同級生
同級生
同級生
みんな、つぎつぎにあらわれる、 同級生の顔を見るたびに、歓声をあげた。
今日は小学校の同窓会。 高校受験も終わったこの時期に、 誰がいい出したのか、 小学校で集まろうということになった。
みんな、校門の前で立ったまま、 おしゃべりが止まらなかった。 それぞれの近きょうをたずねあったり、 進路をつたえあったりした。
藤原
なかなかそういいだせなかった。 みんなに
同級生
同級生
などと、はやしたてられるだろうと思うと、照れくさい。 聖羅高校にいき、バスケットボール部に入るのは、ぼくの小学校のころからの夢だ。
麻友
麻友が、地元の公立高校の名前を、 わらっていうのを残念な気持ちで聞いた。麻友は変わっていない。 いつもほんわかやさしくて、 笑顔もかわいい。
せりな
お調子者のせりなが、麻友をからかう。 麻友ははずがしそうだったが、 うれしそうに、にこにことわらっていた。
藤原
ぼくは、ずっと麻友が好きだった。 いままではきっかけがなかったが、 そろそろデートにさそうチャンスかもしれない。
井沢
井沢がいった。 いつもクラスのリーダー役だったから、 こんなときでも自然とみんなをとりまとめてくれる。
全員がぞろぞろ歩いて、校庭に入り、校舎を見あげた。
同級生
同級生
せりな
せりなが、もともと体育館があったほうを指さした。
井沢
井沢が、たずねた。 みんな一瞬だまってしまった。 無理もない。 あの日のことは、悲しい思い出だ。
回想
卒業式の最中だった。 「「ごりごりっ。」」 何か大きくてかたいものが、はがれてくる音がした。 巨人の歯ぎしりみたいな、いやな音だ。
藤原
となりにいたやつの頭上から、 バスケットゴールが落ちてくるのを見て、さけんだ。
にげようとして、 うつ伏せにたおれたのまでは覚えている。気がついたときには、家にいた。
お母さん
お母さんがそういってくれた。 体育館があった場所には、 今は建物はなく、花壇になっていた。 赤や黄色のチューリップが咲きそろっていて、とてもきれいだ
井沢
石碑を見ていた井沢が、 ぽつっといった。
せりな
せりなにそう言われて、 ぼくはドキッとした。
あいつ……牧野は……バスケが好きだった。聖羅高校のバスケットボール部が強くて、カッコイイことを教えてくれたのも牧野だ。
あの日、 古いバスケットゴールの下じきになって、亡くなった者がひとりいた。 牧野だった。
体育館は立ち入り禁止になり、 家に卒業証書が送られてきて、 中断された卒業式のやり直し機会もなかった。
ぼくは中学に入ってたから、 かくだんにレベルの高くなった勉強、 それにクラブ活動の両立でいそがしく、 卒業式以来、今日まで同じ小学校のだれかと会うこともなかった。
藤原
ちくんと胸がいたんだ。 バスケットボールが大好きだったあいつが、傷んだバスケットゴールのせいで死んでしまうなんて、 本当にひどい話だ。
石の表には、 亡くなった生徒をいたむ言葉とその名前が、小さな文字で彫られている。 麻友をみたら、石碑を見ながら涙を流していた。
せりな
麻友
藤原
前を向いた瞬間、ぼくは目を疑った
牧野が、そこにいたのだ。
牧野は寂しそうに麻友の後ろにたっていた。
藤原
大声で叫んだつもりだったのに、ぼくの口からは一言も出てなかった。
牧野
藤原
牧野はぼくに気がついたのか、固まってしまった。 そして、寂しそうに麻友の前から少し、離れた。
あぁ、そうか…牧野も麻友が好きだったのか……
そう思ったら、なんだか心が痛かった…
牧野とは違い、無傷で助かったぼく。 牧野が憧れてた高校に受かったぼく。 牧野の好きな人をデートに誘おうとするぼく。
牧野のすべてをぼくが否定してるみたいで……
藤原
今にも泣き出しそうだった
牧野
藤原
藤原
井沢
藤原
麻友
麻友
牧野
牧野
牧野のはぼくの方を指さした。
牧野
牧野
井沢
せりな
麻友
麻友
クラス全員がいっせいに手を合わせた
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