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彼岸花

5 - 彼岸花 第五章

♥

118

2019年10月27日

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此岸帰り

二つの形代を用意し、片方の形代に自分の名前を書く。

その名前に間違いがないか確かめたら、形代どちらにも息を三度吹き込む。

名前を書いた方の形代を彼岸に。名前を書かなかった形代を口に咥える。

口に挟んだまま鳥居を抜ける。抜ける際喋ってもいけない。振り向いても行けない。

連澪

簡単だな

天音夏帆

意外に簡単だった

ってことで、カホちゃんはこの形代に間違いなく名前を書いてね

天音夏帆

はい

私は形代に間違いなく天音夏帆と書いた

天音夏帆

書きました

息を吹き込んで

天音夏帆

はい

形代に息を吹き込む

天音夏帆

終わりました

この時、心がほっとした

じゃあ、行こっか

天音夏帆

はい

本殿を出て門の前に来た

カホちゃん、形代を咥えて

天音夏帆

はい

形代を口に咥える

連澪

夏帆、お前は幸せになるんだ

連澪

お前がここに来るところじゃないんだ

天音夏帆

………

連澪

俺の分まで幸せになれよ

連澪

絶対に振り向くなよ

天音夏帆

…………

私は連澪に"押され"歩き出した。

連澪

絶対に!!

連澪

俺の分まで!

連澪

幸せになれよ!!

振り向かなくてもわかる。連澪は泣いている。涙を流して、大声で叫んでる。

それに私は形代を咥えているため答えることもうなづく事も出来ない。

やがて、鳥居を出るその時……

カホ…イカナイデ…カホ

ワタシカラハナレナイデ…!!

私は突然聞こえた声に形代を取り、答えてしまった。

天音夏帆

な、何?!

天音夏帆

誰?!

カホちゃん!!

連澪

あの馬鹿!!

天音夏帆

連澪!声が聞こえる!

天音夏帆

辛そうで悲しそうで!!

連澪

来い!!

私は連澪に呼ばれ門の前に戻る

連澪

何やってんだよ!!

天音夏帆

だって!!

天音夏帆

こんなに辛そうな声が聞こえて見逃すことが出来なかったんだもん!

連澪

だからって!

連澪

帰る方法はあれしかないんだぞ!!

連澪

それを無駄にした!!俺達の努力は水の泡だ!!

天音夏帆

っ……

カホちゃん……

声って言ったかな?

天音夏帆

はい…

天音夏帆

とても辛そうな声が聞こえたんです…

ひとまず、本殿に戻ろっか…

天音夏帆

はい……

本殿

カホちゃん…その声は忌子神の声だと思う

天音夏帆

神様の?

うん……でも、カホちゃんはその声に答えてしまった

彼岸帰りは忌子神にバレてしまったから…その神様を祀り直さなければならなくなる

手伝ってくれるね?

天音夏帆

はい……

連澪

……………

本殿

天音夏帆

ごめんね…

連澪

……………

天音夏帆

謝って済むってわけじゃない…

連澪

………………はぁ

連澪

俺はただお前を早く帰したかったんだ…

天音夏帆

………なんでそんなに私を此処から遠ざけるの?

連澪

お前は此処に彼塚村に来るべきじゃなかったんだ

天音夏帆

どうして?

連澪

お前、この神社の由来分かるか?

天音夏帆

うん……鳥居の方に書いてあった

連澪

ここは、忌み子や流産を供養するところだ

天音夏帆

その忌み子と流産は何?

連澪

流産は産まれる前にお腹で赤ん坊が死ぬ事だ。

天音夏帆

っ……

連澪

今は科学や薬が発展してるからな。流産する確率は少ない

天音夏帆

そうなんだ……じゃあ忌み子は?

連澪

……………

天音夏帆

連澪?

