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はじめに

この作品は東リべのBLです

年齢差ありとなっております

原作全くもって関係ありません

東京卍會も存在しないし

ドラケンに親がいて しかもクソです

マイキー黒髪で闇堕ちも✕

話し方も怪しいです… キャラ崩壊ありかも(?)

三ツ谷は不良じゃなかったので 「~じゃん」とか、

「~でしょ」「~だよね」って なってます

原作での関係性は 一切関係ありません

原作で関わりのなかった人達が 関わっている可能性があります

御了承の上お読みください

連載化する予定です

ではどうぞ

龍宮寺 堅

…ここか

ここが俺の、新しい住処だ

ここで俺はある人と出会う事になる

それが俺にとって吉なのか

はたまた凶なのか

それは俺が決めるんだろう

龍宮寺 堅

…ふぅ

荷物を運び終えると 急に疲労が押しかけてきた

体力無くなったな俺…

また鍛えねぇと。

なんて考えて、ソファに寝転ぶ

俺が此処へ越して来た訳

それは……

高校3年の卒業式

俺は家を飛び出した

理由は父親だ

小さい頃からずっと、 虐待を受けてきた

その度に自分が1人て生きていけるようになったら出て行こうと

ずっとずっと思っていた

だからその日、俺は家を出たのだ

もう我慢の限界だった

父の機嫌でその日の食は決まり、

父の機嫌で、俺の身の怪我も決まる

そんなのはもうウンザリだった

龍宮寺 堅

はっ、はっ…

龍宮寺 堅

ふぅ…

長い時間走った

必要最低限の食料や衣服、 荷物を持って

金はずっと貯めてきた

元々体はデカかったから 高校生だと幾らでも偽れた

少し生きていく上で十分な量がある

それでもまだ不安ではあったが

空腹を満たしに俺は 飲食店へ向かった

「いらっしゃいませー」と 女の店員の声に出迎えられる

客は少なく、雰囲気も暗い

でも今の俺には丁度良かった

虐待されてたと言えども親は親だ

心配にもなる

龍宮寺 堅

…これから、どうしようか

人気のないカフェで そんな事を考える

あまり計画は立てていなかった

何とかなるだろうと 思っていたからだ

取り敢えず今夜は友達の家に 泊めてもらうつもりだ

ソイツは俺の事情を理解してくれているし心配はない

会計を終えると バッグを手に店を出た

龍宮寺 堅

こんな日に悪ぃな

龍宮寺 堅

泊めさせてもらって

そう相手に謝る

あまりそういう事を気にする 相手ではないが、

1晩泊めてもらうのだから何も言わない訳にもいかない

佐野 万次郎

気にすんなよ!

佐野 万次郎

他ならぬケンちんの頼みだし

俺は本当に良い友を持ったと思う

こんな時に泊めてくれて、

しかも事情を理解した上でだ

コイツには感謝しかない

佐野 万次郎

そうだ、痣、大丈夫か?

龍宮寺 堅

…いやあんまり

と、腕や腹の痣を見せる

父に殴られ少し黒く赤い痣が できている

治療をする金も勿体無いので そのままにしているが

たまにコイツが見てくれている

佐野 万次郎

げ、ひでぇ事なってんじゃん!

佐野 万次郎

もっと早く来れば良かったのに

龍宮寺 堅

…そういう訳にもいかねぇよ。

そう言って見せていた痣を隠す

遠慮してか、 あまり追求はしてこなかった

もう夜も遅い

じゃあ、と言って俺は布団に潜った

心配そうな顔をしていたが、 気にしない事にした

その後俺は手頃な家を見つけ、

生活できるような準備も整った

龍宮寺 堅

んじゃ、ありがとな

佐野 万次郎

おう!頑張れよケンちん!

