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ただ君といたかっただけ

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ただ君といたかっただけ

2 - 第2話 これからも4人で

♥

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2024年02月01日

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冬乃

どう?

冬乃

返事はおっけー?

夏樹

っす

夏樹

おっけーす

夏樹

誘ってくれてありがとう

冬乃

……!

ちらっと見えた八重歯と、クシャッと崩れるその笑顔に

ふと、手紙の内容を思い出した。

きっとあなたは未来の私のようにまた夏樹を好きになる。

そんなわけ、そんなわけがない

だけどそれは

そうなる事が決まってるかのように

運命かのように

私は心を奪われた

夏樹

…えーっと?

冬乃

へ…?

冬乃

あ、や

冬乃

あの、えっと…

冬乃

その紙!

冬乃

それ、書いたの後ろにいる春奈って子

冬乃

あと秋斗っていう友達もいるし

冬乃

学校のこととか相良くんの話とか聞きたいかも〜

冬乃

…なんちゃって

焦ってペラペラと口が動いた

どうしよう、目を見れない

絶対今顔赤いもん

夏樹

俺の話…

冬乃

あ、嫌だったら全然!

冬乃

話さなくっても大丈夫

冬乃

学校のこと色々教えたげる

夏樹

ありがと

夏樹

実は結構困ってたんだ

冬乃

そうでしょー

冬乃

うちの学校、旧校舎も別棟もあるからややこしいもんね

冬乃

わかるー

夏樹

前いた学校より倍でかいからホントに驚いた

冬乃

中はボロっちいけどね

夏樹

そう?

夏樹

綺麗な方じゃない?

冬乃

トイレとかちょー汚いよ

夏樹

まじ?

あ、ほんとだ

話してみたら明るいし、よく笑う

もっと話したい

早く放課後にならないかな

春奈

ってことで!

春奈

夏樹くん、ようこそ私たちの高校へ〜!

秋斗

わー

冬乃

いえーい!

夏樹

改めて、俺は相良夏樹

夏樹

誘ってくれてマジで嬉しかった

夏樹

ありがとう

春奈

いいってことよ!

春奈

あたしは水元(みずもと)春奈

秋斗

古谷(ふるや)秋斗です

冬乃

私は冬乃

冬乃

小林、冬乃です

春奈

ねーねーなんて呼べばいい?

春奈

さっき普通に夏樹くんって呼んだけど

春奈

もう一緒に帰る仲だし、呼び捨てでいいかな?

コミュ力が高い春ちゃんは友達の友達は友達というタイプで

どっか行ったと思ったらすぐに人を連れてくる

私の1番の親友だ

夏樹

夏樹でいいよ

夏樹

えーっと…春奈、秋斗

夏樹

冬乃

冬乃

秋斗

よーしもう俺らは友達だな

秋斗

コンビニ行きながらみんなで話すかー

春奈

ねえねえ夏樹

春奈

広島から来たんでしょー

夏樹

そうだよ

冬乃

冬乃

冬乃、

冬乃

名前を呼ばれた時

不覚にもドキッとした

あんなに優しそうな笑顔で笑われたら誰だってドキッとするわ!

秋斗

冬乃?

春奈

なにしてんの、行くよ!

冬乃

はーい

私はカバンに入れた手紙の続きが気になった

3人は並んで話している

その隙に読みかけの1枚を取り出して

急いで読んだ

確かこの日は4人で帰った日だったよね

春ちゃんは夏樹のことが知りたくて

かく言う私も夏樹のことを知りたくて

広島のどこから来たとか

なんで今の時期に転校してきたのかとか

デリカシーのない質問をしてしまった

そのせいで夏樹を困らせてしまった

彼には答えられない質問だったのに

あきぽんがすぐに仲裁に入ったからその場は丸く収まった

その後は、みんなでアイス買って食べながら帰った

これを読んでいるあなたなら分かるでしょ

これは絶対に間違ってた行動なの

あなたがあの行動をしなくても

春ちゃんは夏樹を知りたくて質問攻めしちゃうと思う

止めてあげて

夏樹はまだ、心の傷が癒えてない頃なの

秋斗

なに読んでんの?

冬乃

わぁ!!

あきぽんが後ろから手紙を覗き込んできた

私は手紙を読むのをすぐにやめて、かばんに突っ込んだ

冬乃

な、なーんにもないよ

秋斗

えー?でもなんか持ってたよねー?

