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attention この物語はフィクションです ご本人様には一切関係ありません。 ご本人様のお名前をお借りしていますが、話し方、性格共にご本人様とは似ていません。 それを踏まえての閲覧をお願いします。 𝖼𝗉 VI IV Ⅴ 身長 年齢変更 転生要素を含みます。 VI→10歳→…歳 145cm VI→年齢不詳 174cm Ⅴ→年齢不詳 176cm 数字は大字 (旧字体)で表記しています。 伍→Ⅴ,陸→VI,肆→IV nmmnのルールを守ってご覧ください。
おーにさんこちら〜!!手の鳴る方へ
“一人“で隠れ鬼をしている幼い子供が視界の端に映った
桃色の髪に瞳。遊んで怪我でもしたのか体のあちこちに傷跡があった
視線を向けられていることに気付いたのか、子供は嬉しそうに駆け寄ってくる
IV
着物の裾を掴んだはいいものの見知らぬ存在と話すのは、怖いのか恐る恐る話し出す。
IV
陸
涙を浮かべながらそう尋ねる。どう答えるべきか悩んだ。でも…この可哀想な子供には素直に答えてもいいだろう
陸
IV
IV
陸
幼い子供が遊び半分で来る所ではない。死に最も近い場所。
大人達は何をしているのか。幼い子供を教え導くのが務めなのに。この子供を迎えに来る気配がない。
陸
IV
IV
陸
陸
IV
視線を逸らして森の中を歩く。歩いている途中、子供が何回か「鬼さん」と口にする
止まらない俺を止めようと戸惑いの声と共に着物の裾を掴む
IV
陸
服の裾を掴まれ足が止まる。何か伝えたいのか、口を何度か開いては閉じるを繰り返す
そんな子供に目線を合わせるべく、地面に膝まづく
陸
IV
陸
陸
IV
IV
耳元で喚く子供を抱き抱えたまま、森の中を進んで行く
IV
IV
IV
IV
陸
陸
陸
最悪や。この時間帯は眠っている筈の奴が、起きていることに溜息が漏れ出る。
“また“この子のことで小言を言われる。微かな吐息の音を聞きつけて、こちらに近付く
伍
伍
見られている子供は怒声が苦手なのか、小さな体を更に縮こませ怯えていた。
殺意の籠った虚ろな瞳は俺と子供を見た後、ゆっくりと揺れ動く
伍
伍
IV
頭を撫でられていることに驚いた表情を浮かべる。頭を撫でられるとは思っていなかったようだ
伍
IV
IV
伍
IV
お邪魔しますは違う気がして、ただいまと口にする。
するとお兄さんは頭を撫でながら、“おかえり“と、言い慣れていない言葉を返してくれた
伍
IV
なにかしたくて手伝いを申し出るも、お兄さんは困ったように笑う
迷惑だったのだろうか。手伝わないと、“また“殴られると思うと、怖くてお兄さんの着物の裾を掴んだ。
伍
IV
IV
伍
これ知ってる。我儘を言って困らせてる。大人しく引き下がらないと、“また“殴られる
IV
伍
IV
IV
伍
頭を撫でる冷たい手が心地良い。撫でられる手が離れるまで、お兄さんの服の袖を掴んだ。
食後の運動後。子供の目を盗んで外に行き、煙草の火をつける
吸い込んだ煙を、肺の奥から押し出すようにして、ゆっくりと吐き出した
IV
伍
声を掛けられ、慌てて煙草の火を消し、幼い子供に向き直る。
細かに震える子供に、着ていた上着を迷わず子供の肩に掛ける
伍
IV
伍
IV
伍
IV
伍
俯き黙り込む子供の顔を覗き込むと、着物の裾を掴んで離さない
IV
伍
IV
伍
伍
IV
歩幅を合わせる為に手を繋ぐと、子供は驚いて瞳を見開く。そんな子供の手を引いたまま家路を辿る
伍
IV
