雨が降る中彼は独りで震えていた
傘もささず
路地の端で
ねぇどうしたの?
えっ
少し驚いた顔をした彼
だがすぐに下を向いてしまった
…君には関係ない
普通の人なら引き下がるかもしれない
でも私は違う
好きな人にでも振られた?
短い沈黙の後彼は頷いた
そうだよ
だからほっといて
ねぇ
私じゃだめかな?
…だめだよ
知らない人にそんなこと言ったら
知らない人なんかじゃない
貴方は気が付かなかったかもしれないけれど
私は貴方が恋をしていた事もそれ以前のことも
貴方以上に私は知っている
だって
ずっと貴方を見ていたから
ねぇ本当に私のこと知らない?
うん…
なら秘密にしていよう
代わりでいいからそばにいさせて
貴方のことほっとけないからさ
そっか…ありがとう
じゃあ友達になってもらいたいな
恋人(仮)にはなれなかったけれど
あなたの側にいられる
欲を言えば友達から恋人になりたいな
いいよ
貴方の名前を教えて