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運命の糸が
見えた気がした───
友達
松原さんって誰？
北条 晶
あの人
松原 愛花
話しかけるなら話しかけて来なよ
牧野 亜由
え！！無理だよ！
友達
ふーん
友達
普通の子じゃん
北条 晶
普通の子だけど…
北条 晶
どこかで会ったような…
友達
呼んでこようか？
北条 晶
……
あの子とどこかで会ったような気がした。
"松原愛花"
初めて会ったのに
その名が
まるで昔から俺の傍にあったかのように
とても、とても懐かしかった。
昔、どこかで────
純白な薄い肌と
強い意志のこもった瞳。
亜由が惹かれるのも、何となく分かる。
松原 愛花
（ほんとに綺麗な顔立ち…）
牧野 亜由
目の保養は出来た？
松原 愛花
いや…保養もなんもないよ…
牧野 亜由
でもイケメンでしょ！
松原 愛花
まぁね、綺麗な顔立だなとは思ったよ
牧野 亜由
だよねー
牧野 亜由
てこれで、優しくて勉強出来て運動神経も抜群なんだよ！？
松原 愛花
どれかひとつは嘘でしょ…
牧野 亜由
……ココだけの話
牧野 亜由
実はあんまり優しくなくてさ
松原 愛花
性格悪い？
牧野 亜由
いや悪くは無いの
牧野 亜由
でも女子との関わりが嫌なみたいで
牧野 亜由
あんまり話しかけてもノリ良くないんだよね
松原 愛花
へー
牧野 亜由
まるで、男子に話しかけられた時の愛花みたいに
松原 愛花
それは結構な避け振りね
牧野 亜由
でしょ…
牧野 亜由
だから近寄れる人いないんだよね、女子の中で
松原 愛花
へえ
松原 愛花
（イケメンでモテるって言うから）
松原 愛花
（もっと、恋しまくってるのかと思ってたけど）
松原 愛花
（そんなに軽い人でもなさそうね）
あの頃の俺は
捻くれ者だった。
北条 晶
今日の飯は？
お母さん
ああ、お母さん忙しいから
お母さん
1人で作って食べて
北条 晶
いや、でも
北条 晶
冷蔵庫空っぽなんだけど
お母さん
知らないわよ
お母さん
忙しいって言ってるでしょ
北条 晶
……
親はみんな
子供より、自分。
北条 晶
（忙しい？）
北条 晶
（馬鹿言うなよ）
北条 晶
（浮気相手との連絡だろ）
北条 晶
（気付かない親父も鈍感すぎ）
子供がどれだけ辛くても
自分のことが優先。
人間なんてみんな自分が1番だから。
そう、思っていたのに。
先輩
ウザイんだよお前！
先輩
早くやめろよ！バイトのくせに！
先輩
ふん！
？？
……っ
北条 晶
……やめればいいのに
？？
！？
北条 晶
そんなに嫌な思いをしてるのに
北条 晶
なんでそんなに頑張れるわけ？
？？
…お母さんが…
？？
お母さんが忙しくて…
？？
だから…
？？
私も働いて稼がなきゃ…
北条 晶
は？
その子は
自分のことなんかどうでも良くて
相手の心配をできる子だった。
初めて見たんだ。
こんなに変わった子を。
北条 晶
意味わかんねぇよ
？？
……っ、ごめんなさい
北条 晶
……名前は？
？？
え？
北条 晶
お前の名前は？
？？
あ…
？？
―――です
北条 晶
（はあ）
北条 晶
（変なこと思い出した…）
外の空気を入れようと
カーテンを開けると
外はふつふつと雨が降っていた。
北条 晶
…チッ
北条 晶
（松原 愛花…）
北条 晶
（どこかで見覚えがあるんだよ…）
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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