と、最後は笑顔で見送ってくれた

コイツのお陰で 数日の宿泊代は0だった

新しい生活を始めるのに、 1人でちゃんとやっていけるのか

それはまだ分からないが、

1人で生きていけるようになりたい

それが俺の、忠実な願いだ

その後色々終わらせて、 新しい住処に越して来た

龍宮寺 堅

…ここか

外見は程々に綺麗だ

生活してて不自由な事は まずないだろう

こんな優良物件に出会えて ついているかもしれない

そう少し気分の上がる中、 俺はマンションへ足を踏み入れた

そして、今に至る

予想通り中も綺麗だ

まだダンボールだらけではあるが、 寝れない場所がない訳では無い

ギュウギュウ詰めだが 不自由はしないし大丈夫だろう

龍宮寺 堅

…あぁ、そうだ

隣の部屋の人に挨拶しなければ

ちゃんと思い出して良かった

俺の部屋は端だから隣は1つだけだ

…良い人だといいけど

引っ越してそうそう絡まれたら嫌だ

まぁそればっかりは、祈るしかない

明日菓子折を買おうと決めて、 その日は寝た

太陽の光が気持ちのいい朝

俺はいつも通り朝食を作っていた

その時ふと、いつもはあまり 鳴らないチャイムが鳴った

まだこんな時間なのに一体誰だろう と、不思議に思いながらカメラを見る。

小さいカメラには高身長イケメンが映っていた

「すんません」と会釈しながら 呼びかける彼

「はい」と返事をして 玄関へ向かう

ドアを開けるとインターホンで見たより大きく見える彼がいた

髪を金髪に染めていて左には 龍のタトゥーがある

…印象に残る顔だ

龍宮寺 堅

えっと、隣に越して来た龍宮寺 堅っす、よろしくお願いします。

と礼儀正しく礼をして笑顔を見せた

綺麗な笑顔に心臓が高鳴った

三ツ谷 隆

あぁ、三ツ谷 隆です、よろしく。

挨拶をした後も目が離せず ずっと見続ける

龍宮寺 堅

これ、つまらないもんっすけど…

そう言い彼は菓子折を渡してきた

ぎこちなく礼を言って それを受け取る

中には高級そうな菓子が入っていた

つまらない物なんか じゃなさそうだけど…

三ツ谷 隆

あー堅くんでいいかな?

龍宮寺 堅

あ、はい!

三ツ谷 隆

俺は隆でいいから。

龍宮寺 堅

わかりました、隆さん

龍宮寺 堅

これからよろしくお願いします!

三ツ谷 隆

…うん

元気一杯の笑顔で返してくれた彼に俺も笑顔で返す

仲良くやっていけるといいな

部屋に戻って隆さんの事を思い出す

良い人そうだったな、なんて考えて

仲良くなりたいとも思った

多分俺より上だよな…

若そうには見えたけど

龍宮寺 堅

…童顔、だったな

印象に残る容姿だった

少し低めの身長に銀と黒の髪

端正な顔立ちにセンスのある服

何故か頭に焼き付いている

龍宮寺 堅

…そうだ

引っ越し後忙し過ぎて忘れていた

これが1番、重要な問題だ

龍宮寺 堅

仕事、探さねぇと…

龍宮寺 堅

……はぁ

今日仕事先を探してはみたものの

全く見つかる気配はなく…

俺は頭を抱えていた

龍宮寺 堅

…どうするか…

と、急に隣のドアが開いた

三ツ谷 隆

あれ?堅くんじゃん

龍宮寺 堅

あ、隆さん、こんばんは

三ツ谷 隆

どうしたの?中に入らず。

龍宮寺 堅

あーその、実は…

そう、俺は隆さんに事情を話した

親の虐待などはちゃんと伏せている

こんな話をするのは嫌だったが、 人に相談しようと思っていたので丁度良かった

この人は多分、 俺より社会人歴は長いだろう

三ツ谷 隆

へぇ…

三ツ谷 隆

まだ高校でたばっかなのか…

龍宮寺 堅

そう言えば、隆さんは?

三ツ谷 隆

俺は23、君の5個上かな

予想と同じくらいの数字だ

制服を着れば高校生と言ってもいけそうだが

そこは敢えて言わない事に しておこう

三ツ谷 隆

てか仕事先ないならさ、

三ツ谷 隆

俺んとこちょっと来てみない?

龍宮寺 堅

…え?

