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3件
読み終わりました……。 まず、冒頭の「また明日」に対する「よく言うよ」の一文がすごく刺さりました。日常の中にぽっかり空いた虚無感みたいなものが、蜜哉くんの内側からひたひたと伝わってくる。義兄の遺影に向かって「仇はとる」と呟くシーンも、言葉の重みが違いました。 「豁サ縺ュ」の文字化けのような表現も、この世界の狂気や情報の欠落を象徴しているようで、背筋が冷えました。第1話でここまで空気感を掴めるのは、描写の一つひとつが丁寧だからですね。 続き、とても気になります。
沙衣 蜜哉
夕焼け色に染まった空を横目に、蜜哉(みつや)は階段を下っていた。授業さえ終われば、部活動は何もやっていない蜜哉は家に帰れる。別に家に帰っても勉強するくらいしかやることはないが、進学を異常に推されるこの学校よりは息がしやすい。
???
数十名の男子生徒グループの1人に、すれ違いざまにこやかに挨拶された。名前は何だったかーー確かクラスでよく目立つサッカーイケメンだったか。
沙衣 蜜哉
沙衣 蜜哉
聞こえているか分からないくらいの声量で返した。既に彼は部活動メンバーらしき人達とどこかへ行ってしまった。
沙衣 蜜哉
沙衣 蜜哉
XX年前、この世界に虚位(きょい)と呼ばれる殺戮兵器が誕生した。 いろいろと謎の多い虚位を、政府は『執行対象』として見つけ次第の殺害を許可した。対虚位の銃弾と銃器を販売することで『自己防衛しろ。』と。
しかし、精神病患者が多い現代社会において、それは都合のいい自殺装置にしかならなかった。虚位からの攻撃に加えて自殺の増加により、我が国の人口はみるみるうちに減っていった。
そこで、虚位に対抗するために『虚位執行官』という政府公認組織が設立された。きっと、こう思うだろう。
「世界を救う正義のヒーロー!」
「かっこいい憧れ!」
「将来の夢!」
しかし現実は違った。
「負け組」
「成績が悪い奴らの成れの果て」
「お前らみたいにはなりたくない」
「豁サ縺ュ」
ロッカーから靴を取り出し、上履きと履き替える。蜜哉の他にも数名の生徒が靴を取り出して校舎の外へ向かっていく。
少し遠くにある自転車置き場へ向かう。もう帰宅するであろうヘルメットを付けた同じクラスの女子とすれ違ったが、互いに言葉を交わすこともなく彼女は去っていった。
沙衣 蜜哉
鍵を挿し、ヘルメットを付けて自転車を漕いでいく。自転車を漕ぐ両足は薬漬けにされたかのように重かった。
自分で鍵を開けて中に入る。家の中の空気は寂しく、そして異様なほどに澄んでいた。優しい顔立ちの義母が、エプロン姿でお出迎えしてくれた。
義母
沙衣 蜜哉
逃げるように自室に向かって電気を付ける。明るく灯った自室にリュックサックを置いて、中のものを取り出す。大学・高校・中学進学に向けた高難易度の理系教材がふと目に付いた。蜜哉は宝物を扱うように慎重にそれらを机の上に置く。
沙衣 蜜哉
立ち上がり、リビングへ向かう。茶色の三段棚と、4つの座布団がぽつんと置かれているだけの、温かさなど微塵もない殺風景なリビングだ。しかし三段棚の上には、嫌でも目につく艶塗りの黒いお仏壇と、1人の遺影が入っていた。
蜜哉を救ってくれた義兄の『ーー』。実の母親は、蜜哉が小学生のときに持病で蒸発し、実の父親はいつの間にか姿を消していた。そんな中、蜜哉を助けてくれたのが、当時塾講師をしていた義兄だった。
準備していたマッチで蝋燭に火を灯す。すぐにぽっと赤い火が灯り、それをお線香をかざして火をつける。お線香を持っていない左手で軽く扇ぎ、お線香の火を消す。フローラルな香りが部屋に漂っている。
沙衣 蜜哉
香炉にお線香を立て、おりんを鳴らしてから、合掌する。
虚位には、大まかに3つの種類がある。
人間に近い形で、虚位の中では友好的な『第参位』 体中が異形化している『第弐位』 世界を破滅させるほどの力を持った神に近い兵器『第壱位』
虚位執行官・本部の本部長をしていた蜜哉の義兄は、第壱位を道ずれにする形で死亡した。
第壱位がいなければ
あいつらさえ、消えてくれたら
そう、みんなみんな
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沙衣 蜜哉
目を開けて、現実へ強制的に引き戻される。当然、そこに義兄本人はおらず、あるのは眩しいくらいの笑顔を浮かべた義兄の遺影だった。
変わらない日常、変わってはくれない日常。
しかし、今日何かが変わる予感がしていた。
【続】
#初心者注意
ユル
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