ふわふわ、肩にかかる位の髪の毛を揺らして駆け寄ってくるのは、同じクラスで気づけば仲良くなっていた○○って子。
んで、鬱の彼女なんだって。
tn
なんて、可愛らしいことを口にする彼女は柔らかく笑う。 その顔を見る度に、胸がキュッと苦しくなる。
分かるよ、鬱が惚れたのも。
こんなに可愛い顔を見せられたら、もう好きになる以外の選択肢なんてどこにもない。
でも鬱はもっと色んな顔見てるんだろうって考えたらなんか、彼女を奪いたい、って。
…なんて最低な考えを無理やり閉じ込めて、また今日もただの友人、という関係性で○○と接する。
それが多分、1番の過ごし方だと思う。
tn
なんのこと?と言いたそうな顔で俺の目を見る○○。その綺麗な瞳に吸い込まれそうになる。
でもその目は、鬱と話している時みたいな恋している顔とは違う。
鬱以外のたくさんの人に見せる目と、何も変わっていない。
やっぱり、俺は特別にはなれない
ut
俺らを見つけた鬱が、声を上げる。 俺を見る鬱の顔は、ちょっとだけ不満そう。
愛されてんな、○○
鬱を見る○○の顔は、やっぱり恋してる。
なんかもう、奪う気も失せるよな。こんなに幸せそうな2人を目の当たりにしたら。
仄かに色ずく○○の頬を染められるのは鬱しかいない。 俺じゃ、きっとだめなんだ。
ut
目の前で始まるリア充の会話。
俺だけ、ひとりぼっちな感覚。一緒に帰る約束までしちゃって。なんかもう、見せつけられているようにしか見えなかった。
しかも、そのまま俺を置いて2人でどこかに行きそうになっていたから、慌てて俺は声を上げた。
いや、気づかないうちに声を上げていた。
tn
振り返る鬱を引き寄せて、耳元で呟く。
tn
ut
即答で返ってくる鬱の返事
その返答を聞いて安心した。きっと、○○を幸せに出来るのは鬱だから。
俺が奪っても、きっと○○の目に俺が映る日なんて来ないから。
ut
俺がどんだけ頑張っても、○○の友達以上の関係にはなれないから。
せめて心の中でだけは、○○に恋させて。
コメント
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毎度語彙力高過ぎて凄いですね、、、設定から好きです! あと、誤フォロでしょうか、、、思わず脳内がクエスチョンマークで満たされたんですが、、、