また会える日まで

♥️くんの顔から血の気が引く。

その表情の変化を楽しむように先輩は笑った

胸に当てた手を先輩はぎゅっと握りしめた

今までの自分を握りつぶすように…

胸元から話した手の中には既に銃が握られていた

僕らは身構えた

今の先輩は平気で🧡くんを身代わりにした

いつ僕らを身代わりにするかわからない

逃げなくては。

誰もがそう思った瞬間寒気が走った

魔王の気配

先輩の言動に気を取られ5分間動かないと言ったその時間がすぎてしまった

魔王を見つめ銃を構えたのを見て♥️くんは声を上げて先輩に駆け寄ろうとした

穏やかで優しい笑顔

きっとこれが♥️くんがずっと信じてきた先輩の顔なのだろう

その笑顔のまま銃を♥️くんに向けた

玖亜が咄嗟に手を伸ばして♥️くんの方を掴んだ

が、当然遅かった

ﾀﾋんだ

そう思っていた。

しかしその直後…

魔王が♥️くんの前に降り立っていた

ﾊﾟﾝｯ！

銃声とほとんど同時に魔王の身体が小さく跳ねた

その後2度3度と銃声とともに身体が揺れる

「「え…？」」

じっと、💖くんに似た顔を見つめていた

魔王の青い目は♥️くんを見つめていた

目の前に立った魔王の唇が動く

突然の風圧で何も聞こえない

そばにいた魔王の翼が羽ばたき、上空へと向かっていた

魔王の翼の先端に触れた

その瞬間、あの通知音と無機質な声が響いた

『クエスト【鬼ごっこ】クリアです。おめでとうございます』

アナウンスの声に何発もの銃声が重なり、後半はよくきこえなかった

魔王の身体は弾丸を避けてか上空で旋回する

ﾊﾟﾝｯ！

1発の銃声とほぼ同時に、僕は右耳と頬に熱さと痛みを感じた

1発を僕に向けて撃っただけですぐに魔王との交戦に戻る

お前達など見なくても命中させられる

先輩は暗そうにそう言っていた

絶え間ない銃声が響く中上空に飛んだ魔王の身体が揺れ始めた

右手に持った銃の引き金が絞られる

ﾊﾟﾝｯ！

銃弾が胸にあるピンクの核を撃ち抜いたのだろう

上空を飛び回る魔王の動きが止まった

ボロボロになった翼から抜けた羽根が宙を舞い踊る中で魔王の身体は地面に倒れていた

歩み寄った先輩は魔王の身体を足で蹴りあげ、仰向けにし、胸元の核を踏みつけた

呼びかけても返事は返って来ない

先輩の人差し指が引き金を絞ろうとしたその時

ﾋｭｯ。ﾄｯ。……ﾊﾟｷ。

矢が風を切る静かな音と 矢が何かに当たる音

そして、何かが割れるかすかな音

パチリと魔王の瞼が開く