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~アメノチハレ~
10月14日
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あたしの気持ちを代弁するみたいに
雨が降り注いだ。
平井花凜
さっきから携帯がなっている。
椿樹が心配してかけてきたのかな……
いや、違うでしょ。
平井花凜
優子
平井花凜
優子
優子
平井花凜
平井花凜
平井花凜
電話はお母さんからだったのね。
ごめんなさい、嘘ついて……
何もかも。
優子
平井花凜
平井圭二
平井花凜
平井圭二
平井花凜
平井花凜
陽太
平井花凜
あたしのこと待ってたのかな。
可愛い、けど……
平井花凜
平井花凜
陽太
優子
陽太
部屋に行っちゃったわ。
ごめんね、後で行くから。
優子
平井花凜
両親は……少し心配性。
平井圭二
だけどこんな日は
そんなパパとお母さんが
いつも以上にあったかく感じる。
平井花凜
優子
優子
溢れてくる涙に
お母さんは戸惑ってるし
パパは心配そうにあたしを見つめてる。
平井花凜
あたしは大きな嘘をついた。
"彼氏ができた"
そう……
あたしは普通の女の子だって
主張するかのように……
本当のこと
まず、誰に何を言う?
言ったら、嫌われる?
人が離れてく?
大好きな居場所がなくなる?
平井花凜
それがこわかった。
逃げることをやめた今
あたしが出す選択って何だろう……
そうずっと今の今まで考えてた。
あたしは……
平井花凜
平井圭二
平井花凜
優子
優子
パパが大きい出すなんて初めて……
平井圭二
平井圭二
平井圭二
そうゆう風に言われたら言えない……
平井花凜
平井花凜
平井花凜
言えない。
あなたの娘は普通じゃないなんて……
平井圭二
優子
孫の顔も見せられない
なんて……
平井花凜
平井花凜
優子
でも、今日言うって決めた。
平井花凜
平井花凜
平井花凜
平井花凜
平井花凜
平井花凜
平井花凜
失いたく居場所も
実ることのない初恋も
嘘をつき続けたら全部
なかったことになる。
自分で否定することになる。
そう思ってしまった。
平井花凜
平井花凜
平井花凜
そんなの嫌よ。
だから……
"告白"することを決めた。
優子
平井花凜
平井圭二
平井圭二
平井圭二
平井花凜
気づいてたの……
平井圭二
平井圭二
平井圭二
平井圭二
嫌われるかもしれない
自分に自信が無さすぎて
そんなことばかりだった。
優子
優子
優子
平井花凜
平井花凜
優子
優子
優子
優子
優子
優子
欲しかった言葉が
お母さんのぬくもりが
あたしの心をあたためる。
陽太
陽太
平井花凜
平井花凜
平井花凜
陽太
陽太
平井花凜
あたしの居場所はちゃんとここにある。
平井花凜
平井圭二
平井圭二
平井圭二
平井花凜
安心していいの。
だってここは
あたしの家なんだから。
平井花凜
平井花凜
平井花凜
大好きだよ
パパ、ママ、そして陽太。
___________________
あたしは必ずここに帰ってくる。
雨も必ずやむ。
晴れたら今度は
あなたに
答えを出しに行くから
待っててね。
好きと気づいたのはいつだっけ?
それが恋だと知ったのはいつだった?
何がきっかけだった?
___________________
約5年前の春
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物心ついた時から憧れてた
綺麗なドレスを纏った
美しいプリンセス。
そして、迎えにきてくれる
白馬の王子様に。
あたしはプリンセスになりたかった。
aくん
彼はいわゆる
"クラスで1番人気の男の子"
おとぎ話で言えば
きっと王子様。
平井花凜
aくん
だから、嬉しいはずだった。
おかしい、ドキドキしない。
"好き"何か
恋がなんなのかなんて
まだわからない。
でも心が叫んだ。
この人じゃない。
平井花凜
aくん
aくん
平井花凜
平井花凜
始まったばかりの思春期に
周りよりちょっとだけ
大人になる成長が早くて戸惑ってる
心が身体に置いてつけなくて
焦ってる。
平井花凜
aくん
その焦りが更に強く感じる瞬間が
5年生にあがってから増えた告白。
断ると決まってみんな聞く
じゃあ誰が好きなのって……
平井花凜
aくん
平井花凜
aくん
aくん
平井花凜
咄嗟に言ったのはこれだった。
aくん
aくん
平井花凜
自分でも混乱してしまって
わけがわからない。
aくん
aくん
平井花凜
aくん
平井花凜
ただ、わかったのは
平井花凜
どうして?
王子様に憧れてたはずよ?
プリンセスみたいに
口調を真似したり
可愛い服着てみたり
なんで……?
平井花凜
平井花凜
平井花凜
平井花凜
はずだった。
プリンセスになりたかった……
あたしが憧れたプリンセスは……
パパのプリンセスはママじゃなかった。
でも、あたしを産んだ。
平井花凜
わからない。
あたしを産んだママは
パパを捨てて別の王子のところへ
いってしまった。
平井花凜
わかんない。
あたしも捨てた。
捨てるくらいなら、なんで産んだの。
でも、お母さんという
新しいパパのお姫様が
あたしを迎えにきた。
平井花凜
平井花凜
可愛い10歳離れた弟を連れてきた。
強くて優しくて、可愛い人は
お母さんだ。
平井花凜
平井花凜
ただ、お母さんみたいな人がいいって
思っただけだもん。
それだけ……ただ、それだけ。
平井花凜
じゃあ、なんで否定できなかったの?
