月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
りうら→火を操る能力 -hotoke-→植物を操る能力 初兎→毒を操る能力 ないこ→重力を操る能力 If→一度見たものを完全に覚えられる能力&水を操る能力 悠佑→言霊(言葉で人を操ったり言ったことが現実になったりする)
月見。
月見。
注意!! ・地雷さんは今すぐUターン! ・白水、青黒が付き合ってます ・🎲様能力者パロ ・nmmn ・ご本人様方とは何も関係のないフィクションです ・口調&キャラ崩壊あり ・通報❌
きっと一生縁が無くて、住む世界が違うと思っていた“能力者”。
なんの前触れも無しに宿った、植物を操る僕の能力。
いつ何処で役立てれば良いのかまだよく分からないし、まだまだ扱い慣れていないけど。
いつか僕も能力を使いこなして、みんなみたいに誰かを守れるくらい強くなれたら。
ほとけっちー!!
・・・そんな夢の実現は、まだまだ先のことらしい。
何かが潰れたり弾けたりする嫌な音を聞きながら体を起こせば、廊下にいる朝から何処かお疲れモードなないちゃんと目が合った。
ないこ
ニッコリと笑うその背後に、黒いオーラが広がっていた。
ないこ
-hotoke-
悠佑
悠佑
やつれとんで。と苦笑しながらないちゃんの頭をわしゃわしゃと撫でるあにき。嫌がる素振りを見せずされるがままのないちゃんが、だってー、と溜息を吐き出す。
ないこ
-hotoke-
悠佑
ないこ
悠佑
初兎
悠佑
-hotoke-
聞き慣れた柔らかい声に、パッと笑顔になる。高過ぎず低過ぎず、耳に優しいその声が好きだ。
初兎
-hotoke-
初兎
ないこ
初兎
すっと拳を作るないちゃんに、笑いながら両手を上げる初兎ちゃん。・・・最近煽りスキル高くなってない?
悠佑
初兎
悠佑
いふくんを起こしにリビングを出ていくあにきを見送っていると、机に突っ伏したないちゃんが初兎ちゃんの名前を呼んだ。
ないこ
初兎
-hotoke-
能力をまだ上手く操れない僕の為に、みんなは日替わりで一人一人練習に付き合ってくれる。
正直、初兎ちゃんとぴよにきの2人なら誰でも嬉しい。みんな優しいし僕のペースでとゆっくり待ってくれる。ないふは少しスパルタ気味だから嫌。
初兎
-hotoke-
お疲れ、と差し出してくるペットボトルの水をお礼と共に受け取る。
初兎
ぐっと伸びをして空を見上げる初兎ちゃんを、水を飲みながらちらりと横目で見る。
ふんわりとした白い髪は、太陽の光で透けてしまうかのように綺麗。
細められた優しい目が日光を受けてキラキラと輝いていて、そんなところも。
初兎
-hotoke-
嘘、ガン見バレてた!?
くす、と笑って僕を見た初兎ちゃんに、分かりやすく動揺する。
初兎
-hotoke-
初兎
悠くんは優しいけど嘘は吐かんからな〜と笑う初兎ちゃんに、嬉しさが込み上げる。
白黒組の二人は特に優しい。けど、今初兎ちゃんが言った通り嘘を吐くことはない。だから尚更嬉しい。
-hotoke-
初兎
-hotoke-
いつも僕を助けて守ってくれる彼を、今度は僕が。
明るい未来に、僕は笑顔を浮かべた。
夜。
安定に美味しいあにきの夜ご飯も食べ終わり、それぞれの自由時間。
明日は休みだからとお酒を飲んで爆睡してるいふくんや、ふんマスの最新号でも出たのかそそくさと部屋に戻って行ったないちゃんを思い出す。大丈夫かないふ。
お風呂から上がり、次の初兎ちゃんを呼びに行こうと廊下を歩いていた僕は、途中にあるあにきの部屋の扉が薄ら開いていることに気が付き、なんとなくその隙間から部屋の中を覗いた。
-hotoke-
部屋の中ではあにきが上の服を脱いで鏡に背中を向けていた。鏡に移ったその背中には、痛々しい傷。