出会って2日の、しかもただの隣の部屋と言う関係の人に誘われた

これは行くべきなのか否か…

まだこの人の事をあまり知らないし

警戒はするべきだと思ってたけど

何故か悪い人には思えない

一度行ってみようと思った

龍宮寺 堅

…取り敢えず1回だけ

三ツ谷 隆

ほんと?じゃ、話は付けとくね

龍宮寺 堅

あ、ありがとうございます、

そもそも何故、全く知らない俺に 良くしてくれるのだろうか

ただ単に良い人なのか

それとも裏があるのか

…前者だと思いたい

少なくとも、こんなに優しく笑っているこの人から悪意は感じられない

三ツ谷 隆

連絡したいから連絡先教えてくれるかな?

龍宮寺 堅

あ、はい!

連絡先を交換して、その日は別れた

三ツ谷 隆

おはよう堅くん

三ツ谷 隆

突然だけど昨日の件、今日の夕方からいけるかな?

と、話した次の日にメールが来た

案外行動の速い人だ

だが、その方が俺もありがたい

龍宮寺 堅

はい、いけます

龍宮寺 堅

わざわざありがとうございます。

メールを送るだけなのに無駄に緊張してしまう自分がいる

堅苦しい文面になってしまった

三ツ谷 隆

じゃあ5時頃に待ってるね

龍宮寺 堅

はい!

龍宮寺 堅

…ありがたい

数日前会ったばかりの隣人にこんなに良くしてくれる人がいるとは

親はあんなんだし、大人の優しさは知らなかった

仕事まで紹介してくれたし

それにしても一体 どんな仕事なのだろうか

あの人自身はお洒落な仕事をしていそうだ

外見でイメージが湧く

その日は他に何もする事はないので 生活用品を買いに行った

そして夕方になり、 約束の時間になった

少し緊張する。

ドアを開けると既に隆さんが立っていた

三ツ谷 隆

お、早いね

そう言う隆さんの格好はこの前とあまり変わりなかった

龍宮寺 堅

隆さんこそ。

龍宮寺 堅

今日はありがとうございます。

三ツ谷 隆

いやいや、いいよ別に

三ツ谷 隆

じゃあ行こっか?

龍宮寺 堅

…ここっすか

隆さんに連れてこられたその場所は全体的にシンプルで綺麗だ

めちゃくちゃ仕事場、 って感じじゃねーし…

一体どんな仕事を?

三ツ谷 隆

俺デザイナーやってるんだ

龍宮寺 堅

え?!凄いっすね…

三ツ谷 隆

いや、まだまだ下っ端だしそんな事ないよ。

デザイナーか…

確かに隆さんが来ている服は 見た限りお洒落だ

そう言われても納得できる

三ツ谷 隆

で、本題なんだけど…

三ツ谷 隆

この前うちの人1人やめちゃってさ

三ツ谷 隆

そこに入って欲しいんだけど…

龍宮寺 堅

え、俺デザインなんかできねっすよ!

ただの高卒の男がこんな所で働ける訳がない

最初俺は断っていた

経験もないし、

何より俺がこんな所で役に立てると思えない

三ツ谷 隆

デザインはできなくてもいいんだよ

三ツ谷 隆

うちの受付をして欲しくて

龍宮寺 堅

受付?

確かに受付ならデザインはできなくてもいいだろうが

俺にそんな事できるのか?

俺第一印象とか悪そうだしな…

三ツ谷 隆

そんな難しい事じゃないし、それにほら、堅くんイケメンじゃん?

龍宮寺 堅

え、そうすか?

三ツ谷 隆

うん、だから女性のお客さん増えそうだなって

下心が丸見えだ

要するに客寄せって訳か

龍宮寺 堅

でも俺、タトゥー入ってますけど…

三ツ谷 隆

それは結び方次第でどうにでもなるっしょ。

…案外適当な人なんだな

まぁどうにでもなるにはなるが…

この時点では、俺はまだ悩んでいた

三ツ谷 隆

あとさ…

そう言うと隆さんが俺の耳元で給料の話をする

龍宮寺 堅

やります。

受付、という仕事には合わない金額の為もちろん即決

取り敢えず金が入れば、

生きて行ければ何でも良かった

三ツ谷 隆

そう言ってくれて嬉しいよ。

三ツ谷 隆

じゃあ仕事の事に関してはまた説明するから。今日は帰ろうか?

