん
仁
僕の家は、父子家庭だ。
じいちゃんが生きていた頃は3人で暮らしていた。
でも、僕らの関係は希薄だった。
会う時間自体少なかった。
父さん
仁
父さん
仁
父さん
父さん
仁
父さん
何の脈絡があったんだよ、と思いながら。
仁
と言うと、父さんは口の端だけを少し上げた。
父さん
そう言うと、財布と鍵だけ持って、スタスタと出て行った。
ガチャン
ドアが閉まった時、何故か安心した。
仁
乾いた笑いが思わず溢れた。
仁
僕は床に寝転んで大の字になった。
ふぅ、とゆっくりと息を吐く。
仁
唯一、鮮明に覚えているあの記憶。
仁
仁
あぁ、目の前が何だか曇ってきた。
どうしてだろう
仁
仁
目の前が曇った
仁
と、いうのは事実である。
仁
それは涙の比喩では無い。
仁
仁
僕の目の前に現れたのは
むくむくと湧き立つ泡
仁
仁
仁
僕はその泡の中に吸い込まれていった。
仁
息苦しさから解放されたその時、僕は真っ暗闇にいた。
仁
訳が、分からず、取り敢えず叫ぶ。
仁
仁
仁
仁
?
仁
僕は息を飲んだ。
?
突然現れたのは、ブレザーの男子学生だった。
仁
仁
仁
?
目の前の男子学生が手を上げると、僕は声を出す事が出来なくなった。
?
?
?
仁
仁
目の前の男は薄気味悪く笑う。
?
仁
き、記憶?
僕は訳が分からずにいると。
?
?
仁
仁
?
仁
?
というと、また手を振り上げた。
仁
仁
?
?
とそいつが言うと、急に眠くなってきた。
仁
最後の力を振り絞って言うと、目の前の男はニヤリと笑って背中を向けた。
?
仁
仁
?
誰かが、いる。
父さん
?
見覚えがあった。ここは家のリビングだ。
父さんと、見知らぬ女性。
女性はひどく呼吸が荒い。
?
その言葉と同時に泣き声が聞こえた。
うわぁぁぁぁん
あれは、僕…?
小学校低学年くらいの少年が泣いていた。
父さん
その瞬間、僕の脳はピンと答えを出した。
この人は、僕の母さんだ。
じゃあ、これは過去の出来事なのか…?
僕は変な奴に言われた「記憶」という言葉を思い出した。
これは、僕の記憶なのか…?
父さん
父さん
母さん
母は血走った目で包丁を僕に当てる。
僕と、心中するらしい。
でも、僕は生きている。
…何でだ?
じいちゃん
その時、ガチャリ、と扉が鳴った。
父さん
じいちゃん
母さん
じいちゃん
母さん
母さん
母は僕に向かって包丁を突き刺そうとした
その時
じいちゃんが母を僕から突き飛ばした。
椅子が倒れる音
僕の泣き声
包丁が落ちる冷たい音
じいちゃん
じいちゃんは、母に駆け寄った。
母は机の角で頭を打って血を流していた。
父さん
父さんは手を震えさせながら、携帯電話を取り出した。
うわぁぁぁぁん
僕はひたすら泣いていた。
じいちゃん
そう言って、僕をぎゅっと抱きしめてくれたのは
じいちゃんだった
じいちゃん
そう言うと、母に駆け寄って行った。
そして、母は一命を取り留め、入院する事になったらしい。
しかし、母は狂ってしまった。
何が原因だったかは分からない。
でも、心を病んでいた。
母さん
母さん
母さんは面会が出来なくなった。
そして少しして亡くなったと聞いた。
元々、持病があったらしい。
人生に希望が持てなくなったのはその為かもしれない。
親戚の叔母さん
真っ黒い服を着て同情したつもりにでもなってるのか。
仁
じいちゃん
じゃあ、何で僕の存在を好ましく思ってくれないんだ。
父さん
仁
じいちゃん
仁
もう死んでしまいたい。
ああ
楽にさせてくれ。
?
お、お前さっきの。
?
本…だと?
?
そう言うと、男子学生はぱちんと指を鳴らした。
?
仁
?
仁
?
男子学生は馬鹿にした様に笑う。
?
今、何て言った?
仁
そう言うと、男子学生はこくこくと頷く。
?
愕然とした。
?
面白がる様に僕を見る。
?
その声は僕を挑発する様に聞こえた。
仁
そう言うと、男は迷惑そうに頭を掻く。
?
仁
?
仁
そう言うと、男子学生は溜息をついた。
?
そう言うと、男子学生の手の平にぽうっと光が宿った。
?
?
?
男子学生は、面白そうに僕を見る。
そりゃ、嫌だけど…。
仁
仁
そう言うと、男子学生はにこりと笑った。
?
?
?
一年後
僕は中学生になっていた。
仁
僕はそんな台詞をたまに吐きたくなる。
はぁ
白い息が出た。
あぁ、そういや今日はじいちゃんの一回忌か。
本当ならね。
じいちゃん
じいちゃん
仁
どうしてって
聞きたい事は山々なんだけど
取り敢えず、あの後実世界に戻ったら
この人生きてたんだよね。
ムカつくことに、この人には何の記憶も無いし。
?
みたいな事なんだろうけど。
じいちゃん
でも
無邪気に笑うその人を見てたら
何となく嬉しい気もするから
まぁ
いっか