桜の花が舞う季節。
三春舞桜
遥か遠くの記憶。
今でも鮮明に覚えている。
桜遥
私が手を伸ばすと、 恐る恐る握る。
小さな2つの手を 離れぬようにと。
でもそれも、 叶わなかった───
三春舞桜
耳をつんざくような 電子音に目を覚ます。
三春舞桜
幼い彼の声が遠くなって、 消える。
私は重だるい体を起こして ベッドから下りた。
彼との出会いは 小学校低学年くらいのこと。
桜が咲き誇る公園で、
1人ブランコに乗る 男の子がいた。
私はなんとはなしに その子に話し掛けた。
三春舞桜
桜遥
三春舞桜
俯いてた顔が 驚いたように上がる。
蜂蜜色の綺麗な瞳が 見開かれていて、
私は恥ずかしげもなく その瞳を褒めた。
その子は途端に 顔を赤くすると、
桜遥
と声を荒らげた。
三春舞桜
率直な私の言葉に その子は口を噤む。
桜遥
三春舞桜
三春舞桜
桜遥
三春舞桜
桜遥
トマトみたく真っ赤な顔で そっぽを向く男の子…遥。
その後私達は学校帰りに 公園で待ち合わせては、
遊ぶようになった。
違う学校だったし、
携帯電話なんて持ってる年じゃ なかったから、
本当にその"放課後の約束" だけが接点だった。
でもこの関係が続いたのは 桜が咲いている間だけだった。
三春舞桜
桜が散りきった春の終わり、
遥は公園に来なくなった。
コメント
6件
今回も最高です!!😖💗💗 切なすぎます😭😭 至る所に桜が散りばめられてて、素敵です!桜ももう散っちゃうので今の時期にぴったりですね!
えさいこうすぎる😻😻
うぎゃー!!最高すぎます‼️🥹 ホントてまりさんのストーリー好きです🫶🏻 没頭できちゃいます😽💓