これで俺は、隆さんと 「隣人」から、

「仕事仲間」になったのだ

初仕事。

俺はドキドキする胸を押えて、 受付に来ていた

三ツ谷 隆

じゃあ、詳しい事は彼に

と、隆さんが誰か人の方に 手を向ける

乾 青宗

……女?

龍宮寺 堅

…綺麗な人っすね

三ツ谷 隆

男だけどね

龍宮寺 堅

えっ?!

男、なのか?これで?

ここの人ら顔面偏差値レベチだ

三ツ谷 隆

気難しそうに見えるけど良い奴だから、仲良くしてやって?

龍宮寺 堅

は、はい…

そう返事をして、俺は受付の方へ 向かった

取り敢えず挨拶をするべきか

龍宮寺 堅

おはようございます…

乾 青宗

…おはようございます

と、チラリとこちらを見て 会釈しながら無愛想そうに答える

気に入られなかったみたいだ

龍宮寺 堅

今日からここで働く事になりました、龍宮寺 堅っす。お願いします

そう、軽く自己紹介をする

相手もあまり歳はいってなさそうだが念の為敬語を使う

乾 青宗

…乾 青宗

青宗って言うのか…

カッコイイ名前だ、なんて思うが

青宗さんはずっと黙って下を向いている

人見知り?とか…

龍宮寺 堅

あの歳、幾つですか?

乾 青宗

…18

龍宮寺 堅

えっ

まさかの同い年

隆さんは俺の他にもこの仕事を 紹介しているようだ

俺みたいな環境に生まれた人が 他にもいんのかな

龍宮寺 堅

俺も18です。

乾 青宗

…!そうなんだ…

乾 青宗

じゃあタメにしよ

龍宮寺 堅

…!おう。

同い年とわかって、 少し心を開いてくれたようだ

彼から安堵の空気が漏れている

やっぱり人見知りだったのだろうか

乾 青宗

着替えに行こう

そう言って歩いて行く彼に 着いて行った

乾 青宗

ちょっと狭いけど

龍宮寺 堅

…いや、十分

ここはどうやら更衣室の様で、 ロッカーなどが置かれている

やはりここも綺麗にされていてロッカーや椅子以外に物は置かれていない

乾 青宗

この中に服入ってるからそれに着替えて

そう彼が指さしたロッカーの中にはきちんと畳まれた服があった

着替え終わった俺の姿は中々様になっていた

乾 青宗

いーじゃん似合ってる

龍宮寺 堅

いやお前の方が…

そう、制服に身を包んでいる 彼の容貌が綺麗すぎる

何故こんなに顔が整っているんだか

街中で見かけても女と勘違いしそうである

乾 青宗

堅だって似合ってるよイケメンだし

ナチュラルに堅と呼ばれた

こちらも青宗、と呼んでいいのか

…あまり友と呼べる人はいなかったもので

どう接したらいいかわからない

強いて言えば万次郎ぐらいだ

アイツは特別だったかもしれない

龍宮寺 堅

あ、そうだ、俺このタトゥー隠さねぇといけねーんだけど…

乾 青宗

んなのどうにでもなる

コイツも隆さんと同じ事考えてるのか

椅子に座ると、 青宗が俺の髪に手をかける

そして、滑らかな手つきで髪を結んでいく

中々器用みたいだ

経験があるのかもしれない

乾 青宗

はい。

龍宮寺 堅

ありがとな。

上手く結ばれた様でタトゥーが上手く隠れている

乾 青宗

じゃあ戻ろう

そう青宗は身を翻して歩いて行った

龍宮寺 堅

受付ってどんな仕事するんだ?

そう言えば調べてもいなかったし、 知りもしないので聞いてみる

本当に俺はこんな所で働けるのだろうか

乾 青宗

そんなに難しくないけど…

乾 青宗

俺も最近始めたばかりだからさ

と、そこに隆さんが通りかかる

三ツ谷 隆

お、堅くんお洒落にしてもらったんだね、カッコイイよ!

龍宮寺 堅

あ、ありがとうございます、

三ツ谷 隆

じゃあ受付の仕事頑張ってね~

そう言って隆さんは違う部屋に入っていった

デザイナーだったよな

どんな仕事なんだろうか

乾 青宗

…んじゃ、説明するな

龍宮寺 堅

あ、おう、

その後俺は青宗から説明を受けた

仕事内容はやはり接客などだそう

接客は…まぁ嫌いではない

龍宮寺 堅

予想通りではあるな

乾 青宗

だろうな。

乾 青宗

ま、これから一緒に頑張ろうぜ

龍宮寺 堅

…おう!

