コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
今回、私は森本祐樹氏が在住し、遺体として発見されたとされるM橋のマンションに赴くことにした。
地下鉄のM橋駅から徒歩10分とかからない場所に位置しているそのマンションは、側から見てみれば何の変哲もないただの集合住宅だった。
正直申し上げて、こんなマンションで森本氏を含めた2名が亡くなっているという事実を、見ているだけでは感じることができなかった。
そのマンションは片側一車線と狭い歩道が付いた道に面しており、ナベ氏から頂いた情報の通り、人通りが多いとは言えない場所だった。
私が訪れたのは昼過ぎだったが、閑静な住宅街といった様相で、都心の賑わいとは掛け離れた空間だと感じた。
そのマンションが面している片側一車線の道路は車通りも少なく、非常に閑散としているが、そこから一本隣の通りはさらに狭く、薄暗い雰囲気を纏っていた。
その通りを進んでいくと、件のマンションのちょうど真裏に辿り着いた時に全てを察した。
そのマンションの真裏は墓地になっていた。
マンションの影がその墓地を包み、薄暗くどんよりした空気を携えていた。
街中の墓地にもかかわらずあまり手入れされている様子もなく、雑草が生い茂るような有り様だった。
見たところ、敷地内に街灯は一本のみ立てられており、おそらく夜中に来たらあまりの雰囲気に腰を抜かしてしまいそうだ。
一頻り敷地内を歩き回った後、出口へと向かおうとして振り返ると、そこには小学校低学年程度と思われる男の子がこちらを見て立っていた。
12月半ば。 小学校はまだ授業中のはずだ。
昼過ぎの、それも墓地に、男の子がいることがとても奇妙に思えてならなかった。
その男の子はこちらを指差して、口が裂けるのではないかと言うほどに口角を吊り上げて笑っていた。
……いや、笑っていたというよりも、口角を無理やり引っ張られているような感じ。
口角は上がっているのに、目は全く笑っていなかった。
その子は私が呆気に取られている隙に、その墓地の敷地内から走って逃げていった。
私も正気を取り戻してすぐさま追いかけたが、既に姿を消していた。
あの奇妙な出来事は何だったのか。
森本氏らの死との関連性は不明だが、私が見た男の子は、ナベ氏が話していた男の子と同一人物だったのだろうか。
真相は分からないが、今後も調査を続けていきたい。
もし何か情報をお持ちの方がいれば、DMにて提供をお待ちしている。