IV
IV
伍
嘘をつき慣れていない子供は震えた声で、「伝えたよ」と嘘をつく。
気まずそうに視線を逸らし俯く子供。 そんな子供の頭を撫で、足音がする方を指で差す
伍
IV
伍
IV
IV
伍
IV
IV
返答を聞いた後、微かな温もりを帯びた白い耳にそっと触れる。聞こえの悪い耳にほんの少しの霊力を流し込む
聞こえに違和感がないように霊力を馴染ませ、子供へ静かに声をかけた。
伍
IV
伍
普段聞こえない音に慣れない子供は耳を抑え、その場にしゃがみこむ。
伍
伍
IV
IV
目的地に着いたのか、不意に靴音が途絶えた。静寂の中、歩み寄ってきた相手は、子供の肩を強く掴んだ。
陸
そっと膝を折り、子供と同じ高さに視線を合わせる。触れる手と声、子供を心配していることが良く伝わる
IV
伍
陸
IV
陸
IV
優しく頭を撫でる手。乱れた髪を気にする子供に笑みを零し、子供を大切にすればする程、失ったら“また“傷付くという言葉を思い出す。
伍
IV
悪夢と共に目を覚ます。額に浮き出た冷や汗をパジャマの裾で拭う
IV
IV
猫特有の縦に長い瞳孔を細め、いたずらっぽく、微笑む猫のお兄さんが顔を覗き込む
IV
IV
伍
音を拾うように揺れる三角のふわふわ耳。じっくりと観察していると、彼に頭を撫でられる。
IV
伍
IV
IV
伍
伍
少し聞こえた物音に、ぱちりと目を覚ます。立ち上がり何処かに行こうとする、お兄さんの着物の裾を強く掴む。
伍
IV
伍
IV
伍
IV
IV
伍
IV
良い子にしないと。嫌われないように言いたい言葉を飲み込んだ
伍
伍
IV
IV
伍
取り敢えず手に取ってから決めようと、白濁色の小瓶を手に取る。
IV
伍
IV
伍
IV
お兄さんは小瓶の蓋を開け、零さんようになと一言添え、小瓶を手に持たせる。
お兄さんが触れた後の小瓶はひんやりと冷たい。冷たい小瓶に口をつけ、口に含んだ液体をゆっくり飲み込む
IV
IV
IV
IV
伍
伍
IV
IV
伍
IV
ぼくが口を付けたのを気にせずに、口を付けて飲み物を飲み込む。
伍
IV
伍
髪を撫でる冷たい手が心地良い。手が離れる頃には寝息を立て、お兄さんの膝に寝転がっていた。
伍
寝息を立てる子供を片手でおぶる。昼食の入ったバスケットを持ち直しながら、目的地まで歩みを進める
そして色鮮やかな花が咲いている花畑で足を止め、レジャーシートを敷く準備を進める
レジャーシートを敷くまでの間、ひんやりとした木陰に置かれた子供は、驚いたようにその瞳を大きく見開いた。
目覚めて直ぐに辺りを見渡し、不思議そうに俺の服の裾を掴んだ
伍
IV
IV
伍
IV
伍
ふわりと頬を撫でた風が、広げようとしたシートを大きく膨らませる
その頼りない重みに持っていかれるようにして、幼い足元がたどたどしく揺れた
IV
陸
IV
腕の中の小さな重みを確かめるように、彼は静かに、それでいて執拗なほどにその顔を見つめていた
眉間に寄せられた険しい皺の奥には、単なる心配とは質の違う、もっと暗く、深い熱が宿っている。
IV
IV
IV
IV
陸
IV
陸
伍
肩に担いでいた子供を下ろし、抱き抱える代わりに子供の小さな手を繋ぐ。
バランスを崩しにくいだろうと、慣れない行動をする彼に笑いが堪えられない。
IV
IV
陸
IV
IV
IV
近付く顔に驚いて後退る。色恋をまだ知らない子供は人に迫られるのに、まだ体制がない
IV
伍
陸
IV
伍
咀嚼し、喉を鳴らす。味覚を感じない子供の手に、一口食べた食事を手渡す
IV
IV
不安そうに頬張った食事の味を確かめるように何度も咀嚼する
