麗奈の物語

名前:浅草麗奈（あさくされな） 年齢:15歳 性別:♀ 趣味:空を眺める事

〜第1章〜 人間から鬼へ

鳴り響く怒声と共に頬に痛みが走る

乾いた音が部屋に響き、麗奈は床に倒れ込む。

胸の奥に針で刺されたような痛みが広がる

母は乱暴に扉を開け、麗奈の手を掴む。

突き飛ばされ、私は夜の冷たい地面に叩き付けられる

必死に扉を叩く。だが返事は無く、灯りも消えた

闇と静寂だけが麗奈を包み込む。

涙が頬を伝い、冷たい土の上に落ちた

その夜、麗奈は初めて心の底から思った。

生まれてきたことが間違いだったのかもしれない。

夜の闇に放り出された麗奈は素足のまま冷たい土を踏みしめながら歩いていた

声にした途端、胸の奥から涙が込み上げて止まらなくなる。

歩く度に心は重く沈み、体は鉛のように動かない

やがて麗奈は地面に倒れ込んだ

不意に、耳元で響いた低い声

背筋をなぞるような冷気に麗奈は顔を上げた

冷酷な声なのに、不思議と胸の奥を掴まれる

誰も自分を見ていなかったのに、この人は確かに、見ていた。

男はゆっくりと麗奈に歩み寄り、しゃがむと顎に指をかけた

冷たいのに、どこか甘美な感触。

赤い瞳が妖しく輝く

男ーー鬼舞辻無惨は微笑みを浮かべながら囁いた

麗奈の心臓が早鐘を打つ

恐怖と、渇望と救済。

その狭間で麗奈は震える唇で答えた

次の瞬間、無惨の爪が彼女の首筋を裂き、熱く黒い血が流れ込むー。

〜第1章〜 人間から鬼へ [完]