山崎 孝太
一学期終業式。
朝からセミが夏の大会でもあるのかと思うほど熱唱しており、本来ならギリギリまで枕にしがみついているけど
今日はいつもより20分早く起きて着替えまで済ませた。
俺は朝食のコーンフレークを一口食べるとスプーンを置いた。
いつになく神妙な面持ちの俺に、眠そうな顔でコーヒーを啜っているお母さんとお姉ちゃん(お父さんは仕事に行った。)が姿勢を正し___…
___たりはしなかった。
山崎 母
山崎 朋美
山崎 孝太
山崎 孝太
山崎 孝太
山崎 孝太
俺は一拍置いて、「巨大なナニカ」の単語を口にした。
山崎 孝太
山崎 朋美
山崎 母
山崎 朋美
山崎 母
山崎 朋美
お母さんとお姉ちゃんはそれぞれ(生)温かい目を俺に向ける。
山崎 孝太
山崎 朋美
山崎 孝太
お母さんはコーヒーを一口啜ると温かみのある微笑を浮かべた。
山崎 母
山崎 母
山崎 孝太
山崎 朋美
山崎 孝太
山崎 母
山崎 孝太
山崎 朋美
山崎 孝太
山崎 母
山崎 孝太
山崎 朋美
山崎 孝太
山川 のぞみ
相原 澪
相原 澪
私は小型扇風機で風を送りつけながら足を組んだ。
相原 澪
相原 澪
相原 澪
山川 のぞみ
相原 澪
私はテーブルに置かれてるタッパーの中に入ってる、ぐちょぐちょグチャグチャした見るからに刺激が強そうな物体を見下ろした。
そして傍らには2人分の紙皿とプラスチックのフォーク。 ドーシテ2人分アルンダロー。
物凄く嫌な予感がする中、のぞみは賞状を差し出すかのようにタッパーを掲げて頭を下げた。
山川 のぞみ
相原 澪
のぞみはタッパーをテーブルに置くと肩を落とした。
山川 のぞみ
相原 澪
山川 のぞみ
山川 のぞみ
相原 澪
山川 のぞみ
山川 のぞみ
相原 澪
山川 のぞみ
柴本 岳人
山川 のぞみ
柴本 岳人
柴本 岳人
柴本君の声が降って来る。 私はテーブルに突っ伏していた。
山川 のぞみ
相原 澪
山川 のぞみ
柴本 岳人
相原 澪
私は体勢を直すと、実はBLが大好きな大学生___柴本君に向き直った。
相原 澪
山川 のぞみ
柴本 岳人
柴本 岳人
相原 澪
柴本 岳人
山川 のぞみ
相原 澪
柴本 岳人
山川 のぞみ
~bitter 1~
男の人に呼び出されたからと言って、特別なイベントが起きるわけではない。
そんなのが起きるのは漫画とドラマと__兄が書いてる小説だけだ。
部長
部長
柴本 桃花
柴本 桃花
部長
部長
部長
部長
部長
柴本 桃花
柴本 桃花
柴本 桃花
山崎 朋美
柴本 桃花
男の人に呼び出されたからと言って、特別なイベントが起きるわけではない。
私の場合、大抵厄介な頼まれ事をされる。
山崎 朋美
山崎 朋美
柴本 桃花
柴本 桃花
山崎 朋美
山崎 朋美
__それでもテレビのリモコンを巡って喧嘩が出来るのは羨ましいと思う。
私は兄妹喧嘩した経験はほとんど無い。 見たいテレビも最後のプリンも大抵譲ってくれた。
兄は他のことに熱中してるから。 きっと他のことなんか霞んで見えるんだ。テレビ番組も最後のプリンも
妹の私も___…
山崎 朋美
朋ちゃんの声で我に返った。 そして目的地に到着したことにも気づく。
図書室の前。 今日はこれからここで委員会がある。
図書室の鍵を持っている教師はまだ来ていないらしく、図書室の前では何人かの生徒が手持ちぶさたそうに立っていた。
柴本 桃花
山崎 朋美
山崎 朋美
朋ちゃんは にんまりと笑うと、親指で同じく図書室の前に立つ男子生徒__
__溝口圭佑を指さした。
山崎 朋美
柴本 桃花
山崎 朋美
柴本 桃花
私が必死に反論していると
眠そうな顔で窓の外を眺めていた溝口君が不意にこちらを向いた。 目が、あった。
__顔が耳まで熱くなるのを感じながら 私は慌てて顔を逸らした。
蒼陽高校は全国でも十指に入る進学校だ。 学業に励む環境作りの為、図書室運営に力を入れている。
充実した資料、高性能な設備。 ___これらが意味するのは 図書委員の仕事はとてもハードだということだ。