伍
IV
食べさせるのは無理かと、諦めそうになったが気にせずにフルーツを手に取り、子供の口に入れる
IV
伍
IV
IV
伍
伍
おろおろと慌てる子供を横目に眺め、無愛想な鬼に声を掛ける
伍
陸
伍
陸
伍
IV
伍
伍
陸
IV
IV
陸
IV
捕食者と被食者。傍から見れば危ない関係なのに、子供は気にしないで接してくる。
心優しい子供に「面倒だから」と、やりたいことを断るのは違う気がした。
IV
IV
食べられると思っていなかったのか、子供は声を出して慌てる。食事に齧り付き、何度か咀嚼する彼を嬉しそうに眺める。
陸
陸
IV
口に入れられたフルーツを何度も咀嚼するが、…つぅっと、フルーツの汁が口元を伝う。
伍
からかいがいのある子供を見ると、無いはずの心臓が高鳴る。
自然と漏れ出る吐息を聞かれぬよう、手に力を込めると、掌から血液が滲み出す。その痛みが今の俺にとっては心地良かった。
身支度を整え寝る用の布団を襖から取り出し畳の上に広げる。敷き終わった後、お兄さんに一緒に寝ようと話しかけた。
IV
伍
IV
着物の袖を掴んで笑いかける。お兄さんは困った表情を浮かべた後、やんわりと掴んでいた手を離される
お兄さんは膝をついて、ぼくと目線を合わせて手を掴む。冷ややかで、大きな手がぼくの手をすっぽりと包み込む
IV
伍
IV
伍
IV
伍
IV
伍
伍
伍
後ろを振り返って子供に声を掛ける。気持ち良さそうに、寝息を立ている子供の姿が視界に映る。
伍
声を掛けても起きない子供。眠いのに、手伝ってくれた子供を起こすのは少々可哀想だ
服の袖を掴んで眠っている子供に触れ、小さな体を抱き上げる。
抱き上げるとあまりの軽さに驚き、瞳を見開く。食事を与えているとはいえ、味覚がない子供はあまり食事を口にしない
伍
伍
食事のことを考えながら、子供の寝顔を眺めて溜息を漏らす。幼い人間の子供の面倒を見るのは、妖怪には難しい。
IV
IV
いつも見る悪い夢は良くない所で目が覚める。冷や汗を服の袖で、拭おうとすると手が掴まれる
IV
振り払ったのは自分なのに、振り払った手がズキズキと痛い。相手は気にしない様子で、濡れタオルを肌に当て汗を拭う。
ひやりと冷たいタオルが触れる感覚に耐えられず、相手の着物の裾を掴んだ
伍
IV
IV
伍
IV
IV
伍
IV
IV
まさか食べさせられるとは思ってもいなかったのだろう。桃色の瞳が大きく見開いて固まる
伍
伍
背後から着物の袖を掴まれ、身動きが取れない。後ろを振り向くと、子供は焦った表情を浮かべていた
IV
IV
IV
伍
IV
伍
IV
伍
伍
IV
もぐもぐと小さく口を動かすたびに、ふっくらとした頬がリスのように上下する
子供の口の端に付いた真っ白な粥を指先で掬い、舌先で舐めとる。
伍
伍
IV
伍
IV
伍
肩の上で跳ねる桃色の髪を指で掬い、耳に掛ける。白皙の耳が露わになると同時に、その唇から密やかな呟きが漏れた
IV
屈託のない笑みを浮かべ、頬擦りをする子供の髪を撫でた。
ここら辺に少し慣れてきたので、お兄さんから外出許可が貰えました。
門限は決まっていますが、自由に行動出来るのは少し嬉しい…
IV
鬼には必要以上には近付くな。そうお兄さんに言われたが、理由を説明されていない
決められたことを守れないのが子供なんだなと実感する。
IV
近付いてきた子供の匂いに、ぼんやりとしていた視界がはっきりとする
嫌悪感を示し耳を塞いでも、甘い含みのある声で話しかけてくる
陸
IV
嬉しそうに話す子供は、肩をしゅんと落として分かりやすく落ち込む