こちらを向いて微笑みかけた青宗の笑顔はとても美しいものだった

隆さんの下心マジで丸見えだ…

龍宮寺 堅

………

乾 青宗

…大丈夫か?

龍宮寺 堅

疲れた……

1日目の仕事を終え、 俺の体は疲労しきっていた

体力はある方だと思っていたが…

情けない…

乾 青宗

…俺も最初はそうだったから

乾 青宗

堅初めてにしては良かったし、

必死なフォローも今は辛い

無理にしないでくれ…

三ツ谷 隆

お疲れー

龍宮寺 堅

…隆さん

奥の部屋から出てきた隆さんが 俺らの方にやってくる

あまり疲れて無さそうだ

それより、受付がこんなに疲れるなんて思ってなかった

人と接するのは案外大変なんだな

三ツ谷 隆

初仕事どうだった?

龍宮寺 堅

すげぇ疲れました、

三ツ谷 隆

はは、だろうね。

と嬉しそうに笑う隆さん

全く、何がそんなに面白いのか

それは少し俺に失礼ではないか

三ツ谷 隆

青宗もありがとう。

乾 青宗

…いえ

青宗は隆さんとあまり仲が 良くないのだろうか

下を向いて暗い表情をしている

2人には何かあるのだろうか

三ツ谷 隆

2人とも着替えてきなよ。もう上がっていいから

そう言った隆さんに返事をして、 青宗と一緒に更衣室へ向かう

2人で中に入り一息つく

本当に疲れた

これから慣れていかないと

暫くして、俺は青宗に気になった事を聞いてみた

龍宮寺 堅

青宗

乾 青宗

どうした?

こちらを向き青宗が聞く

龍宮寺 堅

お前隆さんとあんま仲良くねぇの?

龍宮寺 堅

暗ぇ顔してたけど

踏み込み過ぎた質問をしたかもしれない

青宗は下を向いて黙ってしまった

やらかしたか…?

乾 青宗

ちょっと今はまだ言えない…

乾 青宗

いつか、言うから

龍宮寺 堅

…おう、わかった

こちらとて無理に聞き出すつもりはない

ただ気になっただけである

青宗が言いたくないと言うなら 言わなくていいし

強要したくもない

人には誰だって秘密がある

知られたくない秘密が

そんな物、ずっと心の奥底に 閉まっておけばいいのだ

苦しくなれば吐き出せばいい

少なくとも俺はそう思っている

龍宮寺 堅

んじゃ、帰るか

乾 青宗

あぁ。

数週間後

すっかり仕事に慣れ

青宗や隆さんとも仲良くなった俺は

青宗と2人で着替えていた

乾 青宗

結構慣れてきたみたいだな

龍宮寺 堅

あーまぁな

龍宮寺 堅

今日はそんな疲れなかったわ。

乾 青宗

なら良かった

そう青宗が微笑む

ほんと綺麗な顔してるよな…

周りの奴らがイケメンすぎる…

なんて思いながら、

パッパと着替える

龍宮寺 堅

じゃ、そろそろ。

乾 青宗

だな。

龍宮寺 堅

…あ

彼も仕事が終わったのか、

不意に連絡が入る

あっちはもう終わっているようだ

いつもは時間が違うので 青宗と帰っているが

今日は隆さんと帰らせてもらおう

龍宮寺 堅

ごめん青宗

龍宮寺 堅

隆さんが一緒に帰らないかって…

乾 青宗

…そっか

龍宮寺 堅

じゃ、また明日な!

乾 青宗

おう

青宗を置いて外へ向かう

待たせてしまっているかもしれない

…青宗が浮かない顔をしていたのは 気のせいだろうか

外で待ってくれている隆さんの元へ走って向かう

結構待たせてしまっただろうか

外は結構寒い

慌てて出てきたので上着を羽織っていなかった

三ツ谷 隆

お、来たか…って、寒くない?

