あいつ
俺
俺
俺たちはすれ違いざま
こっそりグータッチをして
同じ出口の列に並んだ。
講師
講師
講師はいつも単調でバカバカしい。
講師
講師
講師
講師
黒い制服を着た生徒たちは
ただ俯いて
教壇に立つ講師の話しを聞いていた。
講師
講師
その光景は
葬式における参列者のようで
講師
講師
講師
黒い沈黙の中でしゃべり続けている講師だけが
ただただ滑稽だった。
講師
講師
講師
前の席に座るあいつが肩越しに
RPTのハンドサインを送った。
俺は軽く机をたたく。
ー・ーー〈そうだな〉
講師
講師
講師
講師は淡々と告げて
抽選箱を取り出した。
1/2の確率で
明日が来ない日が来るとしたら
講師
抽選箱の中には
赤い紙と白い紙が入っている。
講師
講師
触っただけでは
色なんてわからない。
講師
講師
俺たちは
塀の中で産まれて、塀の中で育てられた。
講師
講師
黒い制服を着せられた集団が
それぞれ暗い顔をして
箱の中に手を入れる。
講師
講師
俺はゆっくりと箱の中に手を入れた。
講師
講師
指先に触れる薄い紙片の感触は
何度目でも慣れることがない。
講師
講師
講師
講師
講師
俺は手の中の白い紙片を見つめた。
あいつが引いたのは赤だったようだ。
ハンドサインGB
神の祝福を
・ー・〈お前もな〉
箱が空であることを確認して、講師が口を開く。
講師
講師
つまり、白は
あいつ
俺
俺の明日はもう来ない。それでも
俺たちはすれ違いざまいつものように
グータッチをした。
あいつが
眩しそうに目を細めて笑った。
俺
ハンドサインGB
GOOD BYE
講師
講師が俺の手首をつかんだ。
講師
とっさに無くしたと嘘をつく。
講師
無駄な嘘は見破られ
講師が俺の手の中から
丸めた紙片を取り出した。
講師
俺
すり替えられたのだ。
いつものグータッチの瞬間に。
講師
講師
講師
講師
講師
講師が俺の手を引いた。
俺は一瞬
あいつの姿を探して振り返った。
残像のあいつは笑うだろうか。
あいつ
コメント
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怖っ:(´◦ω◦`):震えがとま…と