IV
体引き寄せただけで、瞳を大きく見開いて戸惑う子供の髪を耳にかける
IV
肌から香る甘い匂いが誘ってくる。幼い子供は鬼にとっての食事でしかない
IV
IV
小刻みに震わせ声を荒らげる子供。痛みから逃れようと、小さな体を必死に動かす
陸
陸
IV
陸
陸
IV
震える手で噛まれた喉元に触れる。血を拭う気配の無い子供は、屈託のない笑みを浮かべる
手を掴んでとびきり甘い声を出して 許可を出す
IV
陸
IV
陸
IV
不意打ちの温もりにハッとして、丸く目を見開く。子供とは、どうしてこうも直ぐに手を繋ぎたがる生き物なのだろうか。
IV
陸
IV
陸
陸
遊び疲れたのか寝息を立て、眠っている子供を抱き上げながら森を歩く
世話焼きの酒呑童子なら、夕方頃には子供を迎えに来るだろう
子供を返せば世話から解放される。けれど、鼻腔をくすぐるミルクのような甘い芳香が、理性を強く揺さぶる。 無意識に溢れそうになる唾液を飲み混む
陸
本能が命じるままに噛み締めてしまいたい欲求を抑え込むことは、“また“出来なかった
伍
陸
伍
消え入りそうな声。少しは情があった。暖かな体温が、俺を呼ぶ甘い声の感覚がまだ残っているのに…
陸
衝動を抑えられないんだ。幼い子供を“また“殺めてしまった。自責の念で押し潰されそうな感覚に“また“襲われる
伍
伍
鬱陶しいと思っていたのに…子供の声が聞こえなくなると…自分のした行いに腹が立つ
大切な子供だったのに。舌っ足らずで感覚が乏しい…俺の子供だったのに
あの子と出会って何度目かの春。墓に足を踏み入れると今日は先客がいたようだ。
伍
伍
何十年経っても子供のことで、涙を零す哀れな鬼にハンカチを押し付け涙を拭かせる
伍
伍
陸
伍
伍
陸
伍
口が悪いと言われても話すことを止めない。本能の衝動はどんなに本人が抑えようとしても塞げない。
仕方がないことだったと割り切られば、器が持たなくなる。これ以上自分を責めないように…罵知る言葉を口にする
伍
伍
落ち込む彼の肩を叩いて墓から引き剥がす。こんな所で耽っていても、過ぎた出来事はどうしようもない。
伍
伍
あの子を失い傷付いているのは彼奴だけじゃない。あの子の面倒を見て傍に居たのは俺の方が長かった
甘えるのが下手で…舌っ足らずで…
…俺より泣き虫だった。あの子のことを思い出す度に涙が溢れる
大切だった…守りたかった。あの子に「好きだ」と伝えたかった
後悔しても遅いのに、失って初めて自分の気持ちを自覚する。あの子の後を追えない不死身な自分を今すぐ殺したい。
春は芽吹き、夏は繁り、秋は燃えて冬に眠る。あまりに単調な繰り返しを、何百年も見送ってきた。かつて、袖を引いたあの小さな温もりは、もうどこにもない
人間(ひと)の子の命は、瞬きほどの間に燃え尽きる。次に春が来ても、夏が来ても、あの子に呼ばれることは二度とない。雪解けの景色を眺め溜息と涙を吐き出す
あの子を失って、魅了した鮮やかな景色はただの情報として瞳に映る。あの子のいないこの世界は、あまりに無機質で、残酷なほどに色を失っていた。
それでも春夏秋冬は巡る。罪人にも、人間にも、妖怪にも平等に季節を与える。罰するような寒さに指先がかじかむが、温めるという気にはなれなかった
伍
伍
「大丈夫」だと言おうとした時…
「カラン」と、自分以外の下駄の足音が背後から聞こえた
体から香る甘い香り。忘れもしないその香りに、涙を拭うことを忘れて背後を振り返る。
肆
肆
伍
肆
視界に映る容姿は、確かにあの子のままだ。けれど、差し出された手のぬくもりも、俺を呼ぶ声の甘さは、驚くほど見知らぬ他人の物だった