龍宮寺 堅

あ、そうだった、羽織ります

龍宮寺 堅

つかすみません、待ちましたよね

三ツ谷 隆

いや、大丈夫、着替えてたんでしょ?

まぁそう言われればそうだが

こちらが待たせてしまった事に変わりはない

青宗と話しすぎただろうか

と、急に隆さんが家とは別の方向に歩き出した

龍宮寺 堅

え、ちょ、どこ行くんすか?

三ツ谷 隆

んーちょっと寄り道?

振り返りそう言うのも束の間、 また歩いて行ってしまう

一体何処に行くのだろう

寄り道とやらに、俺はついて行っていいのだろうか

三ツ谷 隆

…どうしたの?おいでよ

龍宮寺 堅

俺ついて行っていいんですか?

龍宮寺 堅

邪魔だったら先帰るんで…

そう言うと、隆さんがぽかんとした顔になった

何か可笑しい事を言っただろうか

三ツ谷 隆

ふ、ふふ、はははっ、

龍宮寺 堅

…え、

急に隆さんが笑いだした

やはり可笑しい事を言ったのか

何がそんなに面白いんだ

龍宮寺 堅

な、なんすか急に!

三ツ谷 隆

だ、だって、俺は君と寄り道したいのに、ふっ、邪魔だったら帰りますなんて言うんだもん、あははっ!

お、俺と?

一体俺と何処に行きたいのだろうか

そもそも俺なんかと一緒に居て 楽しいのか?

…いや、現に今彼は笑っているが

全く、いつ終わるんだこれは

暫くたって、やっと笑いを収めた 隆さんに聞いた

龍宮寺 堅

…で、何処に行きたいんすか?

三ツ谷 隆

さぁ?行ってからのお楽しみ

そう楽しそうに言った

随分と余裕のある人だな

だがまぁ、俺と行きたいと言うなら 着いていこう

三ツ谷 隆

…これを、見に来たかったんだ

隆さんが俺を連れて来たのは イルミネーションだった

これを見たのは何年振りだろうか

結構大掛かりにやられていて、 凄く、綺麗だ

色んな場所に 沢山のライトが付いている

こんなのどうやって付けるんだろう

大変だろうな、こんなに付けるのは

三ツ谷 隆

ここ、綺麗でしょ?

三ツ谷 隆

数年前にも1回来てたんだ

そう言う隆さんの顔は 何か悲しそうで

俺はただ「そっすね」と、 返す事しかできなかった

三ツ谷 隆

ねね、写真撮ろっか

龍宮寺 堅

写真?

三ツ谷 隆

ほら、堅くんも入って

そう言って内カメにして 隆さんがスマホを構える

パシャ!とシャッター音が鳴り、 俺と隆さんの笑顔が写った

初めは警戒していたが

彼はこんなにも良い表情をしている

こんな人を、疑える訳が無い

この人は絶対、 根っからの善人だ

三ツ谷 隆

これ送っとくね?

三ツ谷 隆

…堅くん?

イルミネーションの光に照らされたその顔が言い様もなく綺麗で

いつしか俺は、 隆さんに見惚れていた

三ツ谷 隆

ちょ、どうしたの?なんかあった?

龍宮寺 堅

…あ、

三ツ谷 隆

大丈夫?ぼーっとしてたけど

龍宮寺 堅

…すんません、大丈夫っす

三ツ谷 隆

そ?なら良かった

そう安堵の表情をする

…何故貴方はただの隣人に、 仕事仲間に、そんな良くできるんだ

あぁ駄目だ

初めての恋をこの人に、男に 奪われるだなんて

この想いは隠さないと

こんな奴に、俺なんかに好かれても気持ち悪がるだろう

気持ちを伝えて嫌われるより このまま"仕事仲間"という関係で

ただの"隣人"という関係でもいい

隣に、いたい

この人の隣にできるだけ長くいたい

これからは、 この人の為に生きていこう

過去の事は忘れて

三ツ谷 隆

堅くん?堅くん!

龍宮寺 堅

…は

三ツ谷 隆

今日ほんとに大丈夫?熱でもある?

そうやって結び方を戻した 俺の額に手を当ててくる

三ツ谷 隆

…ちょっと熱くない?