振り向いて鏡で背中を確認していたあにきが顔を正面へ戻す。
悠佑
パチリと合う視線。部屋を覗いていた僕に気付いたあにきが、あー、と視線を彷徨わせた。
悠佑
一旦、お風呂良いよーと初兎ちゃんに声をかけ、また戻ってきた僕をあにきは何も言わず部屋に入れた。
もう既に服を着ていて背中の傷は見えなかったが、記憶は鮮明だ。
ベッドの上に少し気まずそうに座るあにきに、床に座って問いかける。
-hotoke-
悠佑
視線を泳がせるあにきに、思わず溜息を吐きそうになった。あの傷が大したことじゃない訳がない。それとも自分の体のことだからそう言うのだろうか。いふくんやないちゃんが「あにきはもっと自分を大切にして!!」と怒るのも無理はない。
悠佑
-hotoke-
体の奥が冷えるような感覚に襲われる。今日はないふは仕事、りうちゃんは学校。僕と初兎ちゃんは特訓。つまりあにきは一人で出ていたところを襲われたと言うこと。
しかもあの傷口的に、相手が持っていたのは恐らくナイフとかの刃物。あにきが気付いたから良かったものの、最悪致命傷になっていたかもしれないのだ。
知らないところで大切なメンバーの命が危なくなっていた事実に、息が詰まりそうになる。
-hotoke-
そう言ってあにきを見れば、一向に合わない視線に質問の答えを知る。
-hotoke-
悠佑
-hotoke-
悠佑
改めて見る傷はやっぱり痛々しい。救急箱から消毒液や包帯などを取り出して、僕は手当てを始めた。
悠佑
-hotoke-
悠佑
-hotoke-
悠佑
-hotoke-
あにきの気持ちは分からなくもない。でもいふくんの気持ちを考えれば、それは良い選択ではない気がする。
だって、好きな人が自分の知らないところで傷付いていたなんて知ったら、どれだけ悲しいか。
悠佑
-hotoke-
悠佑
あにきの能力は言霊。力は強いがその分反動もある。
悠佑
顔は見えないが、あにきの背中は何処か寂しそうだった。
あにきを傷付けた能力者狩り達に怒ったいふくんが、水を操る能力を手に入れた日のことを思い出す。あの日から、いふくんはこれであにきを守れると心底嬉しそうにしていた。
でもそれが、必ずしも良い訳じゃないんだ。
悠佑
-hotoke-
初めてちゃんと聞く、いつも頼もしいあにきの弱音。
悠佑
自分のことを守ってくれる、大切な人。
“いむくん”
頭の中で柔らかく微笑む彼に、ぐっと奥歯を噛み締めた。
それから数週間後のある日、僕は初兎ちゃんと出かけていた。
僕達だって毎日が毎日、そんな能力者狩りに襲われるだなんて危ない日々を過ごしている訳ではない。
だからあの日のあにきとの会話も、あの時感じた思いも、少しずつ記憶から薄れ始めていた。
-hotoke-
初兎
なんてことない会話。なんてことない帰り道。
いつも通りの日々。それでも、僕達の日常を“普通”のものにしてはくれなくて。
初兎
-hotoke-
ドン、と押される背中。その力によって前に飛び出した僕の耳に、後方から鈍い音が聞こえた。
初兎ちゃんが背中を押したのか、突然の衝撃に前に倒れ込み後ろを振り返れば、僕は目を丸くした。
-hotoke-
地面に倒れ込む初兎ちゃん。その背後に立つ、3人の男。
その内の1人が手に持っているのは、鉄パイプ。
間違いない、能力者狩りだ。
能力者狩りの話に、ごくりと息を飲んだ。
前に、リビングでないちゃん達が話しているのを聞いたことがある。
ないこ
悠佑
ないこ
If
悠佑
If
悠佑
ないこ
能力を手に入れてまだ間も無い能力者達を狙っていく、能力者狩り。
さっきの会話から察するに、この人達はそのタイプの能力者狩りだ。
と言うことは、もしかして、
・・・この人達の狙いって、僕?
