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朝、10時頃に目が覚めた。
椚三波斗
昨日、寝落ちしてから誰とも会いたくなくて、皆が寝た後にお風呂に入ったり夜ご飯を済ませたりした。
でも、今日は謝ろう。
昨日空気を悪くしたのは俺だし、2人は悪いことはしていない…多分。
俺が勝手に傷ついていただけだ。
俺は朝の用意を済ませ、リビングに向かった。
リビングに入ると、さつきと市川君がいた。
さつきを見て一瞬ドキッとしてしまったが、気まづい雰囲気を作ったら2人に申し訳ない。
だからいつも通り接するようにした。
椚三波斗
市川慶一郎
仮屋瀬さつき
良かったあ。さつきも空気を読んでくれたのだろう、いつも通り接してくれた。
仮屋瀬さつき
さつきは寝起き5分!みたいな格好でソファに座っている。
椚三波斗
仮屋瀬さつき
椚三波斗
仮屋瀬さつき
さつきと入れ替わるようにして、ソファに座った。
少しの沈黙の後、俺は疑問に思っていたことを話した。
椚三波斗
市川慶一郎
俺が話し掛けた途端にスマホを置いてこっちを向いてくれた。
少し緊張するな…
椚三波斗
市川慶一郎
市川君は少しの間斜め上を向き、首を傾けた。
椚三波斗
市川慶一郎
何か思い出したような顔をしている。
椚三波斗
市川慶一郎
椚三波斗
昨日寝落ちした後、肩にパーカーが掛かっていてずっと気になっていたのだ。
市川君にそういうことされたことがないから、どういう意図でやったのかが全く分からない。
市川慶一郎
寒そうだったから…?
え、そんな優しいことある…?
風邪引きそうだったからってこと…?
椚三波斗
椚三波斗
市川君の普段見ない優しさを知れた気がして、少し驚いた。
市川慶一郎
椚三波斗
市川慶一郎
いつものいじりの様な感じの話し方じゃなかった。
自然と“可愛い”と出てしまった…みたいな…。
椚三波斗
そう聞いた途端、市川君が不意に顔を近づけてきた。
椚三波斗
片手は俺の膝に乗っている。
もう少しで…キスしてしまいそうな距離だ。
市川君…何か可笑しい…?
市川慶一郎
椚三波斗
わざわざこんな近い距離で聞く必要ないじゃん。
…なんでこんなに近づいてきたの?
市川慶一郎
市川君はこの距離のまま話し続けた。
昨日は涼雅がさつきを好きなんだな。と感じてから、失恋したような気持ちになってしまった。
そんなこと、言える訳ない。
まだ涼雅にも言ってないし…
椚三波斗
市川慶一郎
市川君は俺の返事を聞いた途端、力が抜けたようにソファにもたれ掛かった。
市川慶一郎
市川慶一郎
椚三波斗
嘘!!
寝てるとこだけじゃなくて、泣いてるとこまで見られたなんて…
市川慶一郎
市川慶一郎
市川慶一郎
市川慶一郎
市川慶一郎
椚三波斗
椚三波斗
またいつもみたいに“泣いてるー!”とか言ってバカにされると思ったのに
優しい言葉を掛けてくれている。
“なに急に?”とかいつもみたいに流したかった。
だけど、“うん”という言葉しか出てこなかった。
少し、心が揺れ動いた。
戸惑いながら、笑顔を作った。
俺の顔を見た市川君は、少し心配そうな笑みを浮かべた。
ガチャッ
少し時間が経ち、リビングのドアが開いた。
さつきが帰ってきたのかな?と思い、音の方を見ると、
さつきの後ろから涼雅がついてきた。
椚三波斗
また2人で色々話したりしたのかな。
市川慶一郎
皆の声が全然耳に入ってこない。
こんなに可笑しくなる自分が嫌だ。
なんでこんなに可笑しくなっちゃったんだろ…
市川慶一郎
市川君が俺の肩を叩いてくれたお陰で皆の声が戻ってきた。
椚三波斗
正直、何の話かわかんない。
色々なことを考えてしまう。
さっき部屋では大丈夫だって思ったのに、2人でいる所を見たら、やっぱりダメだ…
仮屋瀬さつき
仮屋瀬さつき
しばらくの間皆で雑談をしている中、さつきが口を開いた。
市川慶一郎
仮屋瀬さつき
市川慶一郎
編集か…大変そうだよな。
俺には絶対無理だよ。
仮屋瀬さつき
仮屋瀬さつき
市川慶一郎
仮屋瀬さつき
椚三波斗
四季涼雅
どこ行くんだろ?