肆
ただの輪廻転生という現象に過ぎなかった。何度も、何度も、俺の前に姿を現す。慣れ親しんだ容姿と瞳。
しかし、器の中に満たされているのは、あの子とは似ても似つかない別の「魂」だ。
伍
随分大きくなったあの子に、頭を撫でられじわりと涙が浮かぶ。
肆
肆
泣く俺の涙を拭い、変わらない屈託のない笑みを浮かべる
肆
伍
肆
驚かせようと、そっと被っていたフードを下ろす。その瞬間、お兄さんは不意を突かれたように、大きな猫のような瞳を見開いた。
伍
肆
肆
姿が変わっても落ち込む癖は変わっていない。甘い香りをさせて、不安そうに俺をじっと視線を向ける
肆
髪を撫でられ、林檎のように頬を赤く染める初心な反応は、出会った頃から少しも変わっていない。子供の愛おしさに口角を緩めながら、一歩、その距離を詰めた。
伍
柔らかな髪を指先でそっと掬い上げ、熱を逃がさないように耳の後ろへ掛ける
伍
伍
肆
目の前の鬼は、今にも命の灯火が消え入りそうな表情を浮かべていた
肆
肆
鬼を見ると、せり上がる恐怖と悲しみで締め付けられる。絞り出した声は、小さく震えていた。
肆
触れる冷ややかな手。頬を撫で顔を近付けられ、簡単に頬が赤く染まる
目と鼻先の距離に慣れていない。スキンシップや近付かれただけで、ある筈のない心臓が脈打つ
肆
陸
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ドクンドクンと脈打つ胸元に手を当てながら、名前が聞きたくて言葉を紡ぐ
肆
陸
肆
指先が触れ合った瞬間、お互いにびくりと肩を揺らす。触れられた自分の指先だけが、じわりと熱を帯び始めていた。
肆
肆
体だけはあの時のままだと伝えたくて、着物の裾を捲って肌を見せる。
目が覚めた時、そこには身に覚えのない傷跡が刻まれていた。なぜ、このことを「彼」に伝えなければならないと思ったのか、自分でも分からない。
だが、胸の奥を焦がすような切迫した使命感だけが、執拗に俺を突き動かしている
陸
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肆
「鬼さんのせいじゃない」その一言がどうしても口に出せず、俺は自分を責め続ける鬼さんの震える手を、ただ無言で強く握りしめた
肆
肆
この震えが静まるようにと祈りを込め、凍えた指先に何度も温かな息を吹きかける。
肆
手のひらから伝わってくるわずかな熱が、心を落ち着かせてくれる
今の自分にも誰かのためにできることがあるのだと思うと、嬉しかった。
肆
肆
じっと自分の手で温めるよりも、いっそ湯船に浸からせた方がいい。そう気づき、冷えた肌から名残惜しくも指先を離した。
肆
陸
肆
背に回された腕に、そっと触れる。出会って間もない鬼の体温。触れるのは初めてのはずなのに、どうしてこんなにも懐かしいのだろうか
肆
ピクリと眉を動かす彼。変な意味に捉えられないように、慌てて弁明する。
肆
陸
髪に手を乗せられ撫でられる。子供扱いされているのに、恥ずかしくて熱を帯びる頬に手を当てる。
肆
肆
心地良い居場所を手離したくないのに…罪悪感に押し潰されそうになる。
肆
陸
肆
じわじわと熱くなる体の初めての感覚に耐えられず瞳から涙が溢れる
肆
肆
すっと伸びた指が涙を掬う。涙を掬った指先で髪、頬、顎の順番に触れられ、自然に顔が上を向く。
肆
肆
肆
ほんの一瞬のことなのに、鼓動だけが早く、激しく鳴り響く。
