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春。桜の花びらが舞い散る中、2年A組の教室には新しい学期の空気が漂っていた。
席替え、新しい担任、そして———転校生の噂。
鎌井柑奈
鎌井柑奈は、ポニーテールを揺らしながら隣の席の新藤一輝に話しかけた。
新藤一輝
一輝は窓の外を見ながら素っ気なく返す。
昔から落ち着いていてクールな彼は、女子に人気があるが本人はあまり興味を示さないタイプだ。
そんな中、ガラリと扉が開き、担任が入ってきた。
担任
教室が一瞬で静まり返る。
扉の向こうから現れたのは、淡いピンク色の髪が印象的な少女だった。
三神愛梨
凛とした声で自己紹介し、丁寧にお辞儀をする。
その姿に、クラスの視線が一斉に集まった。
男子も女子も、彼女の柔らかい雰囲気に少し圧倒されている。
担任
担任の一言に、女子たちの間で小さなざわめきが起きる。
新藤一輝の近くの席……それだけで、ちょっとした特別なポジションだ。
席に着いた愛梨は、一輝に小さく微笑んだ。
一輝は一瞬驚いたように目を見開き、少し照れたように会釈を返す。
そのやり取りを、前の席から柑奈が見ていた。
鎌井柑奈
胸の奥が、チクリと小さく痛んだ。
何かが始まる、そんな予感が春風と一緒に教室を吹き抜けていった———。