正直、行って欲しくなかった。
俺ら3人を残して欲しくなかった。
俺は静かなリビングで、1人手遊びをしていた。
2人でまたいつもみたいにTikTok撮り始めるだろうし…
仮屋瀬さつき
突然、さつきが声を掛けてきた。
椚三波斗
少し驚き、さつきを見ようとしたが、身体が動こうとしない。
仮屋瀬さつき
仮屋瀬さつき
仮屋瀬さつき
さつきはそう言いながら正座し、頭を下げてきた。
椚三波斗
予想外の行動に動揺を隠せない。
椚三波斗
仮屋瀬さつき
この時、久しぶりにさつきのことを見た気がした。
さつきは頭を上げ目を見開いている。
四季涼雅
四季涼雅
その後、涼雅も頭を下げた。
それにつられてさつきももう1度下げた。
椚三波斗
椚三波斗
四季涼雅
仮屋瀬さつき
2人は頭を上げると、“なんで?”という顔をしていた。
椚三波斗
椚三波斗
椚三波斗
言えないというか、話したくない…
話したりして、もし2人が、付き合ったりしたら…俺、どうしていいか分からなくなるから。
椚三波斗
椚三波斗
四季涼雅
椚三波斗
椚三波斗
涼雅の言葉を遮るようにしてそう言った。
仮屋瀬さつき
2人は、複雑な表情を浮かべた。
俺、自己中でしかないよな…
2人に頭を下げられて、2人は“多分”…悪くないのに…
椚三波斗
椚三波斗
椚三波斗
俺の口からはその言葉しか出てこなかった。
2人よりももっと深く頭を下げて、謝った。
涼雅のことをこんなに想っちゃって、2人に迷惑しか掛けなくて…
ほんと、ごめん。
四季涼雅
四季涼雅
仮屋瀬さつき
2人の優しい言葉で俺はゆっくりと頭を上げた。
仮屋瀬さつき
椚三波斗
四季涼雅
仮屋瀬さつき
仮屋瀬さつき
仮屋瀬さつき
さつきの言葉が胸に刺さった。
いつも、さつきに嫉妬して嫌な気持ちになっていたから、さつきにそう言われるのは少し複雑な気持ちだけど
こんなに理不尽に迷惑を掛ける俺に、こんなにも優しくしてくれる。
その優しさを、改めて感じることができた。
涙が出そうになったが、口角を上げて無理やりな笑顔を作った。
椚三波斗
俺が2人の笑顔を見たら、泣いてしまいそうだから、下を向きながらそう言った。
四季涼雅
そしたら、涼雅が俺の背中を撫でた。
それに続けてさつきも撫でてくれた。
少し照れくさいし、涙が零れそうだ。
椚三波斗
俺は2人の手を振り払おうとした。
本当は2人の優しさが凄い嬉しくて、背中を撫で続けて欲しかった。
それを2人は分かっていたのか、ずっと背中を撫で続けてくれた。
ガチャッ
四季涼雅
椚三波斗
仮屋瀬さつき
そのすぐ後、市川君がリビングに戻ってきた。
市川慶一郎
市川慶一郎
仮屋瀬さつき
市川君はそう言いながらソファに腰掛けた。
ちょっと居づらいし部屋行こうかな。
椚三波斗
俺が立ち上がると、
市川慶一郎
市川君が声を掛けてきた。
ドアの前で立ち止まる。
別に理由は無いな…。
椚三波斗
市川慶一郎
市川慶一郎
ドアを開けようとした時、市川君が駆け寄ってきた。
椚三波斗
市川慶一郎
市川君は俺の隣で首を傾げた。
少しだけ、ほんの少しだけ可愛く見えた。
椚三波斗
市川慶一郎
そう言い、俺の後ろについてきた。
俺が部屋のドアを開け、市川君がドアを閉めた。
市川慶一郎
椚三波斗
なんでついてきたのかが疑問だった。
市川慶一郎
市川慶一郎
椚三波斗
市川慶一郎
あれ、市川君ってこういうタイプだったっけ?
“暇だから来ちゃった!”って彼女みたいなテンションで話してるけど…
俺と市川君は自然とベッドに横並びに座った。
椚三波斗
“あれ”返さないと。
椚三波斗
市川慶一郎
俺は市川君の膝の上に昨日掛けてくれたパーカーを置いた。
市川慶一郎
椚三波斗
椚三波斗
もしかしたらパーカーがなかったら風邪引いてたかもしれないし…
椚三波斗
市川慶一郎
椚三波斗
市川君は突然真剣な顔になった。
急になんだろ…?
市川慶一郎
椚三波斗
びっくりした。
まるで俺の全てを見透かしていると言っているような真っ直ぐな目。
市川慶一郎
椚三波斗
椚三波斗
椚三波斗
椚三波斗
その目に、嘘はつけなかった。
市川慶一郎
市川君は一瞬悲しそうな顔をした。
そしてこう聞いてきた。
市川慶一郎
椚三波斗
そりゃ、辛いよ…
俺の身体は素直だ。
頭では思っていなくても自然と頷いてしまった。
市川慶一郎
椚三波斗
市川君は、少し悲しそうで、寂しそうな笑顔を浮かべた。
市川慶一郎
市川君はそれだけ言って、俺の肩を軽く叩いて部屋を出ていってしまった。
その肩を叩く手から、色んなものを感じた。
その中でも1番大きく感じたのは
市川君の“俺が助ける”という力強い気持ち。