平井花凜
平井花凜
混乱してるからか
気持ち悪いって
手を振りほどかれたからか
いたくて
何かがいたくて
あたしは大事な何かにこの日気づいた。
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あたしが憧れたのは間違いなく
美しいプリンセス。
でも迎えにきてほしいと思ったのは
白馬の王子様じゃなくて
強くて優しくて、可愛い
お姫様だったこと。
~体育館で見かけた蕾~
3年前の初夏
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あの日からあたしは
答えが出ないまま時を過ごした。
次の日には……
皆の視線
声
全てが
あたしに敵意を向けて
未だに頭から離れない
トラウマになってしまった。
先生
考え事してたら思い切り失敗して
転んで足くじいちゃった。
平井花凜
先生
先生
平井花凜
そのトラウマを人に……
親にさえ言えなかったのは
敵意を向けられる理由が
まだわからなかったから。
相川純恋
先生
相川純恋
相川純恋
でも苦しかったあの日常も
今日狭い世界だっと一瞬で知った
それが突然芽吹いた。
先生
相川純恋
相川純恋
平井花凜
あたしの理想が詰まったような女の子。
ふわっとした少し茶色ぽいの髪の毛に
愛らしい笑顔。
相川純恋
相川純恋
相川純恋
先生
平井花凜
平井花凜
名前を呼んだ時
時間が早くなったと勘違いした。
本当は心臓の鼓動が早くなっただけ。
相川純恋
相川純恋
平井花凜
相川純恋
相川純恋
平井花凜
顔が熱く感じる。
体温が上がった気がする。
顔を真っ直ぐ見れない。
相川純恋
相川純恋
狭い体育館で転んだのは恥ずかしい。
皆に注目されてしまった。
相川純恋
相川純恋
相川純恋
平井花凜
相川純恋
相川純恋
陸上部の平井さんという認識だけで
こんなに優しい人は珍しい。
あたしにとっては特に。
平井花凜
相川純恋
相川純恋
平井花凜
相川純恋
相川純恋
相川純恋
あたしの視線より下にいた彼女は
上目遣いで心配そうにあたしを見つめた。
さっきまで早く感じた時が短く感じた。
平井花凜
ずっと
探し続けた答えが喉まで出かかった。
平井花凜
相川純恋
平井花凜
"好き"
という2文字が
恋の蕾が芽生えたことを
証明してしまった。
相川純恋
久しく感じる優しい眼差しが
眩しくて、眩しくて
やっぱりあたしは彼女の顔を
真っ直ぐ見ることができなかった。
___________________
それは予想だにしない程刹那
芽生えることは誰しも簡単で
咲かせられるかどうかはわからない。
あたしはこの恋に水を注ぐことが
不可能だろう。
~告白と覚悟~
10月31日
___________________
トラウマを抱えて
嘘を重ねて
一生を過ごすのか
あたしは……
相川純恋
平井花凜
相川純恋
平井花凜
相川純恋
平井花凜
平井花凜
相川純恋
相川純恋
あたしはもう何からも逃げない。
逃げたくない。
向き合いたい。
平井花凜
平井花凜
相川純恋
相川純恋
平井花凜
もう充分わかった。
あの選択が教えてくれたこと。
相川純恋
平井花凜
平井花凜
あの関係は楽しかったし
偽りでもちゃんと幸せだった。
それでもやっぱり偽りは偽りのまま
虚しさは変わらぬままだったこと。
相川純恋
平井花凜
相川純恋
相川純恋
相川純恋
平井花凜
あの日言えなかった言葉が
想いが溢れて仕方ないこと。
相川純恋
もう隠さない。
もう嘘なんてつかない。
平井花凜
平井花凜
嫌われる覚悟も
縋り続けた居場所を失う覚悟も
全部してきた。
平井花凜
平井花凜
平井花凜
でも、捨てない。
大事にしてきた初恋。
唯一の恋。
伝えることで真実にする。
平井花凜
平井花凜
平井花凜
平井花凜
平井花凜
あたしの想いはちゃんといた、と
あなたに伝えにきた。
平井花凜
平井花凜
相川純恋
相川純恋
平井花凜
相川純恋
相川純恋
なんでよ。
平井花凜
相川純恋
相川純恋
平井花凜
相川純恋
知ってるわよ。
そんなこと。
いつだって、あなたは
あたしをあたしとして見てくれたもの。
相川純恋
平井花凜
相川純恋
相川純恋
平井花凜
だから、好きなのよ。
ぶっきらぼうでも
何に対してもしっかり向き合うその姿勢
そんなところが可愛いの。
そして、あなたの眼差しが
あったかくて好き。
相川純恋
相川純恋
平井花凜
平井花凜
平井花凜
嫌われる覚悟さえあったのに
あなたは意図も簡単に
あたしの心を救ってくれるのね。
相川純恋
相川純恋
相川純恋
相川純恋
相川純恋
相川純恋
平井花凜
平井花凜
好きだった。
遠回りした。
沢山嘘を重ねた。
傷つけて傷ついた。
相川純恋
相川純恋
平井花凜
平井花凜
平井花凜
あたしの大切な初恋に
別れを告げるわ。
さようなら。
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後悔はしてない。
あの時間があったから
今のあたしがいる。
もう迷わない。
新たな選択へと
あたしは進む。
平井花凜