それは恐らく照れてるからだ

顔が火照っている

龍宮寺 堅

いや、大丈夫っすよ

と返事をして顔を背ける

三ツ谷 隆

ん、でも一応

そう言い、彼が背伸びして、 額をくっつけようとしてきた

俺の頭を掴むも、もちろん届かない

三ツ谷 隆

んん~~っ

三ツ谷 隆

だ、ダメだぁ……

どうやら自分の背の低さに 落胆しているようだ

こちらとしてはもう心臓の鼓動が 早すぎて死にそうなのだが

背が高くて良かった

というかこんなに可愛い生き物が この世にいたのか

龍宮寺 堅

ほんと…大丈夫っすよ、マジで

龍宮寺 堅

気にしなくていいんで、

三ツ谷 隆

…そう?

三ツ谷 隆

気になるけど、堅くんがそう言うなら…

そう言って1歩離れてくれた

先程からずっと至近距離だったので

俺としてはありがたい

三ツ谷 隆

…あ!

隆さんが何かに気づいたようだ

隆さんの目線の先に 何かあるんだろうか

と、目線を追いかけてみる

あれは……

三ツ谷 隆

買って帰ろうかな…

三ツ谷 隆

美味しそう、あれ…

目をキラキラとさせて、隆さんは 綺麗に並べられたのを見つめている

確かに、デコレーションが とても綺麗だ

ショーケースに入れられた デザートが輝いている

三ツ谷 隆

そだ!堅くんも一緒に食べよ!

悩んでいたものの、既に彼の中で 「買わない」という選択肢はない

今は「俺も一緒に」というのも 出てきているぐらいだ

龍宮寺 堅

いや俺は…いっすよ

三ツ谷 隆

ダメ、俺が決めたから食べるの。

三ツ谷 隆

拒否権ないから

何か今日強引じゃないか?

久し振りにここ来て 気分上がってんのかな

龍宮寺 堅

…分かりました

と、渋々承諾する

三ツ谷 隆

やった!じゃあ買いに行こ!

はい、と返事をして今にもスキップしそうな隆さんの後を追う

本人がこれに気付いていないだろう事にびっくりだな

何とも可愛らしいというのに

三ツ谷 隆

あ、ほらほら、何にする?

と、キラキラとした目で ショーケースを指さす

好きなやつを答えて、 財布を取り出す

三ツ谷 隆

俺はこれにしようかなぁ…

と、あるデザートを指さす

三ツ谷 隆

マカロン

龍宮寺 堅

うわ、めっちゃ綺麗っすね

三ツ谷 隆

でしょ?キャラメルかな…

キャラメル

キャラメルの意味は何だったか…

隆さんの目を盗んで、 こっそりスマホで調べてみる

「 一緒に居ると安心する 」

……それはないか

まだそんな関係になれてない

したいとは思うが

三ツ谷 隆

じゃ、帰ろっか?

代金を支払い終わり、袋を手にした隆さんが言う

軽く頷き、先に歩いた 隆さんに着いていく

今日の夜は少し… いや結構、楽しくなりそうだ

貴方の事を思いながら コレを食べるのだから…

龍宮寺 堅

じゃ、今日はありがとうございました。

部屋の前まで来た所で言う

三ツ谷 隆

…ねぇ

ドアにもたれかかって 隆さんが俺に声をかける

三ツ谷 隆

今日おニーサンの家、

三ツ谷 隆

泊まっていかない?

彼からの急なお誘いに

俺の心臓は高鳴った

今俺の顔は大丈夫だろうか

俺は明日生きているだろうか

今日の夜は

大変な事になりそうだ

明けましておめでとうございます!

という事で!

新作出して見ました!

どうですかね?

良いなと思ったら♡連打

ついでにお気に入りもぽちっと!

ではでは皆さん

今年もよろしくお願いします!

隣の部屋の隆さん

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2,023

コメント

82

ユーザー

続き書くの無理せず頑張ってください!

ユーザー

あっ凄い好きっす!!フォローとブクマ失礼します!!

ユーザー

なんもうなんというか...雰囲気めちゃめちゃ好きです!!! ドラケンかわいすぎるし、三ツ谷くんがいちいちえろi(((((( マジで大好きです(*^_^*)

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