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くそ短いです

一番奥の病室の前で彼女は止まった

のあ

家族以外の人を病室に入れるの、すっごく久しぶりです

のあ

どうぞ。

彼女はまるで、そこが自分の部屋であるかのように呟いて、

ゆっくりと扉を開いた

『桃井のあ』

扉の横にはそう書かれていた

中に入ると、ベッドはひとつしかなく、どうやら個室のようだ

ベッドテーブルには、色鉛筆とスケッチブックが 何冊も重ねて置いてあった

じゃぱぱ

のあっていうんだね、名前

のあ

ああ、はい

のあ

あなたは名前なんていうんですか?

じゃぱぱ

じゃぱぱだよ

のあ

じゃぱぱさんですか、

のあ

いい名前ですね

じゃぱぱ

そんなことないよ

のあ

ふふっ

じゃぱぱ

(やっぱり、彼女の笑顔はどこか切なさを感じるな)

じゃぱぱ

これ、みてもいい?

のあ

いいですよ

俺はベッドテーブルに重ねて置いてある スケッチブックの一冊を手に取って開いた

どこかの公園や学校の絵など、 相変わらずの美しさだった

じゃぱぱ

のあ……さんの絵、本当に上手だよね

じゃぱぱ

絵画教室とか通ってたの?

のあ

通ってないですよ

のあ

絵を描き始めたの、今年に入ってからですし

のあ

病室にいても暇だから、それまでは毎日本ばっかり読んでました

のあ

もう千冊以上は読みましたね

じゃぱぱ

まだ絵を描き始めて数ヶ月なのにすごい絵、上手じゃん

じゃぱぱ

あれ、この学校……

のあ

その学校、私が通ってた中学校です

のあ

ほとんど入院していたからそんなに思い入れはないんですけど、

のあ

思い出しながら描いてみたんです

じゃぱぱ

(隣町にある中学校だ)

じゃぱぱ

すごい細かいところまで描いて、よく覚えてるね

のあ

なんとなく思い出しながら描いているので、

のあ

もしかしたら違っている部分もあるかもしれませんけどね

よく見ると、学校の絵や公園の絵には

ふたりの少女が描かれていた

じゃぱぱ

この絵の女の子は、自分を描いたの?

じゃぱぱ

隣は友達?

のあ

はい、まあ、そんなとこです

のあ

外、真っ暗だけど大丈夫ですか?

じゃぱぱ

あ、もうこんな時間か。

じゃぱぱ

そろそろ帰らないと

じゃぱぱ

じゃあ、帰るから

のあ

あの

じゃぱぱ

ん?何?

のあ

私、こんなんだから友達がいなくて、

のあ

お見舞いに来てくれる人も全然いないんです

のあ

だからじゃぱぱさん、

のあ

また暇な時にでも来てくれると嬉しいですニコ

のあさんは俺に心を開いてくれたのか、

人懐っこい笑顔を見せた

じゃぱぱ

もちろんまた来るよ。

じゃぱぱ

その絵の続きも気になるしね

のあ

ありがとうございます

のあ

ほんと、暇なときでいいので

じゃぱぱ

わかった

じゃぱぱ

じゃあね

のあさんに軽く手を振って病室を出た

じゃぱぱ

(のあさんといると心が落ち着く)

じゃぱぱ

(次はいつ会いに行こうかな)

じゃぱぱ

(明日にしようか)

じゃぱぱ

(いや、二、三日空けた方がいいだろうか)

シヴァ

何かいいことでもあったか?

じゃぱぱ

な、なんでですか?

シヴァ

すごいにやついてたから

ふと窓を見ると、

にやついた俺の顔が反射していた

じゃぱぱ

カア////

じゃぱぱ

あ、母さんから連絡きてるかな?

じゃぱぱ

三件のメッセージと二件の着信……

じゃぱぱ

全く、心配性だな

苦笑しながら早歩きで自宅に向かった

余命一年と宣告された俺が、余命半年の君と出会った話【完結】

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