王子と使用人

キヨ→王子 レトルト→使用人 付き合ってます！

ガバッ

俺はレトルト 王様に雇ってもらってここで使用人として働いてるんだけど… 王子の距離が近すぎて正直困ってる！！！ こんなん見られたら俺クビになるかも…っていつも怯えてるけどキヨくんが大丈夫って言って聞いてくれない

言う通りにすると、パァッと顔が明るくなる なんか…ほんと…犬みたい… ていうかいつも命令命令って…こんなことに使って良いのか…？

ナデナデ

甘えたように言ってくるキヨくんに少しキュンとしながら部屋を出た

廊下に出て、んー！と伸びをする キヨくんのためにも早く終わらせれるように頑張るかーと意気込んだ

誰かに見られていたことになんて気づかないまま

他の仕事とは、王様が読んだ本を戻して欲しいという仕事だった 午前のうちに他の仕事全部終わらせといて良かったー… これなら少しは早く終わりそう…といっても本棚の量が多すぎてどこがどこか分かりづらい… よし！やっと終わった…！早くキヨくんのところに行こう、と歩きだしたときだった おい、と聞き覚えのある声にビクッと肩を揺らす

…最悪だ…何で今こいつなんかに… こいつは俺より偉いから、逆らえないのがほんとに腹が立つ 王子が俺を気に入ってるのが気に食わないみたいで前からこいつに嫌がらせなどはされていたから近づかないようにはしていたんだけど… …早く終わらしてしまおうと大人しくついていくことにした

ドンッ！

いつもの部屋についた途端、腕を捕まれた そのまま思いっきり引っ張られ投げ飛ばされたため、壁に強く頭と体を打ち付けてしまう 壁に寄りかかりながら座り込み、ぐらぐらして痛い頭と体に耐えながらあいつを睨み付ける

そんな、まさか、、見られてたなんて、、、っ

そういうと、服から小さい小型カメラを取り出し俺に見せつけた

未だに揺らぎ痛む頭と体を力ずくで起こし、頭を下げ、土下座をする そんな俺を気持ち悪いくらいニヤついて見下ろしているであろうこいつが腹立たしくて、つい、無意識に口に出してしまった

ドンッッ！！！

先程より強く壁に打ち付けられた ぐらぐらも痛みも増して、気が少し遠くなるが、こいつの声で意識が戻り視線を上げると 俺の上に跨がり、胸ぐらを掴んで拳を引き今にも俺を殴りそうな姿勢だった

拳が振り下ろされ、殴られる、と目をギュッと瞑ったときだった

ドカッ！

鈍い音がしたが、何故か痛みがこない 恐る恐る目を開けると、そこには、

俺の顔の目の前にキヨくんの顔がある ということは、、とあいつの顔をみると、真っ青になっていた

初めて聞く地を這うような声に空気が凍りつく 誰も動けないままでいると、キヨくんが先程とは違う優しい声で俺に言った

サササッと同じく雇われている医療専門の人が駆け寄ってきて先程ついた傷から前の傷まで手当てをしてくれる

パシッ

キヨくんはあいつから小型カメラを奪い取ると、地面に落として思いっきり踏みつけた グリグリと破壊されていくカメラを見て、どんどんあいつの顔色が変わっていく

そういった瞬間、あいつはいきなり逃げ出そうとドアの方に走りだした 逃げられる！と思った瞬間、あいつの前にスーツの男が二人、立ち塞がった

キヨくんがそう言うと、スーツの二人は返事をし、暴れるあいつを拘束し連れていった 廊下からあいつの声が響いてくる

脇に手を添えられながら立つ が、鋭い痛みが走った瞬間、視界がグラァッと歪み、俺の意識はそこで途絶えた

目を覚ますと視界には白い天井、そして視界の端には大きくてきれいなカーテン …あれ、、まって、ここって…

ガバッ

勢いよく状態を起こすと、激しい頭痛とからだの痛み、そして目眩に襲われた 傷はちゃんと手当てしてくれたみたい う…と手で頭を押さえていると重たそうな音をたてて扉が開いた

タタタッと駆け寄ってきて体を支えてくれる

ゆっくりと寝かせてくれて布団をかけてくれる

布を濡らして絞りながらキヨくんは話を聞いてくれる

大きな絆創膏が貼られているキヨくんの左頬を優しく撫でる

そう言って、絞った布をおでこにのせてくれた 冷たくて、気持ちがいい…

少し頬を赤らめて、でも真剣な顔で言うキヨくんがかわいくて、ふふっと笑いながら返事をすると、彼は嬉しそうに優しく微笑んだ そしてなにかを思い出したかのように、あっ、と声をあげた

チュッ

後日、一緒に王様にお願いしにいったら本当にOKされちゃった あいつのことも全部ちゃんと王様に話してキヨくんが撮ってたらしい映像も王様に見せたら、きっちり処分しとくってさ 映像見せたっていっても、もちろん音声は無しだけどね

…めでたしめでたし！((