柔らかな唇の感触。腕を掴む確かな熱に触れられた場所がじんわりと疼く。
肆
肆
罪悪感に胸が締め付けられる。服の袖で拭っても、溢れ出る涙は止まりそうにない
肆
肆
腕を引く冷たい手を拒みたいのに、拒めない。本能がこの触れ合いを“嫌“じゃないと訴える。
肆
肆
陸
陸
肆
人気の無い場所に足を踏み入れると、鼓膜に落ち着いた声が入る
伍
伍
頬に添えられた冷たい手のひらは、少しだけ離れようと動いた
肆
その手を逃すまいとそっと掴み、縋りつくように頬擦りをする
驚きに瞳を見開いたお兄さんはその場で固まり、微かな戸惑いの息を吐き出す
お兄さんが呼吸を整え俺の手に触れたのは、一瞬のことだった。
はっと息を呑むほど妖艶な、線の細い横顔が視界に映る
獲物を品定めするように、長い睫毛の奥にある瞳でじっと顔を覗き込んでくる
肆
骨張ったその手が、いつの間にかすぐ目の前にあった。触れようとすると拒絶される。
細く白い指先を口に含み、艶やかな音を立てて舐め上げる
肆
濡れた指がそのままそっと唇を撫でる感覚に、背筋が震える。
伍
肆
伍
肆
伍
肆
肆
繋いでいた手を離し、お兄さんは一歩、二歩と先を歩いて“俺“の方を振り返る
熱を帯びた視線をじっくりと“俺“に向け、お兄さんはおずおずと手に触れる。
肆
向けられた無邪気な笑顔に、思わず息を呑む。もう二度と動くことのないはずの心臓が、ドクンドクンと脈打つ
伍
伍
掴んでいた手を引いて頬に当てる。不安そうに眉を下げ、心配そうに見つめて切るお兄さんから目を逸らす。
伍
肆
お兄さんを見ると、胸の奥から温かい感情が漏れ出る。けれどその直後、冷たい波が引くように大きな不安が押し寄せる
伍
視線が一瞬だけ俺から離れ、遠くに視線を向ける。視線の先には、もうここにいない子供の姿があるのだろうか
どんなに愛おしいと願っても代わりにはなれない。こうして、隣にいるだけで嬉しいのに、もっとと欲が出る。
肆
肆
伍
冷たい指先で、細かい刺繍が施された着物の袖を引く
代わりになんてなれなくていい。もう少しだけお兄さんの傍に居たい
肆
伍
視線を上げてお兄さんの顔を見つめた瞬間、ハッと息を呑む
ピンッと立っていた耳が垂れ下がっていたから。おずおずと手を伸ばし、耳に触れると、お兄さんはどうしたらいいか分からない表情を浮かべていた。
自分はここに居ていいのかと、引っかかっていた迷いと不安は、お兄さんの照れくさそうな表情を見た瞬間に、跡形もなく溶けていく
肆
この懐かしさを手離したくない。 存在が変わっても、変わらない所はちゃんとある。
温かみのあるその表情に触れて、ようやく自分の居場所がここにあると確信できた
肆
伍
肆
伍
突然の抱擁の温もりに気を取られていたその時、背中越しにずしりと重たいものがのしかかってくるのを感じた
肆
陸
肆
肆
陸
肆
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肆
陸
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肆
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陸
もう後悔したくない。背に回された腕に触れて“俺“は頷いた。
伍
肆
伍
肆
安堵を得ようと二人の手を掴む。二人は戸惑いつつも、手を握り返してくれた
伍
肆
肆
両想いになるまで残り数分
それを知らない“俺“は、二人にただいまと言った後、頬を赤く染めることになった。
最後まで読んでくださりありがとうございます!!