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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

中原中也

うぁあっ!

苦しくなって急いで目を開けるが、

そこは変わらぬ自身の部屋があるだけだった。

中原中也

ゆ、ゆめ、か……

どうやら、そのまま眠ってしまったらしい。

それにしても、懐かしく恐ろしい夢を見た。

あの時、海で溺れていなければ、こんなふうに悩まされることはなかっただろうに……

ふと、右側から視線を感じた。

驚いて視線のする方に顔を向けると、

中原中也

あ、アツシ……?

中也を見つめるアツシの姿があった。

中原中也

な、なんで、ここに……?

アツシ

……

中原中也

あ、そっか、手前、話せなかったんだよな

コクコクと首を縦に振った。

そして、アツシは胸に手を当て、苦しそうにあえぎ、

その次は心配そうに頭を揺らす動作を中也に見せた。

中原中也

……あ、もしかして、心配、してくれたのか……?

そう! とでも言いたげにアツシは頭を縦にブンブン振った。

中原中也

そっか……ありがとう、よ。

アツシは嬉しそうに破顔した。

その笑顔を見て、少しだけ心のわだかまりがとけたような気がして、

中原中也

なら、俺の話、聞いてくれない?

アツシ

……?

口が勝手にいろいろなことをこぼした。

中原中也

俺ね、中原家の次期当主なんだ。

アツシは首を縦に振る。

中原中也

でも、俺、当主になりたくないんだ。

目を見開いて、あわあわとしだす。

中原中也

そうだよな。変に、思う、よな……

中原中也

でも、ちゃんと理由があるんだ

中原中也

俺には年上の従兄弟がいるんだけどな、

中原中也

その従兄弟の方が賢くて、俺より勉強ができて。

中原中也

絶対、俺なんかが当主になるより、

中原中也

兄様たちのほうが、むいてるって、思っちゃうんだ。

アツシは中也の手を握り、ぶんぶんと首を横に振った。

そして、中也を指差し、手で丸を作った。

口元はなにやら言葉を紡いでいるが、音がないのでわからない。

だが、それでもなんとなく、 あなたがよかった。 と言ってもらえたような気がして、

中原中也

……励まそうと、してるんだな

燃えたぎるほど、嬉しかった。

中原中也

……やっぱり、俺が当主になるべきなのかな……

コクコクと細い首を懸命にアツシは振る。

中原中也

……そっか。なら、がんばろうかな……

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