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俺は今日も保健室にいる。正直、体調は悪くなっていく一方

満先生

大丈夫?阿部くん

あべ

大丈夫です…すみません…次の時間からは戻ります…

満先生

……。今日は帰ったら?

あべ

いえ、親が金を出してくれてるので…

満先生

そう……。無理だけはしないようにね

あべ

すみません

辛い。そう言えば楽になることぐらい知っていた。元々俺は祖父母に育てられていたが、二人とも自殺をし、居なくなった

さくま

阿部ちゃん!

佐久間が俺の休んでいるベッドにやってきた

あべ

わ、佐久間…どうしたの?

さくま

大丈夫?

あべ

大丈夫だよ。ありがとう

さくま

ねぇ、阿部ちゃん…

あべ

ん?

さくま

あ…の……さ……

何か言いかけた佐久間は急に何も話さなくなった。多分気を失ったんだろう

あべ

ちょ、佐久間?大丈夫?

俺は無意識に強く揺さぶってしまっていたようで、

大ちゃん

酔う、酔うから、揺さぶりすぎだ、

佐久間がそんな事を言った。でもその声は俺の知っている佐久間の声の高さじゃない。そのことに驚き少し身構えてしまう

大ちゃん

あ、悪ぃ…。脅かす気はなかったんだが…

あべ

佐久間、だよね?

大ちゃん

んー、まー。合ってはいるな

あべ

でも、そんな声じゃないよね、佐久間って、

大ちゃん

そうだな。厳密に言ってしまえば、俺は佐久間であり、佐久間では無い

あべ

え、どういう事?

俺は不思議に思って首をかしげる。佐久間はうーん、と小さく唸り、何かを考え始める

大ちゃん

そうだな、御前は、漫画とかは読むか?

あべ

まんが…家では禁止されてるから…

大ちゃん

そうか…。二重人格って言うものの存在は知ってるか?

あべ

一応、知識はあるけど…

大ちゃん

そうか

あべ

え、二重人格?

大ちゃん

簡単に言えばそうなるな

あべ

わお……

大ちゃん

目黒と同じ反応だな

あべ

え、ごめん!?

大ちゃん

そんなにびっくりしながら謝らなくても大丈夫だから落ち着け

あべ

落ち着く……

落ち着けるわけもないが、落ち着けと言われたからには落ち着くしかない

大ちゃん

御前、名前は?俺は大ちゃんって呼ばれてる

あべ

俺は阿部亮平。阿部ちゃんとか阿部くんとか呼ばれてるよ

大ちゃん

そうか……

あべ

ねぇ、

大ちゃん

ん?

あべ

どうして二重人格になったの?

大ちゃん

嗚呼、親からの虐待と学校でのいじめ。いじめに関しては先生が主犯格でやってたから助けを求められず自殺しようとした時に俺が生まれたって訳

あべ

なるほど…

大ちゃん

阿部の言う佐久間は俺の別人格、と言うか主人格の佐久間大介だ。元々持ち合わせている喜怒哀楽のうちの喜と楽が集中している。勿論怒も哀も持ってはいるが

あべ

で、君は……

大ちゃん

怒、哀、不から生まれた人格で裏人格だ。基本的には、喧嘩しかしてない

あべ

だろうね…○×高校は日本一治安の悪い高校として有名だし…

大ちゃん

主人格とその体を守るためには致し方ねぇ事なんだよ

あべ

だよね……

大ちゃんと呼ばれる人格になってふと気になったのは眼鏡だ

あべ

あれ、眼鏡……

大ちゃん

ん?嗚呼、人格によって持病があったりとかするケースがあるからな。俺は目が悪い

あべ

成程…

大ちゃん

そういや、俺何の疑問も抱いてなかったが、御前、体調悪ぃのか?

あべ

へっ?

大ちゃん

否、此処保健室だろ?

あべ

あ、うん…ちょっと、ね…

大ちゃん

帰んねぇの?

あべ

帰れない、

大ちゃん

また何で

あべ

親がね、仕事人で共働きなんだ…朝から夜中まで居ない。と言うか、ほぼ家には居ない

大ちゃん

一人暮らしみたいになってんのか

あべ

そういう事だね…

大ちゃん

寂しいだろ

あべ

んー、そこまでって感じ、生まれてからずっと、親の愛情を知らないからさ…軽い育児放棄されて、中三卒業までは祖父母の家に住んでたの

大ちゃん

そうか……

あべ

祖父母はついこの前自殺して亡くなったけどね、

大ちゃん

そうなんだな

あべ

うん……

俺がこんな体だからなのか、熱を出していたり体調が悪い時は人肌恋しくなる。でも、家に誰もいないから帰らないだけ、と言うのもある

大ちゃん

なぁ、1つ提案があるんだが

あべ

うん?

大ちゃん

シェアハウス、しねぇ?

あべ

シェアハウス……?

大ちゃん

そう。俺と御前はそんなに仲良くねぇから躊躇いはあるだろうが、俺も一人暮r……目黒が居候して来ててな。三人で住んだら少しは寂しさも埋まるんじゃねぇかなって

あべ

あー……確かに…

大ちゃん

だろ?バイトやらなんやらやりながら家賃とか光熱費とか払えば何とでもなるしな

あべ

そうだね

大ちゃん

何よりなのは、誰も居ねぇから体調悪ぃのに帰れねぇってのが、な

あべ

ふふ、心配してくれてるの?

大ちゃん

そりゃあそうだろ。彼奴の大切な友達なんだからな

あべ

ありがとう。大ちゃんは無愛想に見えて優しいんだね

大ちゃん

無愛想、か…そう見えるか

あべ

うん

大ちゃん

笑い方、知らねぇんだよ…

あべ

喜びも楽しみも感じられない?

大ちゃん

おう。その場面に遭遇したことがねぇから…。俺が出てくんのは稀なんだ。彼奴が疲れた時にしか出てこれねぇ

あべ

……。そっか

大ちゃん

おう

あべ

もっと佐久間のことも大ちゃんの事も知りたい……

大ちゃん

ゆっくりでいいさ。お、次の授業始まるな

あべ

あ、行かなきゃ、

大ちゃん

辞めとけ。今日は帰ろう

あべ

でも……

大ちゃんは駄目だと首を振り、優しく俺の頭を撫でてくれた

大ちゃん

今日は俺の家に泊まりに来て構わねぇから

あべ

あ、ありがとう…

大ちゃん

荷物なんかは目黒に頼んどくから。取り敢えず帰るぞ

そう言って俺をひょいと持ち上げる佐久間。怪力だなと思いながらされるがままに大人しくして、佐久間の家に向かった

俺らのシェアハウス

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