もう何度目かの
もう来られないと 思っていたこの空間。
澪
どうしてまた来れたんだろう…?
澪
そうだ、父さん…!
空気が歪んだ時私は父さんを掴んだ。
多分一緒にここに来られたと思う。
澪
あ……
あの原稿用紙の前に父さんはいた。
ただじっと見つめて
ただじっと涙を流していた。
父さん
……
澪へ 父さんを助けて。 これを読んでいるということは、過去に戻れる羽根ペンを使ったようね。過去に戻ったらあなたが未来から来たことは誰にも言えない。この原稿はあなたが過去に戻る度に1文ずつ埋まって、いっぱいになるともう過去には戻れなくなる。あなたも父さんも愛してる。
確かに 原稿用紙はいっぱいになっていた。
タイトルの行を除いて。
父さん
……そうか。
父さん
…俺は
父さん
取り返しのつかないことを…
澪
…うん。
澪
でもね、
澪
母さんがチャンスをくれた。
澪
取り返しをつけるチャンスを。
父さん
…あぁ
父さん
アルコール依存症の治療施設に入ろうと思う。
澪
…うん。
澪
…そうして。
涙が止まらない。
あんなに許せないと思ってたのに。
父さん
澪…
父さん
こんな父さんでごめんな…
澪
…
澪
……
澪
…違うでしょ。
澪
また帰ってきてよ。
澪
母さんを幸せにして。
父さん
…あぁ。
目の前は真っ黒になった。