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あいつ

ばいばい

じゃあな

また明日

俺たちはすれ違いざま

こっそりグータッチをして

同じ出口の列に並んだ。

講師

我が国の食料自給率は

講師

すでに100%を達成しています

講師はいつも単調でバカバカしい。

講師

2018年には37%だった

講師

食料自給率が大幅に改善されたのは

講師

先人たちが下した英断の賜物であり

講師

産業動物たちの尊い犠牲の上で

黒い制服を着た生徒たちは

ただ俯いて

教壇に立つ講師の話しを聞いていた。

講師

平均寿命の増大と同時に進行する

講師

少子高齢化の対策としても

その光景は

葬式における参列者のようで

講師

産業動物の改良に伴い

講師

少ないエネルギーで

講師

確実に食糧を確保するという

黒い沈黙の中でしゃべり続けている講師だけが

ただただ滑稽だった。

講師

一方で

講師

産業動物に対しても平等であるべきだという

講師

愛護団体の大規模抗議活動が各地で活発化し

前の席に座るあいつが肩越しに

RPTのハンドサインを送った。

俺は軽く机をたたく。

ー・ーー〈そうだな〉

講師

さて

講師

私の話だけじゃあ諸君も退屈だろう

講師

諸君のお待ちかねの時間だ

講師は淡々と告げて

抽選箱を取り出した。

1/2の確率で

明日が来ない日が来るとしたら

講師

特に性犯罪者は再犯率も高く

抽選箱の中には

赤い紙と白い紙が入っている。

講師

刑務所の収容率は

講師

2000年には100%を超えていたものの

触っただけでは

色なんてわからない。

講師

産業動物という制度を導入することで

講師

収容超過を解消し

俺たちは

塀の中で産まれて、塀の中で育てられた。

講師

優秀な血統は

講師

種牡または種牝といった形で保存され

黒い制服を着せられた集団が

それぞれ暗い顔をして

箱の中に手を入れる。

講師

このクラスは産業動物の中でも

講師

特に優秀ではあるが

俺はゆっくりと箱の中に手を入れた。

講師

〈全て〉の産業動物に平等を

講師

という愛護団体の声が強く

指先に触れる薄い紙片の感触は

何度目でも慣れることがない。

講師

本来なら

講師

種牡、種牝として残すべき君たちも

講師

抽選に参加しなければならないことが義務づけられた

講師

それは本当に

講師

残念に思う

俺は手の中の白い紙片を見つめた。

あいつが引いたのは赤だったようだ。

ハンドサインGB

神の祝福を

・ー・〈お前もな〉

箱が空であることを確認して、講師が口を開く。

講師

赤の諸君は

講師

明日もここへ来るように

つまり、白は

あいつ

ばいばい

じゃあな

俺の明日はもう来ない。それでも

俺たちはすれ違いざまいつものように

グータッチをした。

あいつが

眩しそうに目を細めて笑った。

おい!待てっ!

ハンドサインGB

GOOD BYE

講師

ちょっと君!

講師が俺の手首をつかんだ。

講師

紙は?

とっさに無くしたと嘘をつく。

講師

あるじゃないか!

無駄な嘘は見破られ

講師が俺の手の中から

丸めた紙片を取り出した。

講師

赤の出口はあっちだ

それは俺のじゃなくて

すり替えられたのだ。

いつものグータッチの瞬間に。

講師

はあ?

講師

私が間違っていると言いたいのかい?

講師

この部屋は君で最後だ

講師

ほら

講師

閉めるぞ

講師が俺の手を引いた。

俺は一瞬

あいつの姿を探して振り返った。

残像のあいつは笑うだろうか。

あいつ

ばいばい
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