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まとめ【短編集】

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It was too late.

♥

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2022年08月10日

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ああ、最悪だ……

無断転載は二度としないって誓ったばかりなのに……

今度は────

心機一転、新たな作品を投稿した

サムネはもちろん、自分で撮った画像を使用している

内容は偶然ある男女の出会い、恋に落ちるというもの

ベタなネタだが、男はわたしの好きなある有名人の名前にした

ほとんど妄想だけれど、すらすらと筆が進んだ

“いいね“がついたりコメントがつくと嬉しくて、続きを書いた

そんなある日、あるコメントが目に留まった

“なぜ、一次創作で有名人の名前を使用しているのですか?“

…………

それは有名人の名前以外、自分が考えたオリジナルだから、一次創作のタグを使用しています──と返信

“有名人の名前の使用して、一次創作の投稿はダメなんです。規約でもそう書かれているはずですが……。 それにもし本人や関係者があなたの作品を見て訴えたりしたら、文句なんて言えないんですよ“

今思えば本当に浅はかだった

コメントの忠告を受け取った時点でやめればよかったのだ

1週間後、なんとなく気になっていろいろ調べてそれが“ナマモノ“であり、本人や関係者の目に触れないようにするなど、取り扱いには注意しなければいけないことがわかった

それを怠れば信用毀損や業務妨害、名誉毀損で慰謝料請求される可能性もあるそうだ

(……マジか)

やらかしてしまったと思った

慰謝料だってすぐに用意できる金額(モノ)じゃない…………

(早く消さなきゃ)

その日のうちに作品をすべて削除し、謝罪文を投稿した

数日後

わたしは小説アプリのアカウントを消した

理由はスランプ。小説がうまく書けなくなった

……はぁ

なんでこんなことになったんだろう……?

ただ普通に創作したかっただけなのに……

自分が悪いのはわかっている

無断転載、実在する人の名前を勝手に使用したから……

そんな考えごとをしてたせいで信号が赤になったことに気付かず、車道へと飛び出していた

危ない!!

え?

ガッシャーン

まるでスローモーションのように、周囲がゆっくりと動く

そして地面に叩きつけられる

…………

ようやく自分が車に撥ねられたと気付いた

周りが何が言っている……。でも、何を言っているのかわからない

瞼を閉じ、そのまま気を失った…………

こんにちは〜おねーさん♪

目の前に黒いスーツに身をつつみ大鎌を持った男の人が立っていた

…………!?

あは☆ 驚いた?

あ〜あ、固まっちゃって

大丈夫?

だ、誰……?

やっと声が出せた

死神

死神

人間はそう呼んでる

人懐こそうな笑みを向けてくるけれども、底知れない気味悪さを感じた

(……そもそも、ここは……?)

近くに川が流れていた

死神

ここは三途の川

死神

きみは交通事故に遭って、今生死の境目にいるんだよ?

…………

死神

このまま引き返せば命は助かるし

死神

橋を渡れば“死ぬ“──

死神

死神

好きな方を選んでいいからさ、どっちにする?

考えるまでもなかった

わたしは引き返す方を選ぶ

死神

ふーん、そっか〜

死神

まぁ当然といえば、当然か

…………

死神

でもいいの?

死神

還ったら慰謝料を払わなきゃいけなくなるよ?

……慰謝料?

どういうこと?

死神

おねーさん、一次創作で“ナマモノ“を書いちゃったよね?

なんでそれを……?

死神

死神の前で隠し事なんてできるわけないでしょ

死神

それにぼく、コメントで

“有名人の名前の使用して、一次創作の投稿はダメなんです。規約でもそう書かれているはずですが……。 それにもし本人や関係者があなたの作品を見て訴えたりしたら、文句なんて言えないんですよ“

死神

って、書いて警告したのに〜

あのコメントはあなただったの?

死神

そうだよ〜

死神

ときどき小説アプリで一次創作を読んでるんだ♪

死神

結構おもしろいよね

…………

死神

だからこそ、ルールは守らなければならない

死神

死神

規約──とくに禁止事項はちゃんと読もうよ

死神

少し脱線しちゃったね

…………

死神

あ、そうそう

死神

投稿した作品をスクショして

死神

きみの好きな有名人の事務所に送っといたから

……え

死神

一つ残らずぜーんぶ

わたしが投稿したあの小説を事務所に……?

頭の中が真っ白になった

死神

たしか事務所はナマモノを禁じてたよね?

死神

もし発覚したら法的措置をするって

な、なんで送ったの?

わたしちゃんと反省して消したのに……?!

死神

なに被害者づらしてるの?

死神

ナマモノの規定を破ったのは他ならぬ──

死神

“きみ“なんだよ?

…………

死神

反省して消した?

死神

ぜんぜん反省しているようには見えないし

死神

それどころが開きなおる始末──

やれやれと肩をすくめる

死神

でもまぁ、きみ以外にも違反者たちがいたからね

死神

まとめて事務所に送ったけど

…………

死神

このまま引き返せば命は助かるけど

死神

慰謝料を払わなきゃいけなくなる

死神

橋を渡れば“死ぬ“──

死神

だけど、慰謝料を払わなくて済む

死神

どっちにする?

にこ

(どうすればいいの……?)

少し前なら、前者を選んだ

だって死にたくなんてなかったから

(けど慰謝料なんて……)

死神

死神

このまま三途の川にいてもいいけどさ

死神

その場合、きみはずっと昏睡状態になるよ

死神

生きることも死ぬこともできない

死神

まさに地獄

結局どれを選んでも……

…………

……なにもかもが遅かった

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