♥️
🧡くん!

♥️くんの声に反応せず、🧡くんの身体が背中から倒れる
💙
🧡くん!

🧡
あ…っぶね…。

🧡
あ、ははっ…コレがなきゃ即死だった?

💙
っ……!

🧡くんのアミュレット…オレンジ色の石にピンクの矢が突き刺さっていた
💙
(そういえば、これ…ゲームに出てくるアイテムに似ているけど…)

アミュレットへの疑問が頭に過ぎりつつ🧡くんを助け起こそうとする
🧡くんはいつものように笑っていた
けどその笑顔はひどく残酷で悲しいものに見えた
🧡
ねぇ…💙ちゃん俺ちゃんと償え…

💙
🧡くん…?

🧡くんがいた場所には🧡くんが着けていたアミュレットの残骸が残っているだけだった
玖亜
あれ…?

シナモさき
魔王が消えた…

💙
え…

💙
なんで…消えたの…?

おそらく魔王はルールに則り、おそらくどこかへ消えたのだろう
💜
あっははははは!

💙
ビクッ!

同じ声なのに含まれた感情は全く違うものだった
先輩の喜色と
♥️くんの絶望
💜
同じ結論に至ったみたいだね♥️くん

♥️
……

💙
何なの…?

♥️
今まで確信はなかった。こんな風に石だけ狙うのは難しいから…消えた人はアミュレットごと倒されていてアミュレット自体がどうなっているかは確認できなかった

♥️
でも💖くんのスキルならアミュレットだけを狙うことが出来る

シナモさき
それって…

♥️
そう。このアミュレットがここでは肉体よりも重要なこと

チャリっと自分のアミュレットを指先で遊ばせて先輩はクスクスと笑って僕らを見下ろす
💜
この石こそがこの世界では俺らの命なんだよ肉体をデータ化して収束させたものがコレなんだろうね

💜
命なんて軽いものだよ

💙
そこまで予想しててどうして🧡くんを…!

💜
仕方ないよ…ああしなければ俺達は殺されていた

玖亜
あなた方が殺されないように私達が囮となって戦っていました!

💜
でもそれも俺の不注意でこうなったんでしょ?

シナモさき
あんたまさかわざと…!

💜
だってずっと🧡くんは罪を償いたかったからね

💙
だからって…!

💙
だからって…あんなことするんですか!?

💙
🧡くんはあなたの事を慕っていたのに!

💜
💙ちゃん。君には『慕う』って意味がわかっていないね

💜
いい?心から慕うっていうのは俺のためにタヒねるってこと。

💙
は?

💜
🧡くんは俺を満足させた歩兵としては予想以上の動きだったよ

💙
いい加減に…!

玖亜
いい加減にしてください

玖亜
さもなければ私はここであなたを殺します

💜
君には関係ないだろ?

💜
部外者は黙っててくれるかな

玖亜
っ…!

💙
先輩!あなたは間違ってるよ!

💜
そうだよ!俺は間違ったことをしている。人の道を踏み外してる!

💜
人生で1度も間違ったことの無いこの俺が人として最大の禁忌を犯してる!あっはははははははは!

💙
ゾワッ

💜
ハァー…ハァー…

💜
…それが楽しくて楽しくて仕方ないんだ

💜
ここも現実も俺の役割は同じだね

♥️
お……なじ…?

♥️
どこがですか?ここと現実とじゃ全然違います!先輩だって…!

💜
いいや同じだよ?こっちはプログラムに現実では周囲からの期待っていうプログラムに踊らされているだけだったよ

💜
ここに来てそれに気付くなんて皮肉だね

♥️
あなたは踊らされてなんかいない。自分で正しいと思ったことを行う人で…

💜
そうだよ。俺は自分の意思で周囲の期待に応えていた。それが正しいと思っていた。1度もその選択を間違ってると思わなかった。間違うことなんて許されなかったし、俺自身も決して許しはしなかった

♥️
だったらどうして…!

💜
この世界で間違ってしまったからだよ

シナモさき
間違った…?

♥️
あなたは1度も間違いなんて…

💜
間違ったよ

💜
後輩も守れず目の前で死なせてしまった…

シナモさき
それはあんたのせいじゃ…!

💜
そうだね。俺のせいだよ俺の目の前で後輩がタヒんだ!俺が守るべきだった…

たった今🧡くんを裏切り、そのせいで彼が消えてしまったのに先輩のその言葉には嘘はないように思えた
💜
でも…

💙
…?

💜
君はコンテニューしてきた。何事もなく俺の前に現れた。…その時思ったよ。ここはいくら間違ってもいい世界なんだって!それがたまらなく魅力的に思えたんだよ!

💙
た、確かに僕はコンテニューしてここにいる…でも、🧡くんはもうコンテニューすら出来ないんだよ!

💜
そうだね。俺を心から慕う後輩が俺のために死んでしまった。俺はさらに間違ってしまった……俺の意思で、ね

玖亜
酷すぎる…

💜
あっははははは!道を踏み外すってこんなに楽しいんだね!初めてだよこんな快楽の世界があるなんて!考えもしなかった!

💜
💙ちゃんには感謝しているよ。人を助け、救う以上に人を見捨て、傷つけることが気持ちいいだって。きっかけをくれたんだから

♥️
違う!…あなたはそんなことに楽しさを見出す人じゃない!絶対に!

シナモさき
気づいてください!あなたはただこのゲームに踊らされているだけだ!

💜
……

💜
そんなことどうでもいい。

玖亜
…え?

💜
最初は後輩を助けられなかった。

💜
次は魔王を倒したらどうなるのか知りたくて自分は手を汚さずに後輩にトドメを刺させた

💜
後輩を自分の身代わりにした。それから…

♥️
!

♥️
あれは…わざと…?

💜
あとは何をすれば俺を楽しめる?

💙
なんで…

💜
ん?

💙
なんで!あなただって現実に戻りたいんでしょ!?だったらなんで『伝説の剣』を壊したんだよ!あの剣で魔王を倒して帰るのがあなたの目的じゃ…

💜
??

💜
いつ、俺が帰りたいって言ったの?

♥️
は?

💜
現実に戻る?俺がなんのために♥️くんから『伝説の剣』を奪って壊したと思っているの?

💙
だってあの剣で魔王を倒すって言ってたじゃないか

それは次の魔王にならないまま現実に戻れる唯一の方法のはずだった
💜
確かに俺は魔王を倒すといった。

💜
だけどロクに扱えない剣で戦うなんて俺がするわけないでしょ?

💜
教えてやりなよ♥️くん。君はそろそろ俺の目的がわかったんでしょ?

♥️
……ゾワッ

玖亜
どういうことですか…?

シナモさき
……?

♥️
…先輩は『伝説の剣』を魔王に破壊させるために俺から奪っていったんだ。

♥️
魔王にならないまま現実に帰る方法を完全に潰したんだよ

シナモさき
そんなことしたらあの人も帰れなくなるんじゃ…

💙
……!

💙
(そうか…)

『伝説の剣』を壊し、もう現実には興味がない彼が次に目指すのは…
💜
次の魔王には俺がなる。俺ならもっとこの世界を楽しくやれる!