蒼陽高校において「ラクな委員会=図書委員」の図式は存在しない。
【図書委員だけは止めとけ】は「蒼陽高校新入生に言っておきたいことランキング」不動の1位。らしい。(新聞部調べ) いわばハズレくじだ。
今日も終業式の後、そんな図書委員の招集がかかった。
山崎 朋美
柴本 桃花
山崎 朋美
__教師からの簡単な説明の後、早速1万冊以上ある書籍の整理に取りかかることになった。
背表紙に張られたラベルの情報通りに本を移動させたり、裏に保管したり二学期に新しく並べる本のスペースを開けたり、 結構な重労働だ。
___学級委員もゴミ捨て当番も、皆が嫌がる事は大抵「しっかりしているから」という理由で私の役目になる。
今回の図書委員も同じことだ。 「それなら私も」と立候補してくれた朋ちゃんと励まし合いながら本を運んで行く。
…………しかしここでも持ち前の「しっかりしているから」が発動され、開始30分、未だ誰も手をつけてない棚の整理を頼まれた。
そこは事典や全集が並ぶ、図書委員の間では「魔窟ステージ」と呼ばれる棚だった。
山崎 朋美
山崎 朋美
私はため息を1つ吐くと観念して手近な事典2冊を引っ張り出した____…
柴本 桃花
2冊持っただけで結構な重さが腕にのしかかった。利き腕で持たないと落としてしまいそうだ。
これからこの事典達を持って何往復もしなければいけないことを考えると、あと1冊は取っておきたい。
私は片手で2冊の事典を抱えると、自分より高い位置にある事典に手を伸ばした。
指先が事典に触れる前に___朋ちゃんじゃない、男の人の手が事典を引っ張り出した。
首を巡らせて男の人の顔を確認して___男の人が溝口君だと分かると一気に顔が熱くなるのを感じた。
腕を上げたまま固まってる私の横で、全国大会4連覇を達成した1年生は更に2冊事典を引っ張り出す。
それらを確保して来たらしい台車に積むと私に顔を向けた。
溝口 圭佑
溝口 圭佑
柴本 桃花
私は赤くなった顔を隠すように何度も頷いた。
……いつの間に後ろに立ってたんだろう。冷房がかかってるとは言え重い本を持ち運びしてるわけだから汗とかかいてるし匂いとかしなかったかな
___とか何とか考えていた為、作業に集中出来たかどうかは定かではない。
山崎 朋美
朋ちゃんは黙々と台車に本を積んでる溝口君の姿を認識すると、私の肩をバシバシ叩き小声でまくし立てた。
山崎 朋美
柴本 桃花
柴本 桃花
山崎 朋美
___なんてやり取りをしている間も溝口君は無言で作業に没頭している。
魔窟ステージと恐れられていた棚も15分ほどで作業を終えることが出来た。 長いようで短いような時間だった。
山崎 朋美
溝口 圭佑
結局作業の大部分は溝口君がやっていたので台車運びくらいは、と朋ちゃんが申し出たけど溝口君は顔色1つ変えずに台車を押して行ってしまった。
本当に長いようで短いような時間だった… 私がぼんやりと溝口君の背中を眺めていると___
山崎 朋美
山崎 朋美
柴本 桃花
山崎 朋美
山崎 朋美
柴本 桃花
山崎 朋美
柴本 桃花
山崎 朋美
山崎 朋美
柴本 桃花
男の人に呼び出されたからと言って、特別なイベントが起きるわけではない。
私の場合は大抵厄介な頼み事をされる。
今回も、期待してはいけない。 特別なイベントなんて起こらない。
現実は
きっと苦いから。
コメント
5件
そんな繋がりがあったんですね...! この2人のおかげで溝口さんの性格も良くなってくれることを願っておこうと思います...笑 久しぶりの投稿、嬉しいです✨ 続きも楽しみにしてます✨✨
bitterの2人はあれですね、溝口さんの本性知りませんね 夏休み…学校もないしイチャイチャしてくれ……っ! 楽しみにしてます✨
お待たせしました。第3章「夏休み」編スタートです!第1章、第2章で新しく出たキャラが勢揃いしましたね😁 ・桃ちゃん→BL大好き柴本君の妹ちゃん(一5.5参照) ・朋ちゃん→孝太君のお姉さん(一⑤参照) 二人が活躍するbitterも併せてよろしくお願いします😌 読んでくださりありがとうございました❗