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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

中也

……あー、くそ

中也

永遠と終わらねェ…っ

時計の針が24時間と1時間を回る頃

俺は目の前の敵(資料)に苦戦していた

永らく任務続きであったからだろう 通常の倍近く俺の机に置かれてあった

中也

(資料整理は一生涯好きになれねェ…)

苛立ちを抑えきれず心の中で毒を吐く

太宰

……仕事は捗ってるかい?

太宰

五大幹部サマ

するとひょっこりと太宰が現れた

中也

…!太宰

中也

起きてたのか

部屋に行ったきり物音がしないのですっかり寝たものだと思っていた

太宰

…うん、まぁ

太宰

一寸ね…

中也

…寝れないのか?

太宰

いーや?

太宰

何でも無いよ、

一瞬、何処か曇った顔をしたが直ぐぱっと元に戻る

太宰

私、珈琲入れてくるね

中也

…あ、嗚呼……

そう笑って云う太宰の目が悲しそうに揺らいだのを見逃す訳もなく

少し、気になった

__数分後

煙草のような湯気を纏いながら机に2つ 珈琲カップを持ってくる

中也

ありがとな

太宰

…ん

カップを片手に太宰は向かいのソファに座った

俺は再び資料に目を戻し作業を進める

早く終わらしてしまいたかった

中也

(……其れでも、後最低で1時間は掛かりそうだな…)

太宰

……

思考錯誤する俺を、太宰はゆっくりと珈琲を飲みながら只只見ていた

♢

珈琲の匂いが充満する中暫く沈黙が流れる

コト…と飲み掛けのカップを机に於いたのを合図に太宰が口を開いた

太宰

……珈琲

太宰

冷めちゃうよ?

中也

……え?

何を云い出すのかと思えば…

中也

……確かに、

中也

悪い、折角入れてくれたのに

俺が手を付けないことを気にしていたのだろうか

等に冷めてしまった珈琲を飲めば、矢張り__

太宰

…冷たいでしょ?

中也

嗚呼

再び沈黙が訪れようとしたとき 突然太宰が良く判らないことを話し始めた

太宰

今の私達の関係、教えてあげようか

中也

……如何いうことだ?

頭の中でクエスチョンマークが浮かぶ

太宰

じゃあ先ず、私と中也って如何いう関係?

中也

恋人

太宰

…うん、そう

太宰

でもね、一寸違う

中也

…何が?

太宰

私は、ずっと暖かい珈琲なの

太宰

だけど中也は今飲んだ珈琲…

太宰

此の意味、判る?

中也

……え

其の言葉を訊いて、漸く全てを理解した

太宰

…別れよっか

困ったような、泣きそうな顔で少し微笑み乍そう云った

中也

…待て、太宰

中也

違う、俺は__

太宰

冷めちゃったでしょ

太宰

……私に、

中也

…え、

すると俺のカップを手に取り 飲み掛けの珈琲を一口飲んだ

太宰

…冷たいのは、美味しくないもんね

そう云った途端、一雫が太宰の頬を伝った

中也

…!

太宰

……ふふっ、

太宰

あーあ、

太宰

泣かないと思ったんだけど …

中也

……太宰

太宰

矢っ張り……、

太宰

中也と別れるのは、嫌だなぁ、……っ…

笑顔を保っていた顔が崩れ泣き顔へ変わる

溢れる泪を手で涙を拭う太宰を見て俺は強く抱き締めた

太宰

…!

太宰

中也__

中也

御免

太宰

…え

一言そう云えば抱き締める力が強くなる

中也

冷めてなんかねェよ…

太宰

…嘘

中也

太宰…

太宰

一寸…力つよ__

中也

好きだ、太宰

太宰

…!

中也

愛してる

中也

ずっと好きなんだ…

中也

だから、

縋るような気持ちで太宰の肩に額を乗せて云う

中也

別れよう何て、云わないでくれ……

するとずっと黙っていた太宰がぽつりと呟いた

太宰

……狡いよ

顔を上げると再び泪を流している太宰の姿が目に入る

太宰

私を……

太宰

どれ程放っておけば気が済むの……っ、

中也

…構ってやれなくて、御免な

自分がした余りの酷さに何故か泣きそうになる

太宰

莫迦中也……

それだけ云うと俺の肩に頭を預ける太宰

謝罪を込めて愛らしいふわふわした髪を優しく撫でる

太宰

……次したら、今度こそ別れるからね

中也

…嗚呼

中也

御免な

俺は太宰の頭を撫で続ける

あぁ、俺は何て酷いことをしたんだ…

こんなにも可愛い恋人を泣かせる程放置していた何て

切腹して詫びたい気分だ

♢

中也

……太宰

太宰

…なに?

あれから数分程経った

中也

…何時迄こうしてるんだ、?

太宰は未だ俺の肩に頭を預けた儘

太宰

…駄目?

中也

いや…

中也

そろそろ顔みたいなって…

毎日見ている筈なのに今は太宰の顔が気になる

きちんと顔を見て話したい

太宰

…………駄目

中也

…え…?

だが俺の気持ちとは裏腹に否定された

太宰

…泣いた後だから目赤いし

太宰

きっと酷い顔してるから…

俺は其の言葉で太宰に対する愛が膨らんだ

何て可愛い理由何だと

中也

ふはっ

中也

そんな事気にしてンのかよ

太宰

……当たり前でしょ

小動物を撫でるように太宰の頭を撫で続ける

中也

俺は太宰がどんな顔してても可愛いと思うけどな

すると太宰がゆっくりと俺から離れた

言葉通り泣いた後の顔である

太宰

……

中也

ほら

中也

可愛いじゃねェか

俺は太宰の頬を両手で包み笑う

中也

…御免な

中也

泣かせる程不安な思いさせて

太宰

……中也らしくない

太宰

中也は何時もそんなに謝んないよ

俺は何だと思われているんだろうか

中也

莫迦

中也

俺だって謝る時は謝る

太宰

もう謝んないでよ

中也

でも__

太宰

…其の代わり

俺の言葉に被せる

太宰

今日くらいは私に構って…

中也

……

余りの可愛さに思考が停止する

少し照れ気味に云った太宰を前に 俺の中で何かが切れた

中也

判った

中也

とびきり甘やかして構う

太宰

…ぁ

こうして二人は元の暖かい珈琲に戻れましたとさ

_終わり_

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2,081

コメント

30

ユーザー
ユーザー

➵♥´ཫ` )グハ 尊さと感動で…涙が…止まんねぇ!!

ユーザー

目がタヒぬっ

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