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柱になってもなお、 誰もが“誰かの背中”を追っている
私は……その背中すら、もう知らない
だから私は飛ぶ。誰の後ろでもなく、誰の前でもなく
鬼殺隊本部から急報
ある山岳地帯で鎹鴉が次々に消息を絶ったという
風切
鷹羽 千風
日輪刀を構え、山へと向かう千風
風が止まり、空の音が消えていた。
霧が立ち込める山奥で、千風はそれを見た
何体もの鎹鴉の亡骸──そして、その上に座す異形の鬼
鬼
鬼
鬼
その姿は翼を持たず、しかし無数の羽を纏った鬼
血鬼術《羽縛ノ陣》──空間に無数の黒羽を撒き散らし、動きを封じる“空中拘束陣”
羽の結界に包まれる千風と風切
風を読む感覚が奪われ、動きが鈍る中──
鷹羽 千風
鷹羽 千風
鷹羽 千風
目を閉じ、“風の音”ではなく“羽ばたきの気配”を読み取る
鷹羽 千風
鷹羽 千風
羽の迷宮を突き破る鋭い連撃が、鬼の中心へと届く
鬼の身体が崩れ落ち、羽が消えていく
鬼
鷹羽 千風
鷹羽 千風
鬼の瞳には、空が映っていた
静かに、風切が千風の肩に止まる
千風はその場に崩れ落ちた
呼吸の乱れ、深く抉られた脇腹、右腕には痺れ。 戦いは終わったが、命を賭していたのは間違いない
風切
風切が心配そうに鳴いた
鷹羽 千風
鷹羽 千風
鷹羽 千風
千風は顔をしかめながら立ち上がった
だが、心の奥にはわずかな“違和感”が残っていた
鷹羽 千風
本部に戻ると、千風はすぐに療養処置を受けた
その報告はすぐに柱たちの耳にも届く
上弦ではなかったが、相当な力を持つ鬼を、 単独で討伐
傷を負いながらも、冷静に戦い抜いた
柱合会議に出席していた蛇柱・伊黒、音柱・宇髄、恋柱・甘露寺たちが言葉を交わす
宇隨 天元
甘露寺 蜜璃
伊黒 小芭内
一方、産屋敷耀哉は、淡い笑みを浮かべて言った
産屋敷耀哉
産屋敷耀哉
療養中の夜
千風は、静かな月の下、木に止まる風切を見上げていた
鷹羽 千風
鷹羽 千風
誰かと比べるわけではない
だけど時々、迷うこともある
誰とも組まず、ただ一人で鬼を追い、戦い、命を賭ける―
鷹羽 千風
鷹羽 千風
鷹羽 千風
鷹羽 千風
風切が、一度だけ「カァ」と低く鳴いた
数日後――産屋敷の使いがやってきた
産屋敷の使い
産屋敷の使い
静かな部屋に、その言葉が響いた
千風は、少し目を見開き、それから目を伏せる
鷹羽 千風
産屋敷の使者は続けた
産屋敷の使い
産屋敷の使い
鷹羽 千風
産屋敷の使い
千風は少しの間、考えた
やがて、立ち上がり、白く光る日輪刀を取る
鷹羽 千風
鷹羽 千風
そして、静かなる剣士は空を舞い上がった。 その羽音はやがて、鬼を断ち、人々を守る“柱の風”となる