初兎
-hotoke-
初兎ちゃんの声に、ハッと我に返る。
初兎
-hotoke-
倒れたまま顔を上げた初兎ちゃんの背中を、一人が足で踏み付けた。苦しそうに歪む初兎ちゃんの顔。
初兎
そう言って、初兎ちゃんは腕を動かした。・・・触れるつもりだ。
初兎ちゃんは毒を操る能力を持ち、触れた対象に毒を与えることが出来る。毒の強さも本人の意思で変更可能。
-hotoke-
初兎
後ろからガバッと体を押さえ付けられ、首元に冷たい何かの気配を感じた。
───ナイフ。
初兎
背後にいる人が耳元でぼそりと呟く。待って、どういうこと?嫌だ、初兎ちゃん、
目の前で飛び交う、悲惨で汚い言葉に息が詰まる。
初兎
目の前で起こっていることに、頭が追いつかない。グッと腕を引っ張られた初兎ちゃんが、抵抗すること無くその言葉に従った。
僕と向かい合う様にして座った初兎ちゃんの後ろに、鉄パイプを手にした男が立つ。
初兎ちゃんは下を向いたまま、微動だにしない。
待って、何してるの?初兎ちゃん、早くそいつに触ってよ、毒で倒してよ、そんな奴。
その時、数週間前のあにきの台詞が頭をよぎった。
“・・・俺の為に。俺のせいで、アイツが終わってしまうのが怖い”
初兎ちゃんは、僕の為に。
僕に怪我をさせない為に。僕を逃す為に。・・・僕を、守る為に?
初兎
そっと顔を上げた初兎ちゃんが、力無く笑った。
初兎
なんで、違うよ初兎ちゃん。
僕は、初兎ちゃんがいるあの家に。初兎ちゃんと一緒に、あの家に帰りたいのに。
どうして自分がもう終わりみたいな、これから先の未来に自分はいないみたいな、そんな言い方をするの。
・・・初兎ちゃんが、僕の為に終わりを迎える?
鉄パイプが、高く振りかぶられる。
声が出てこない。目の前で起きていることが、まるで映画を見ているかの様に現実味を帯びなくて。
初兎
そう言って微笑む。違う、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、
嫌だッ!!!!!!
初兎
鉄パイプ、ナイフを持つ手。
最早見たくもない、彼らの体を。
無数のツルが、キツくキツく縛り付けていた。
-hotoke-
初兎
ああ、こんなに怒っているのは初めてかもしれない。
変な感覚。こんなにも怒っているのに、頭の中は嫌に冴えていた。熱いのに、冷たい。
-hotoke-
何処からともなく、大量の緑が湧き出した。
ゆらゆら。伝わってくる温もり、心地良い揺れ具合。
浮上する意識に、そっと目を開けた。
目の前に広がるのは、大きくて大好きな彼の背中。
-hotoke-
初兎
僕は初兎ちゃんにおんぶされていた。けど、その前までの記憶が全くない。僕は何をしてたんだっけ。
-hotoke-
初兎
-hotoke-
その言葉に、少しずつ思い出す。細かいところまでは正確には思い出せないけど、恐怖に歪んだ能力者狩りの表情に、初兎ちゃんの「もういいよ」なんて制止の声を何度も聞いた気がする。
初兎
-hotoke-
初兎
凄いな、と初兎ちゃんが感心した様に呟いた。
初兎
顔は見えないが、その背中がなんだか寂しそうで、いつかのあにきと重なって見えた。
-hotoke-
初兎
-hotoke-
今まで僕の前を歩いてくれた初兎ちゃんの横に、やっと並べるよ。
-hotoke-
初兎
どっちかばかりに背負わせるなんて、両想いなのに片想いみたいだ。
初兎
-hotoke-
初兎
-hotoke-
前でも後ろでもなく、隣を歩いて。
こんなイレギュラーな毎日も、君が一緒なら生きていける。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
コメント
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ぴきゃっ……(゚∀゚)・∵.ガハッ!!チ───(´-ω-`)───ン(*' '*)=͟͟͞┏┛墓┗┓なむあみ
初コメ失礼します! 陰ながらのファンです! 「うわぁああああこうくるか!!!やばい最高すぎる!!」とか言っていつも台パンしながら読ませて頂いております() ほんとに小説の書き方とか好きすぎて毎回毎回刺さりまくってます安定の尊死です。もう好きなシーン漫画にしたいくらい好きです() 今回の話も最高でした。白さん守ろうとする水さんかっこよすぎて…🤦 「対等な関係で居たい」で更にやられました😇😇