冬乃

持ってない持ってない

冬乃

さ、早くコンビニ行こ

秋斗

それがさ

秋斗

春菜が夏樹にだる絡みしてて

え!

まさか、もう日記の出来事が…

そう思って私は前にいる2人を見つめた

春奈

ねーねー質問してもいい?

夏樹

ん?

春奈

ずばり!夏樹は何人家族?

夏樹

3人

春奈

じゃあ一人っ子なんだ

夏樹

弟がいるよ

春奈

え?

夏樹

…えっと、俺…

夏樹

俺は…

冬乃

春ちゃんすとーーっぷ!!

春奈

な、なに冬乃?

冬乃

もー春ちゃんってば

冬乃

相良くん困ってるでしょ

春奈

うっそ、ごめん…

夏樹

あ、いや…

冬乃

ほら早くコンビニ行こ!

私はみんなの先頭に行って歩き始めた

斜め後ろにいる相良くんが私に歩幅を合わせて

私の隣に来た

夏樹

さっきはありがと

冬乃

んーん

冬乃

春ちゃんは相良くんと早く仲良くなりたくて

冬乃

ちょっとぐいぐい行き過ぎる所があるんだ

冬乃

許してやってね

夏樹

…名前

冬乃

え?

夏樹

名前、ちゃんと呼んで

な、なんだって?

名前って…もしかして

冬乃

夏樹…?

夏樹

うん

夏樹と呼ばれた男の子はふっと笑った

私はその瞬間

漫画でよくあるハートの矢が心臓に

ずっきゅーーんと刺された

冬乃

待ってやばい

夏樹

何がやばい?

冬乃

心臓が

夏樹

冬乃

あきぽん、私無理

冬乃

前行って

秋斗

は?

冬乃

いーから

冬乃

私春ちゃんと歩く

春奈

なになに

春奈

冬乃甘えたい期?

冬乃

んーまあ

秋斗

んだよ…

秋斗

とまあ、こんな感じなんだけどよろしくな夏樹

夏樹

おう

そうしてあっという間に時間は過ぎていった

春奈

んーー

春奈

今日は楽しかったね!

春奈

夏樹とこれからもっともーっと仲良くなれるかな?

冬乃

なれるよ

冬乃

絶対

春奈

うん!

私と春ちゃんは家がおなじ方向だから

一緒に帰ることになって

あきぽんと夏樹はまた別の方向へと帰って行った

春奈

夏樹ってさ

春奈

ちょっとミステリアスな所あるよね

冬乃

ミステリアス?

冬乃

そうかな…

春奈

でも笑うと少年って感じしない?

冬乃

わっかる

春奈

だよねー

春奈

……ふう

春奈

そうだ、冬乃

冬乃

ん?

春奈

明日もみんなでご飯食べたり、一緒に帰ろ

春奈

あたしあの4人でいる時間、すごく好きだった

春奈

1秒でも長く、みんなと一緒にいたい

そう言いながら腕を絡めてくる春ちゃん

表情はよく見えないけど

私もみんなと、4人でいたい

冬乃

私もそう思う

春奈

でしょ

春奈

あたしね

春奈

冬乃には幸せになってもらいたいの

冬乃

えー?なに急に

春奈

んふふ

春奈

心の底からそう思ってるよ

春奈

ずっと、ずーっと…ね

冬乃

…春ちゃん?

春奈

それじゃ!また明日ね

冬乃

あ、うん

冬乃

またね

春ちゃんは絡めていた腕をパッと外して

私の方を見ずに一目散に家に帰っていった

少し様子がおかしかったけど…大丈夫かな

6月21日

この日は4人でご飯を食べた。

夏樹は広島にいた時もお昼はパンを食べてたらしいんだけど

春ちゃんがオカンのように

お昼はたくさんご飯食べなさい!!って

怒ってたの、覚えてる。

また4人で一緒に帰った。

6月22日

夏休み1ヶ月前。

みんなでどこか遊びに行こうかという話になった。

海や夏祭り、プール、勉強会。

まだ夏樹が来て2日しか経ってないのに

もう2年前からずっと一緒にいたみたいに

すっかり馴染んで行った。

7月20日

ついに夏休みが始まった。

忘れられない、夏休みが。

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