連澪

……忌み子はいらない子、捨てられた子、望まれず生まれた子のことを言う

天音夏帆

何それ……

天音夏帆

そしたら、ここは……

子供の供養が多いんじゃ…

連澪

夏帆が言いたいように、子供達の供養が多い

天音夏帆

やっぱり……

天音夏帆

子供達の供養が多いってことはここの神様はお母さんみたいだね…

連澪

そうだな

シン

おい……

天音夏帆

ここの神様はいい人なんだろうね

連澪

神様皆が優しい訳でもないな

シン

おい………

天音夏帆

そうなの?

連澪

あぁ、八百万は皆が神様で沢山いるんだ。願い事などを叶えるって噂がたったからいい人に見えて本当はどうかは分からないからな

天音夏帆

へぇー

シン

おい!!

天音夏帆

うわっ!!

天音夏帆

居たの?

シン

わざとだろ!

連澪

どうした

シン

セイがいないんだ!

連澪

は?

天音夏帆

嘘でしょ?……

私達はいなくなったセイちゃんを探した

天音夏帆

居た…

連澪

居たか?

天音夏帆

うん…

本殿のうしろの小さな殿にセイちゃんがいた

連澪

セイ!!戻れ!

シン

セイ!!

セイちゃん、こっちにおいで

セイちゃんにはみんなの声が聞こえてないの?

天音夏帆

セイちゃん……

すると、私の声に答えるようにセイちゃんはこちら側に向いた

セイ

ヤットキテクレタ…

セイ

ワタシノ……カワイイ…ムスメガ

怖い…セイちゃんが怖いと思った。いつもの雰囲気じゃない。

天音夏帆

セイちゃん………っ

私はうしろへと後ずさり、セイちゃんが近づいてくる

連澪

セイ!!

連澪がセイちゃんのお面を取った

セイちゃんの目にやっと光が宿った

セイ

……あ…っくん?……

連澪

そうだ

セイ

私は……

どうしてココに来ていたんだい?

セイ

分からないの…

分からない?

天音夏帆

もしかして…

連澪

なんだよ

天音夏帆

これもお母さんが関係してるかも

連澪

はぁ?

天音夏帆

ねぇ、シン君とセイちゃん。お面をつけて欲しいの

セイ

うん!

シン

分かった!

二人はお面を付けるが、特に変わっていない

天音夏帆

お面は関係ないし…やっぱりお母さんだよ

連澪

お面を付けさせたのはなんでだ?

天音夏帆

私を此処に連れてきた時もお面付けてたから…

お面を付けても自信は変わらないよ笑

天音夏帆

そうなんですか?

うん。お面は己を隠すために付けるんだ。

天音夏帆

そうなんですね…

連澪の布が気になるけど、言ったら言ったで話がごちゃごちゃになりそう…

天音夏帆

そう言えば、さっきこんなもの拾ったんだよ!

此岸帰りに使用した名前が書かれた形代と神社でよく使われる魔除のようなものを見せた

連澪

…………犬かよ

天音夏帆

私は犬じゃない!

まぁまぁ、これがあれば忌子神を静めることが出来るかもしれない

天音夏帆

…………これで

連澪

俺もついて行く

天音夏帆

え?

連澪

別にお前を守るとかじゃないからな

連澪

早くお前を帰したいだけだ。こんな所に馬鹿がいたってなんにもならないからな

天音夏帆

…………あーもう!!

一瞬ときめた私が馬鹿だった!!ほんとになんなのよ!

カホちゃん、忌子神をどうか静めて欲しい

天音夏帆

はい!

天音夏帆

いよいよだね……

天音夏帆

神様どんな姿してるのかな

連澪

大丈夫だ。夏帆みたいな感じじゃないからな

天音夏帆

それはどういう意味よ!

天音夏帆

本当になんなのよ…

天音夏帆

ってことで、次の章は!

連澪

忌子神と過去の思い出

天音夏帆

ぜひ楽しみに!

この作品はいかがでしたか?

118

コメント

2

ユーザー

何かこうじわぁとする言葉がたくさんあったな✨

ユーザー

ほー

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